日豪サッカー新時代(NAT)第93回「交代劇」

第93回 交代劇
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

監督交代が行われても変わらぬ信頼感で主力の座を保つ3人。左からクルーズ、ミリガン、主将のイェディナク(筆者撮影)
監督交代が行われても変わらぬ信頼感で主力の座を保つ3人。左からクルーズ、ミリガン、主将のイェディナク(筆者撮影)

驚いた。ヴァイド・ハリルホジッチ前日本代表監督の解任劇は、まさに青天の霹靂だった。本大会まで2カ月というあり得ないタイミング、田嶋JFA会長が会見で語った解任理由など、解せないことが多すぎる。ここ数試合の不甲斐ない戦いぶりや3月シリーズでまだ選手を試すのは決してあるべき姿ではない。それでも、日本は監督の“代え時”を既に逃して、大会直前の今、ハリルホジッチと一蓮托生(いちれんたくしょう)と腹をくくったのだと思っていた。個人的には、前回W杯でのアルジェリアを率いての彼の実績などを考えて、本番では何だかんだで結果を出すのでは、という根拠のない期待もあったが、それも全て泡と消えた。

今さら、何を言っても無駄だ。賽は投げられた。泣いても笑っても、W杯本大会はすぐそこに迫っている。日本代表には世界最高峰の舞台で持ちうる全ての力を出し切っての敢闘を期待するしかない。

翻(ひるがえ)って、豪州。こちらは、アンジ・ポスタコグルー前監督の辞任を受けて、発足したベルト・ファン・マルワイク新体制が欧州遠征で2連戦を行った。そのメンバーは、これまでの積み重ねを維持しつつ、新監督独自の人選でスパイスを効かせているような顔ぶれ。ジョッシュ・ブリランテ(シドニーFC)、ディミ・ペトラトス(ニューカッスル)、アンドリュー・ナブート(ニューカッスル→浦和)など、今季のAリーグで活躍を見せた選手にチャンスが与えられたのも良い傾向だ。少し脱線するが、ナブートは引き抜かれての浦和移籍後、“ナバウト”と何ともアバウトな表記に“改名”させられた。英語発音を無視した大手メディアの安易なカタカナ表記とドン・キホーテよろしく長年戦っている筆者、ここでも今まで通りのナブートを貫きたい。

それはさておき、新生サッカルーズ初戦のノルウェー戦は、本職のけがもあって組まれた急造4バックが、ノルウェーの速い攻めに翻弄され1-4と惨敗。新体制の船出は幸先の良いものとはならなかった。しかし、次のコロンビア戦では、日本がW杯で当たる強敵にスコアレス・ドローの粘りを見せた。わずか2試合で判断できることは限られるが、まずは無難なスタートを切ったのではないか。

期せずして、いずれも新体制でW杯本番を迎える日豪両国。それぞれの監督交代劇が正解だったか否かは、ただ1点、本番の成績でのみ判断できる。その意味でも、ロシアW杯、非常に楽しみだ。


【うえまつのひとり言】
女子の“日豪戦”をTV観戦。共にW杯を懸けてのガチンコ対決は、日本先制も、86分にマチルダスが追いつく。そこからロス・タイムを含む5分以上、日本DF陣のパス回しを、マチルダスが傍観。そのままそろってW杯出場を決めた。アジア王者を懸けての決勝では、存分にやりあって欲しい。日豪戦はそうあるべき。

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