日豪フットボール新時代(NAT)第102回「頂上対決」

第102回 頂上対決
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

本稿執筆時点でアジア・カップはベスト16が出そろい、本紙発行時には決勝を迎える。実は、先月の本紙アジア・カップのプレビュー記事で次のように書いた。

「(日豪が)共に2位通過してしまうと、何とラウンド16(筆者注:決勝トーナメント=T初戦)で顔を合わせる。それではまずい」

そんなことを書いたからか分からないが、あわや、そのシナリオが実現してしまいそうになったのにはハラハラさせられた。もちろん、日豪両国共に無事に決勝Tに進出できたのは良いこと。でも、その両者があっさりと初戦で顔を合わせて、そのいずれかが早々に脱落というのは避けたかった。そんな杞憂も、日本が先発を10人入れ替えて臨んだウズベキスタン戦に快勝したことで回避された。

そのウズベキスタン戦の直前、日本での報道の中に「首位通過でいずれも強豪のカタールかサウジアラビアと対戦するよりは、(ティム・)ケーヒル引退で脅威がない豪州の方が組み易し」という論調の記事を見掛けた。悔しい。しかし、実際に今回のサッカルーズに前回王者としての凄みがないのも事実。けがでアーロン・ムーイやダニエル・アルザーニという中盤の主力を欠き、大会直前には秘密兵器として期待された新鋭マーティン・ボイルも離脱。更には、現地に入ってもけが人続出と、もうお祓いを受けた方が良いのではと思うほどの負傷禍が続いている。

苦しみながらもベスト8に勝ち上がったサッカルーズは、更に上を目指す(Photo: AFP)
苦しみながらもベスト8に勝ち上がったサッカルーズは、更に上を目指す(Photo: AFP)

そんな満身創痍のサッカルーズもグループ・リーグ第3戦、トム・ロギッチの試合終了直前の値千金のゴールでシリアに勝って、薄氷を踏みながらの2位通過。決勝T初戦は120分でも決着が付かず、PK戦までもつれ込むも、守護神マット・ライアンがPK2本を止める大活躍を見せて、何とかウズベキスタンを退けてベスト8に進んだ。準々決勝以降の明るい材料は、ようやく代表合流直前のけがが癒えて、ウズベキスタン戦で交代出場し存在感を発揮した経験豊富なマシュー・レッキーの復帰。トップ下のロギッチが、準々決勝出場停止という大きなマイナスもあるが、何とか勝ち切りたい。

日本も難敵サウジアラビアを倒し、次戦ベトナム戦の先を睨みつつ頂上を目指す。日豪両国が苦しみながらも勝ち上がっての頂上対決という、本稿としての最高のシナリオは果たして実現するか。その際、アジア・カップを高々と掲げるのが日本であって欲しいのは言うまでもないが。


【うえまつのひとり言】
本田圭佑の不在が長引くAリーグは、全日程のほぼ3分の2を消化。ここまで、出色の強さを見せるのがパース・グローリー。アーノルド現代表監督の次を担う国内候補の筆頭と目される名将ポポビッチがさすがの手腕を発揮している。本田有するビクトリーとの首位決戦にも注目だ。

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