2015年豪州F1グランプリ観戦ガイド

2015年豪州F1グランプリ観戦ガイド

2015年モーター・スポーツ界の幕開けとなる豪州F1グランプリ(GP)は、3月12~15日までメルボルン市内のアルバート・パークで実施される。モーター・スポーツの最高峰F1GPレース界の展望とメルボルンGPの見どころを紹介する。文=板屋雅博

マクラーレンとホンダのコンビが復活

なんといっても今年のF1界の注目はホンダの復帰である。かつてF1GPを席巻したマクラーレンとホンダのコンビが復活するという衝撃的なビッグ・ニュースは世界のモーター・スポーツ界を駆け巡った。しかもレーサーは、フェルナンド・アロンソ、ジェンソン・バトンという世界チャンピオン経験者たち。メルセデスAMG、レッドブルの2強にマクラーレン・ホンダがいかに挑戦するか。パワー・ユニットではメルセデス・ベンツ、ルノー、フェラーリの3社寡占体制にホンダ・エンジンが食い込めるか。ドライバーでは英国のルイス・ハミルトン、ドイツのニコ・ロズベルグ、豪州のダニエル・リカルドのトップ3だが、元世界チャンピオンのアロンソ、バトンがいかに挑戦するかなど見どころと興味は尽きない。

マクラーレン・ホンダといえば必ず語られる逸話がある。1988年、ホンダからエンジン供給を受けたマクラーレンが全16戦中の15戦で優勝を果たした。伝説の2人のドライバー、アイルトン・セナが8勝、アラン・プロストが7勝である。当時のホンダを説得して参戦させたのが現在のマクラーレンCEOロン・デニスであり、エンジン供給を決断したのはホンダ創設者の本田宗一郎であった。この夢のチームが今年、メルボルンで復活する。

ホンダは2006年から3年間、エンジン、車体のすべてを供給するフルコントラクター・ワークス・チームとして参加していたが、本社の業績不振により2008年を最後にF1GPから完全に撤退していた。この3年間にホンダのドライバーとしてチームを引っ張り、唯一の優勝を叩き出したのがジェンソン・バトンである。

撤退したホンダから車体とエンジンをそのまま引き継いだブラウンGPで09年、バトンは6勝を挙げ、念願の年間チャンピオンとなった。バトンにとってもホンダとは相性が良く今回のホンダの復帰を心待ちにしていた。


ホンダの復活を心待ちにしていたバトン


名門フェラーリからマクラーレン・ホンダに移籍したアロンソ

バトンとともに正ドライバーとなったフェルナンド・アロンソは、名門フェラーリからの移籍だ。05~06年と連続でルノーで年間チャンピオンに輝き、10年から昨年までの5年間はフェラーリで11勝を挙げ、年間2位が3回と、年間チャンピオンまであと1歩に迫っている。そのアロンソがフェラーリを投げ売ってマクラーレン・ホンダに参加した意義は大きい。

09年のブラウンGP(旧ホンダワークス)の優勝後、10年からはレッドブル・ルノーのセバスチャン・ベッテルが4連覇を飾った。全盛を誇ったベッテルだが、昨年は1勝もできずに年間4位に沈んだが、代わって活躍したオーストラリア出身のダニエル・リカルドが予想外の3勝を挙げて、レッドブル・ルノーはなんとか年間2位に食い込んだ。

昨年、年間チャンピオンに輝いたのはメルセデスAMGのルイス・ハミルトンだ。ハミルトンは08年に史上最年少で年間チャンピオンになり、その後も毎年数回の優勝を挙げて復活を狙っていた。昨年は19戦中11勝を挙げてぶっちぎりで年間チャンピオンを奪取した。2位のメルセデスAMGのニコ・ロズベルグも5勝を挙げている。当然、メルセデスAMGがコントラクター年間優勝を飾った。

エンジン技術の差が成績に影響か

昨年からレギュレーション(マシンの規定)が大きく変更された。エンジンはそれまでのV8からV6(V型6気筒直噴ターボ・エンジン)に変わり、ハイブリッド化も本格導入され、搭載される燃料も制限が厳しくなった。それによって、エンジン技術の差が成績に大きく影響することになった。F1も環境重視の姿勢を明確にすることにより社会に貢献しているというイメージをアピールしないと生き残れないからである。ホンダが復活を決めた背景にも環境技術の追求とエンジンの小型化が大きなポイントである。

マシンの性能を示すポール・ポジションではメルセデスAMGは18回を獲得してそのマシン性能の高さを証明し、レギュレーションの変更を最も生かしたチームとなった。最高速と生み出す高性能エンジン、ハイブリッド(KERS)をブースターに使う戦略、高い燃費性能などで他チームの追随を許さなかった。レッドブルのダニエル・リカルドが3勝を挙げたが奇跡的と言えるだろう。

