世界の興奮がゴールドコーストに熱戦スディルマン・カップ2017

世界の興奮がゴールドコーストに

熱戦スディルマン・カップ2017

バドミントンの国際大会で2年ごとに開催されるスディルマン・カップ2017(TOTAL BWF Sudirman Cup 2017)。過去14回は、全てバドミントン強国が集中するアジアとヨーロッパで行われてきた同大会が、ついにゴールドコーストにやってきた。前回大会で銀メダルを獲得した日本チームは、リオ五輪のメダリストを中心としたチームで悲願の金メダルを狙う。そんな大会の模様をレポートする(世界ランキング(以下WR)は5月18日付)。
取材・文・写真=植松久隆(本紙特約記者/ライター)

スディルマン・カップとは

バドミントンの国際大会「スディルマン・カップ2017」が、5月21日から8日間の日程でゴールドコーストで開催。世界のバドミントン強国同士が、国別の混合団体戦でその“総合力”を競い合う同大会は、アジア諸国やヨーロッパを中心に大いに盛り上がる。選手個々の対決ではなく、団体戦、しかも混合で個々の国が死力を尽くしてぶつかり合うところに熱狂が生まれる。

そんな熱狂の舞台に、前回大会での銀メダルの結果を受けて今大会で悲願の金メダルを狙う日本代表チームが乗り込んできた。

16人の選手からなる“総力戦”に臨む選手団には、詳しくは後述するが、女子ダブルスWR1位の“タカマツ”ペアこと高橋礼華・松友美佐紀、リオ五輪女子シングルス銅メダルの奥原希望などのビッグ・ネームも含まれる。

まずは、簡単に大会の歴史をひも解いておこう。「スディルマン・カップ」は、インドネシアのバドミントン界の大立者で同国のバドミントンの父とも言われる故ディック・スディルマン氏を顕彰する目的で1989年に創設された。初回大会は、スディルマン氏の母国インドネシアの首都ジャカルタで行われ、インドネシアが見事に優勝して大いに面目を施した。

その後、確実に回を重ねてきた同大会だが、第1回から第13回大会までの優勝、準優勝国は、インドネシア、中国、韓国、デンマークの“4強”による寡占状態。アジア、欧州の特定のバドミントン強国だけが幅を利かせ続けてきた大会に、ようやく風穴を開けたのが前回大会銀メダルの日本だった。

金メダルを狙って勇躍、豪州へ

日本は、男女それぞれの国別対抗戦であるトマス杯/ユーバー杯では優勝を含め一定以上の結果を上げてきた。しかしながら、男女混合による総力戦のスディルマン・カップでは、ライバル国の後こうじん塵を拝し続けてきた。何とか結果を出したいと男女共に総合力の底上げを進めて臨んだ結果が、前大会の銀メダルに結実。そうなれば、残る目標は一番輝かしいメダルしかないということで、今大会の最大目標は悲願の金メダルになる。

しかし、WR5位の日本には不安材料が無いわけではない。一番の不安材料は「男子のエース不在」。昨年4月、男女共に結果が出て上げ潮に乗っていた日本バドミントン界に大きなスキャンダルが襲い掛かった。当時、男子シングルスWR2位まで上っていたエース・桃田賢斗の違法カジノ店での賭博行為が発覚。日本代表選手指定から外された桃田には無期限の競技会出場停止処分が科された。その出場停止は既に5月15日におよそ1年ぶりに解除されたが、当然ながら今大会に臨む日本チームには桃田の名はない。「桃田がいれば……」と思うファンが少なくないのは分かるが、それを言っても詮無きこと。日本代表チームの朴柱奉監督は、今大会で悲願の金メダルを狙うために、チームの総合力を最大限に発揮し得る現時点での最精鋭を豪州に送り込んできた。

同大会は、男子シングルス/ダブルス、女子シングルス/ダブルス、混合ダブルスの5試合を行い、どちらかの3戦先勝で試合を決する(予選リーグは試合進行の途中で勝敗が決しても最後まで試合を行うが、決勝トーナメント以降は勝敗が決した時点で試合終了となる)仕組みで、何よりも重要なのはチームの和から生まれる“総合力”なのだ。

予選リーグ初戦のドイツ戦(21日)では、男子シングルスを落としたものの、4-1で貫禄勝ち。その時点で、日本は予選リーグ2位以上での決勝トーナメント進出をほぼ確実にした。WR6位(日本は5位)と実力拮抗のマレーシアとの1戦(24日)は、男子シングルス、混合ダブルスを落とすも、3-2で勝利。予選リーグの1位通過を決めて、決勝トーナメントでのシード権を獲得した。

