日豪サッカー新時代(NAT)第81回「史上最強」

日豪サッカー新時代

第81回 史上最強
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

史上最強のチームでも特に輝いたのが、繊細なタッチとクリエイティブなプレーが持ち味の元セルビア代表のミロシュ・ニンコヴィッチ(右/Photo: NinoLo Giudice)
史上最強のチームでも特に輝いたのが、繊細なタッチとクリエイティブなプレーが持ち味の元セルビア代表のミロシュ・ニンコヴィッチ(右/Photo: NinoLo Giudice)

Aリーグが残すところファイナル・シリーズのみとなった。ファイナル進出の6チームは、首位シドニーFC以下、メルボルンV、ブリスベン、メルボルンC、パース、そして、楠神順平のWSW。

まずは、その6チームのうちブリスベンとWSW、メルボルンCとパースがシドニーFCとメルボルンVへの挑戦権を賭けてのセミ・ファイナル進出決定戦で激突。セミ・ファイナルを経て、5月7日のグランド・ファイナルで今季のAリーグ王者が決まる。

そのファイナルの予想めいたことを、はばかりながら披露する。やはり、レギュラー・シーズンを単騎逃げで気持ちよく逃げ切ったシドニーFCの優位は揺るがない。対抗の一番手であるべき、メルボルンVは脆さが消えないだけに、シドニーFCの久々の戴冠の可能性はかなり高い。

ファイナルの組み合わせを見ていて、ふと気付いた。もし、決定戦でWSWとメルボルンCが次に駒を進めると……シドニーFCの相手には勝ち上がった2チームの下位、すなわちWSW。そして、メルボルンVの相手はメルボルンCとなる。要は、セミ・ファイナルで空前絶後の“ダブル・ダービー”の実現の可能性が残る。勧進元であるAリーグ垂涎(すいぜん)のこの組み合わせが実現すれば、盛り上がりは必至だろう。

とにかく、今季のシドニーFCは、きちんとトリビュートされて然るべき。強かった、いや強過ぎた。27試合20勝6分1敗で一度も首位を譲ることなく、全く危なげなくシーズンを駆け抜けた。シーズン通算の勝ち点は、積みに積んだりの66。これは、試合数が30と多かったブリスベン・ロアの記録(65)を抜くリーグ新記録だというから恐れ入る。

しかし、そんなにも強かったシドニーFCの観客動員数は伸び悩んだ。シドニー・ダービー以外のホームでは、空席が目立った。2012年以降、1万8,000人台を維持していた平均観客動員数だが、低迷した昨季は、1万6,000人台に落ち込む。出色の快進撃の今季は、観客動員数も復調と期待されたが、ふたを開ければ昨季から微減。あわや1万6,000人割れという観客動員数は、あまりにも寂しい。今季のシドニーFCを多くの人に見てもらえなかったのは本当に残念なこと。もし、彼らが順当にグランド・ファイナルまで勝ち上がったならば、スカイ・ブルーに染まる満員御礼のスタンドで迎えることこそが必要だ。Aリーグ史上最強のチームには、それこそがふさわしい。


【うえまつの独り言】
当稿を仕上げたタイミングで飛び込んできた悲報。ブリスベン・ロアの至宝トーマス・ブロイシュ退団。いつかは来るとは分かっていたが、今年の活躍を見てもう1年は、と思っていた。T・トーマス、嘘だと言ってくれ。悲しい報せは嘘だと言ってくれ……(涙)。

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