オーストラリア・モトGP/2016観戦ガイド(10月23日決勝)


二輪界の世界最高峰MotoGP、2016年第16戦オーストラリアン・グランプリ(GP)決勝が10月23日、メルボルン南部フィリップ島のGPサーキットで開催される。世界チャンピオンのホルヘ・ロレンソ、13年・14年世界チャンピオンのマルク・マルケス、ベテランのバレンティーノ・ロッシが三つ巴の激しい戦いを演じている。(記事は9月11日時点)

今年の見どころは?

モトGPは、モトGPクラス(1,000㏄エンジン)、モト2(600㏄)、モト3(250㏄)の3つのクラスに分かれている。初戦ドーハGPから最終戦バレンシアGPまでの18戦を戦い年間チャンピオンが決定する。時速350kmを超す超高速モトGPに注目が集まるが、モト2、モト3クラスでは、次世代のエースを探す楽しみがある。

昨年はロレンソとロッシが最終戦まで熾烈な戦いを続け、逆転でロレンソが5回目のチャンピオンに輝いた。若き天才ライダーのマルケスは、後半4戦優勝と追い込んだが、前半戦の不調がたたって3位に終わった。

今年はマルケスがサンマリノGPまでに優勝3回、2位3回、3位3回で223ポイント(PT)と安定した走りを見せてトップを走っている。攻めのライディングでスピードは速いが、転倒リタイヤも多い。今年は年間チャンピオンを意識したポイント獲得に徹している。

2位のロッシが2勝180PT、3位のロレンソが3勝162PTでマルケスを追っている。早くも年間優勝はこの3人に絞られてきた。

例年はトップ数名で優勝を独占することが多いが、今年は様相が違う。オランダGPでジャック・ミラー、オーストリアGPでアンドレア・イアンノーレ(ドゥカティ、27歳、イタリア)、チェコGPでカル・クラッチロー(ホンダ、30歳、英国)、英国GPでマーベリック・ビニャーレスが初優勝した。4人の初優勝ライダー誕生は史上初である。

活躍が期待されるライダーは?

今年のオーストラリアGPで活躍が期待されるトップ・ライダーを以下に紹介していく。

■ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ、29歳、スペイン)
 15歳でスペインGP125ccデビュー。ブラジルGP初優勝。ホンダに認められ250ccへ昇格。19歳で250cc世界チャンピオン。2008年にモトGPクラスでデビュー。天才ライダーと騒がれた。10年、12年、15年と3回の世界チャンピオン。

■バレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ、37歳、イタリア)
 イタリア人らしい陽気な性格で人気が高く史上最強のライダーと称される。125ccクラスでデビュー。ツアー11勝で世界チャンピオン。250ccクラスに昇格し、ツアー9勝で年間チャンピオン。最高峰クラスにホンダからデビューし、年間11勝で世界チャンピオン。02年に新設のGPクラスで世界チャンピオン。09年までに7回の世界チャンピオンを獲得。ドゥカティ時代は無勝利だが、ヤマハに復帰後14年2勝、15年4勝して連続年間2位と世界チャンピオン直前にまで復活している。

■マルク・マルケス(レプソル・ホンダ、23歳、スペイン)
 15歳にして125ccクラス参戦を果たし、世界チャンピオン。11年モト2に昇格し、世界チャンピオン。13年からモトGPクラスに昇格し、6勝を挙げてモトGPの年間チャンピオン。14年は開幕から10連勝、その後も3勝して2年連続の年間チャンピオンとなった。

■ジャック・ミラー(ホンダ、21歳、オーストラリア)
 クイーンズランド州タウンズビル出身。8歳からレースを初めて10代前半で豪州の多くのレースで優勝し、16歳で欧州のレース参戦、17歳でモト3に参戦。14年に6勝して15年からモトGPに昇格。豪州出身者でモトGPで優勝したのは12年に5勝したケーシー・ストーナー以来であり、地元豪州からの期待は熱い。

■マーベリック・ビニャーレス(スズキ、21歳、スペイン)
 昨年、スズキに復帰後初優勝をもたらした。7歳でレースに参加し、13年にモト3で年間チャンピオン、15年にモトGPに昇格。今年は第12戦までに125PTを獲得し、第4位につけている。今後を期待される逸材である。

