日豪サッカー新時代(QLD)第77回「喜寿」

日豪サッカー新時代

第77回 喜寿
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

更なる爆発で、ティム・ケーヒルの本領発揮なるか(Photo: Nino Lo Giudice)
更なる爆発で、ティム・ケーヒルの本領発揮なるか(Photo: Nino Lo Giudice)

当連載、今回で77回を数える。連載70回の時は「古希」と銘打った以上、流れで今回も「喜寿」とタイトルを打たねばなるまい。「喜びを寿(ことほ)ぐ」と書くわけで、何かめでたいことを取り上げたい。しかし、シーズン真っ盛りのAリーグは、まだ何かを祝うタイミングではない……と思ったのが、1つだけ祝うべきことがあった。

それは、メルボルン・シティー(以下メルボルンC)のFFA杯の戴冠。日本の天皇杯にあたるこの大会は、下部リーグのシーズン終盤と、Aリーグのシーズン序盤が交差する日程で行われる。そんな日程上の関係もあって、決勝はAリーグの前半戦の終わり際である年末のタイミングで行われ、下部リーグのクラブに足をすくわれることなく順当に勝ち上がってきたAリーグ・クラブ同士の対戦となった。その2チームとは、他が羨む大型補強で一躍メガ・クラブへと変貌したメルボルンC、対するのは昨季の不振からV字回復を見せ今季絶好調のシドニーFC。そして、その両チームによる決勝を制したのはメルボルンCだった。

その勝利で、前身のメルボルン・ハート時代を含めて初タイトルを獲得したイレブンは、試合終了後にサポーターともに大いに喜びを爆発させた。その歓喜の中心にいたのは、この試合の決勝点を叩き出した千両役者で今季プロ選手としてようやく豪州の地を踏んだレジェンド、ティム・ケーヒルだった。

ケーヒルは帰国後、誰にも真似できない圧倒的な存在感を見せ続けてはいたが、期待よりも残したインパクトが正直低かったのも事実。直近の豪州代表のW杯最終予選タイ戦のメンバー招集からも外れるなど、その絶対的存在としての立ち位置にも少し揺らぎが見えてきていた。しかし、この大事な試合で値千金のゴールを決めたことで、再び「ケーヒル、ここにあり」を強烈にアピールするあたりは、彼が千両役者たるゆえんだ。

Aリーグは、日程の半分以上を残している。今回の初タイトルで気分を良くしたメルボルンCが残りのリーグ戦でも着実に勝ち点を積み上げていければ、まだまだ“二冠”の可能性は十分に残る。ケーヒルだけではなく、昨季得点王のブルーノ・フォルナローリや新旧の豪州代表の主力格をそろえる彼らの戦力を見れば、それはあながち実現不可能な目標ではない。ケーヒルの更なる爆発、そしてメルボルンCの躍進に対しての警報は高らかに鳴り響く。


【うえまつの独り言】
今季のJリーグ王者を決めるチャンピオンシップ決勝、ホーム&アウェイの2試合を共に日本でテレビ観戦。非常に面白い対戦で現在のJリーグの最高峰を堪能できた。実力拮抗の両チームだが、最後は「勝者のDNA」をより多く受け継ぐ鹿島の底力が浦和をねじ伏せた。そんな対戦だったと言えよう。

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