日豪サッカー新時代(QLD)第73回「番狂わせ」

日豪サッカー新時代

第73回 番狂わせ
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

番狂わせでの勝利後のレッドランズ・ユナイテッドの歓喜の様子は、クラブの公式Facebookページでも伝えられた
番狂わせでの勝利後のレッドランズ・ユナイテッドの歓喜の様子は、クラブの公式Facebookページでも伝えられた

ローカル・サッカーたけなわのこの時期、Aリーグのクラブにとっては来たるシーズンに向けて本格的に始動後間もない頃だ。そんな狭間の時期に行われるのが、FFA杯のラウンド32。日本の天皇杯にあたるこのカップ戦では、このラウンドからAリーグの10クラブが参戦。逆に言えば、ここに残っている32チームのうちの22チームが下部リーグに所属するクラブという計算になる。

3試合ほどAリーグ同士の対戦も組まれたので、結局のところ「Aリーグ対下部リーグ」という図式になったのは、16試合中4試合のみ。その対戦成績は2勝2敗のタイで、2試合も番狂わせが起きた。

QLD勢でラウンド32に勝ち残ったのは、州1部(豪州2部相当)NPLQのブリスベン・ストライカーズ、FNQヒート(ケアンズ)、レッドランズ・ユナイテッドの3チーム。それに州2部(豪州3部)相当となるゴールドコースト・プレミア・リーグからサーファーズ・パラダイス・アポロを加えた計4チーム。このうち、ストライカーズとレッドランズがこのラウンドを突破して16強に名を連ねた。2年連続でのベスト16進出を狙った渡邊志門を擁するヒートは涙を飲んだ。

レッドランズの勝利は衝撃的だった。ブリスベン東郊レッドランズ市に本拠地を置く古豪が、昨季のAリーグ王者アデレード・ユナイテッドを破る大波乱。しかも、その勝ち方が何とも劇的。アデレードの1点リードで迎えた試合終了直前。ロスタイム3分も過ぎて、正真正銘、最後のワン・プレーで、前線に出されたボールに飛び出した豪州代表の経験豊富なアデレードGKガレコヴィッチが、まさかのファンブル。そこに詰めていたレッドランズMFリーがボールを奪ってゴールに流し込み、土壇場で同点。ギリギリで追いついたイケイケムードのまま突入した延長前半9分、オブライエンが勝ち越しゴールを決めてAリーグ王者をねじ伏せた。

このレッドランズの勝利は「Aリーグ史上最大の番狂わせ」などと驚きをもって伝えられたが、まだまだアップセットは起きそうだ。ラウンド32で5チームのAリーグ・クラブがトーナメントを去り、16強に歩を進めたAリーグ・クラブは5チーム。つまり、残りの11チームは下部リーグ所属のクラブということ。こうなると、確率論的には、FFA杯3年目にして初のAリーグ所属クラブ以外のカップ王者の可能性も低くは見積もれまい。ますます楽しみだ。


【うえまつの独り言】
この原稿を執筆していると、家人の叫び声がした。うっかり忘れていたマチルダズの五輪2戦目のドイツ戦。前半途中からの観戦になったが、終了直前に追いつかれてのドロー。しかし、強豪相手のドローで予選突破の可能性は何とか残った。さて、どうなりますことやら。

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