第62回 NAT 存在感

 

第62回 存在感

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

今季もローカル・サッカーのピッチでも多くの日本人選手が躍動した(写真は、村山のロックデ-ル・サンズFC)
今季もローカル・サッカーのピッチでも多くの日本人選手が躍動した(写真は、村山のロックデ-ル・サンズFC)

Aリーグ開幕まで、1カ月を切った。ニューキャッスル・ジェッツのオーナー交代劇、ブリスベン・ロアの経営危機問題など、何かと騒がしかった印象のオフも間もなく終わる。何より、11年目のシーズンも10チームでのコンペティションを何とか維持できたことを、少々皮肉めいてはいるが、喜びつつ開幕を迎えたいと思う。

Aリーグの開幕間近ということは、ローカル・サッカーは佳境を迎えつつあるということ。日本の天皇杯にあたるFFA杯もベスト8が出そろい、Aリーグ以外ではビクトリア州1部(豪州2部相当)のNPLVICから3クラブが残る健闘を見せている。次のラウンドでは、NPL同士の対決が組まれているが、それでも確率的には4強の半分がNPLのクラブで占められる可能性が残る。今後、セミ・ファイナル、ファイナルと一発勝負が続くだけに、FFA杯2年目にしてAリーグ以外から優勝チームが出る可能性は十分にある。

今年のFFA杯で日本人のプレゼンスが非常に高いのは嬉しい限りだ。州を越えての対戦が始まり、Aリーグも参戦するベスト32の段階では、4クラブで延べ6人の日本人選手がピッチに立った。その中で、ベスト16の舞台に進んだのは、シドニー南郊のロックデ-ル・シティ・サンズに所属する村山拓也と岩本光巧の両名だけ。2人とも、昨季のAリーグ王者メルボルン・ビクトリーをあわやというところまで追い込む大善戦となった試合のピッチに立った。右SBで先発した村山は、全豪各州のNPLリーグ(州1部、豪州2部相当)でも有数のレベルを誇るNSWPLで既に5季プレーしている。彼に関しては、今後、機会を見つけて掘り下げたいと思っている。

FFA杯と並行して行われている各州のNPL王者が争うファイナル・シリーズもベスト4が出そろった。QLD州から参戦、4強に残っているモートンベイ・ユナイテッドには、中岡涼太が所属。元々、中盤の攻撃的なポジションの選手だが、今季は監督の左SBでの起用に応えて期待に違わぬ活躍を見せている。モートンベイ・ユナイテッドが、どこまでがんばれるか最後まで目が離せない。

FFA杯、NPLファイナル、4年前にはそのいずれのフォーマットも存在しなかった。そう思えば、この国のサッカーの急速な発展をはっきりと感じることができる。その流れのなかで、日本人選手の存在感が年々高まっていくのは嬉しい限りだ。さて、来季はどんなサムライ・フットボーラ-に会えるのか。今から楽しみだ。


【うえまつの独り言】
Aリーグの予想めいたものを少々。優勝争いは、メルボルンⅤ、シドニーFCのビッグ・クラブを中心に回りそう。そこに絡むと思われるのは、堅実な補強が印象的なメルボルンC。ブリスベンは、ピッチ外の騒動が響いて、今季は難しいか。アデレードも侮れない。ま、どうせ当たらないが。

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