マルケスが年間チャンピオンに最も近く、ベテランのロッシとロレンソがすぐ後を追っている。ミラーとビニャーレスの2人の21歳も好調である。更にはイアンノーレとクラッチローの初優勝のベテランも2勝目を狙っている。昨年まで3強と言われたダニ・ペドロサ(ホンダ、30歳、スペイン)もサンマリノGPで優勝して巻き返してきた。

今年は安定した走りを見せるマルケス
今年は安定した走りを見せるマルケス
史上最強のライダーと称されるロッシ
史上最強のライダーと称されるロッシ
昨年チャンピオンに輝いたロレンソ
昨年チャンピオンに輝いたロレンソ
地元豪州からの期待が高まるミラー
地元豪州からの期待が高まるミラー

ホンダとヤマハが熾烈な争いを展開

メーカー別(マニファクチャラーズ・ランキング)では、ホンダ6勝、ヤマハ5勝と激しく優勝を争っている。マルケスが年間優勝優先で2位、3位狙いに出た場合、ロッシ、ロレンソの追い込みによってヤマハの逆転優勝も十分に考えられる。ここ5年間は、ホンダとヤマハで全ての勝利を分け合ってきたが、今年は様相が違う。スズキは07年に1勝を挙げたがその後低迷。12年から3年間は一時休止をしていたが、復帰後若きエース、ビニャーレスの活躍で11年ぶりに優勝を飾った。イタリアの名門、ドゥカティもイアンノーレの活躍で10年以来の6年ぶりの勝利となった。

モト2クラスではオランダGPで出光ホンダ・チーム・アジアの中上貴晶(カレックス・ホンダ、24歳)が念願の初優勝を果たした。日本人ライダーとしては、10年カタルーニャGPの高橋裕紀以来6年ぶりでモト2クラスで3人目の快挙となった。

モト2クラスのエンジンはホンダの市販車CBR600RRのエンジンをレース用に改造したワンメイク(独占供給)である。タイヤはダンロップタイヤ製のワンメイクを使用している。

若いライダーの登竜門であるモト3クラスには尾野弘樹(ホンダ、24歳)と鈴木竜生(マヒンドラ、19歳)が参戦している。英国GPまでに尾野が21点、鈴木が12点を獲得。日本のブリジストンは今年モトGPから撤退し、フランスのミシュランがタイヤの公式サプライヤーとなった。


文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz/)を経営

モトGP観戦情報

■レース・コース
 フィリップ・アイランド・グランプリ・サーキットは、メルボルンから140キロ南に位置し、コアラやペンギンツアーとして名高いフィリップ島にある。晴れた日には美しい海と緑に囲まれた世界一美しいサーキットと呼ばれるが、「咆哮する南緯40度」と恐れられるバス海峡から強烈な南風が吹き込むと世界一厳しい難コースに変わる。ホーム・ストレートは900mで全長4,448m。

■服装
 フィリップ島はバス海峡から冷たく強い風が吹き付ける。地元の人は、完全な真冬用防寒具で身を包んでいる。冬用ジャケットやセーター、また観戦時に会場で広げるビニール・シート、雨の日には会場周辺はぬかるみと化すので長靴もあると便利。晴れた日には日焼け止め、サングラス、帽子も忘れずに。

■交通
 メルボルンからはシャトル・バスが運行している。市内サザン・クロス鉄道駅構内の北側にあるバス・ターミナルから乗る(フェデレーション・スクエアのバス乗り場は廃止)。

■イベント
 一番人気はライダーたちによるサイン会。21日と22日に行われ、マルケスなど世界のトップ・ライダーの直筆サインが入手できる。朝9時にサイン会場に並んで整理券をもらうこと。決勝戦のある23日の午前中は9時過ぎからスーパー・バイク・レースや各クラスのウォーム・アップなどが行われる。午後12時25分からは、モトGPライダーのパレードがある。13時からはモト3クラス決勝レース(23周)、14時20分からはモト2クラス決勝レース(25周)と続き、16時からモトGP(27周)がスタートする。サーキット内の各種レースだけでなく、さまざまなイベントが開催されているので、朝早くから丸1日楽しみたい。帰りはフィリップ島から出るだけでかなりの時間を要するので注意。

2016 Australian Motorcycle Grand Prix
日程:10月21日(金)~23日(日)
会場:Phillip Island Grand Prix Circuit, Cowes VIC
料金:一般$42(金)、$90(日)、グランド・スタンド$310~、VIP$900~
Web: motogp.com.au

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