その後の抽選では、何と再びマレーシアと相まみえることになったのだが、その結果は当稿の締め切りには残念ながら間に合わない。

女子ダブルスWR1位の“タカマツ”こと高橋礼華・松友美佐紀ペア
女子ダブルスWR1位の“タカマツ”こと高橋礼華・松友美佐紀ペア
マレーシア戦、気合の入った表情を見せる園田・嘉村ペア
マレーシア戦、気合の入った表情を見せる園田・嘉村ペア
大会では何よりもチームとしての総合力が求められた
大会では何よりもチームとしての総合力が求められた
試合会場には多くの日本人も観戦に駆け付けた
試合会場には多くの日本人も観戦に駆け付けた

金メダルを狙う多士済々

ここで日本選手団の陣容を、予選リーグの戦いぶりと併せて紹介しておこう。

エース不在の男子とは裏腹に女子は盤石。高いレベルで切磋琢磨して共に成長し続ける山口茜(WR3位)、リオ五輪の銅メダリスト奥原希望(WR10位)が並び立つ女子シングルスに死角は無い。ドイツ戦に奥原、マレーシア戦に山口が出場、きっちり結果を出した。

女子ダブルスも揺るがない。WR1位でリオ五輪の金メダル・ペア“タカマツ”こと高橋礼華・松友美佐紀ペアの優勢は動かしがたい。ドイツ戦、マレーシア戦共に貫禄の勝利。ゴールデン・ペアにもしものことがあっても、成長著しい米元小春・田中志穂ペア(WR8位)が控える。

男子ダブルスは、安定感の園田啓悟・嘉村健士ペア(WR6位)がファースト・チョイスで、予選の2戦共にチームの勝利の先陣を切った。混合ダブルスは、ドイツ戦に数野健太・栗原文音ペア(WR13位)、マレーシア戦には渡辺勇大・東野有紗ペア(WR22位)がそれぞれ出場して、存在感を見せた。激戦必至の決勝トーナメントでは、最後の砦である混合ダブルスの彼らがどこまで頑張れるかに勝敗が掛かってくる局面も出てくるはずだ。

やはり不安は、男子シングルス。ドイツ戦の西本拳太(WR61位)、マレーシア戦の五十嵐優(WR102位)という若いラインアップがいずれも敗れたが、ここからはある種の「開き直り」で敢闘精神を貫き、何とかベストの結果を導き出してもらいたい。

オーストラリア・オープンでも、日本選手を応援しよう!

今回の熱戦の舞台は、ゴールドコースト・スポーツ・レジャー・センター。来年に迫ったゴールドコーストで開催される英連邦大会(コモンウェルス・ゲーム)のために新設されたアリーナで、一足早く完成して今大会がそのこけら落としとなった。非常に設備の整ったアリーナで、今後の国際大会などの誘致にも大きな可能性を感じさせる。

スケジュールの関係上、残念ながら決勝トーナメントの盛り上がりを紙面でお伝えすることは叶わないが、日豪プレスのウェブサイトでは、大会期間中のさまざまなトピックを取り上げてるいるので、そちらもぜひご覧頂きたい。

なお、日本代表選手の主力は、世界を転戦するスーパー・シリーズの1つ「オーストラリア・オープン」(6月20~25日、シドニー・オリンピック・パーク)にも参戦する予定だけに、スディルマン・カップの興奮の余韻を世界のトップ・プレーヤーのアクションと共に感じる機会がシドニーの読者の皆様にはあることも書き添えておこう。

バドミントン、思った以上にエキサイティング。この興奮は、ぜひ生で感じてもらいたい。必ずや魅了されるはずだ。

〇日本 4-1 ドイツ●(5月21日)

男子複:園田啓悟・嘉村健士(WR6)〇 2(21-12、21-19)0
女子単:奥村希望(WR10)〇 2(21-10、21-5)0
男子単:西本拳太(WR61)● 0(8-21、18-21)2
女子複:髙橋礼華・松友美佐紀(WR1)〇 2(21-11、21-6)0
混合複:数野健太・栗原文音(WR13)〇 2(21-17、13-21、21-16)1

〇日本 3-2 マレーシア●(5月24日)

男子複:園田啓悟・嘉村健士(WR6)〇 2(18-21、21-17、21-16)1
女子単:山口茜(WR3)〇 2(21-6、21-17)0
男子単:五十嵐優(WR102)● 0(8-21、5-21)2
女子複:髙橋礼華/ 松友美佐紀(WR1)〇 2(21-17、21-18)0
混合複:渡辺勇大/東野有紗(WR22)● 1(21-17、13-21、19-21)2

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