日豪サッカー新時代(QLD)第97回「自覚」

第97回 自覚
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

本田圭佑、日本のレジェンドが豪州の地でプレーすることになった(筆者撮影)
本田圭佑、日本のレジェンドが豪州の地でプレーすることになった(筆者撮影)

今月は、本田圭佑に限る。交渉の当事者メルボルン・ビクトリー公式サイトが“Wait is over!”とデカデカと出すくらいだから、結論までの時間はやはり長かった。でも、まずはひと安心。本田がダウン・アンダーの地に降り立つことが決まった。

8月1日、インターネット放送・Abema TVで「バハマから独占生中継」との情報が走った。当然、そこではっきりと去就が語られると思って画面に見入った。しかし、交渉事実を認め、そのクラブが豪州にあるところまでは認めたが、そこまで。というより、あの段階ではいわゆる「大筋合意」のレベルで言えることも限られていたのか。正直、その際の発言で「無理難題」という表現が引っ掛かった。

テープを録っていなかったが、本田は確かに「いろいろ、こっちから無理難題をお願いしている」と言った。金銭的条件よりも、恐らく今までの契約で前例のないような何らかの付帯条項を入れることを要求したのか。同番組ではっきりと公言した「東京五輪出場」に関連して、国際Aマッチ以外でもクラブの拘束なしでいつでも離脱を可能にする、などの条件が詰められたのだろうか。いずれにしても、そういった契約の細部の調整に時間が掛かったことで、バハマでの中継から、正式発表まで更に4日待たされることになった。

紆余曲折を経ても、いざ、本田ほどの選手の参戦が決まると、すごいことだと感じ入る。この決定の前後でローカルのフットボール・ファンのリアクションを探っていたのだが、これが思った以上にポジティブ。何よりも「普段はAリーグなんか観ないけど、本田は観てみたい」というリアクションが多い。意外に多い「フットボール好きだがAリーグは嫌い」という層を少しでも切り崩せれば、その意味は大きい。実際、観客動員もジャージの売り上げも目に見えて上がるであろうし、リーグにもクラブにとってもベネフィットは大きい。

あとは、本人の活躍次第だ。Aリーグは10クラブがホーム&アウェーともう1試合で争う、1シーズン27試合と試合数の少ないリーグ。本人が公言する「東京五輪」を目指せば、それに関するコミットメントも増えてくることで、出場試合数が限られることも考えられる。そうならば、とにかく出場試合では大向こうを「本田△」と唸らせる活躍を見せ続ける必要がある。華やかさの陰で、新しい挑戦が必ずしも楽なものではないことは、本人が一番自覚しているに違いない。


【うえまつのひとり言】
QLD版の読者はラッキーだ。今季は変則スケジュールによるホーム2試合の年で、ブリスベン・ロアはメルボルン・ビクトリー戦を2試合ホストする。気になる日程は12月14日(金)と来年1月15日(火)。しっかり、今から予定を空けておくことをお勧めする。

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