リカルドはオーストラリア、パース市出身の25歳。12年はレッドブルの第2チームであるトロロッソ(レッドブルのスペイン語)の正ドライバーとして参戦し、マーク・ウェバーの引退によってレッドブルの正ドライバーに抜擢された新鋭だ。オーストラリアのモーター・スポーツ・ファンはウェバーがなし得なかったメルボルンGPでの優勝と年間チャンピオン獲得をリカルドに熱く期待している。

さて、華々しい復帰記者会見を行ったホンダだが、今年2月上旬にスペインで開かれたF1各チームによるテストでは、4日間合計で79周で最下位という結果に終わった。久しぶりに復帰してメルボルンですぐに結果を出せるほどF1界は甘くないが、老練なアロンソやバトンであれば、他チームの隙をついて上位に食い込み、年間で1勝を挙げる可能性はある。数年後にはエンジンだけでなく純ホンダ・ワークス・チームとしての復帰も期待したい。3月15日のF1本戦までにどこまでマシンを仕上げられるか世界が注目している。

メルセデスAMGは、テストで合計516周と他チームを圧倒し、今年もメルセデスAMGがF1の中心になることは間違いないだろう。

一方、メルセデス、マクラーレンと並ぶ御三家でF1の代名詞とも言える名門フェラーリの元気がない。08年の年間優勝を最後に6年も優勝から遠ざかっており、常勝を義務づけられたチームだけに厳しい状況である。ただ一人気を吐いたアロンソがマクラーレン・ホンダを去り、23年の長きにわたってフェラーリの会長を務めたルカ・ディ・モンテゼーモロが責任を問われて更迭される事態になった。今季のフェラーリの行方にも注目したい。

日産自動車はレッドブルの正式名称インフィニティ・レッドブル・レーシングのタイトル・スポンサーとなっているだけでなく、激変するレギュレーションに沿って小型高性能エンジンやハイブリッド(KERS)でも資本提携先のルノーを応援している。

マルシャ、ケータハムの2チームが去り、15年は9チームが参戦するがエンジンで見るとメルセデス4チーム、ルノー2チーム、フェラーリ2チーム、ホンダ1チームとなる。

今年からスタートが午後4時に変更

さて、今年のメルボルンGPは1時間早い午後4時スタートなった。欧米でのテレビ放映の関係上、09年よりF1GPを主催するFIAの強い要請を受けて午後5時のスタートを強いられていたが、昨年の日本GPでの事故や危険性の指摘を受けて、今年から午後4時スタートとなっている。58周を周回約1分35秒前後で走り、午後5時半ごろに完走する。


文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz/)を経営
 

初めてでも安心! F1観戦の楽しみ方

メルボルンGP開催地であるアルバート・パークは、市内から海岸へ向かって南へ直線で3キロほどの場所にある。メルボルン最大の憩いの公園であり水泳場、体育館、野球場、フットボール場、18ホール・ゴルフ場など数十の陸上競技施設、ボート・コース、小型ヨット・レース場など、広大なアルバート・パーク湖を利用して行われる巨大なスポーツ公園でもある。F1GPレースは、美しいアルバート・パーク湖を周回する5.3キロの公道を使用して行われる。レースの数日ほど前まで公園として使えるためにレース・コースを自転車やジョギングで回ることができる。運が良ければ、大型トレーラーで各チームのマシンが搬入されるのにも出合える。

GPの1週間ほど前から市内ヤラ川河畔のクイーンブリッジ・スクエアやフェデレーション・スクエアなどでGPイベントや土産物販売店などがオープンしているのでぜひチェックしよう。

 

シティ会場へのアクセス

会場には、公園全体にわたって10カ所の入場ゲートがある。シティから約10分のシャトル便トラムがいくつかのゲートとシティを往復する。入場券を持った人は無料で途中乗下車はできない。シティから近いのはゲート3~5番ゲートだが、会場内でのアクセスがあまり良くない。

1番ゲートがメイン・ゲートであり、催し物会場、飲食屋台街、土産物売り場なども近く、会場内でのアクセスも良くお薦め。セント・キルダ通り側の8番、9番ゲートは入場者が少ない上に、湖の仮設浮き橋を渡るとメイン・ゲート前に出られる利点がある。歩いてもシティからクラレンドン通り沿いに20分ほどで行ける。帰りのトラムは非常に混んでおり、徒歩でシティへ向かう人も多い。

 

お勧めの観戦場所

広大なアルバート・パークのどこで観戦するかは重要なポイント。レース開始の2時間前には観戦場所を確保しよう。まずは入場ゲート会場のあちこちで配布している地図を入手しよう。

第1ゲートを入るとF1GPグッズなどの売店が並ぶ広場に出る。プレミア観客スタンドや企業用スタンドが並び、一般入場券ではスタンド観戦は不可。陸橋を渡り湖側を左へ行くと第2コーナーから第3コーナーにかけて広い芝生の丘があり、直線で高速F1の走りを楽しめる。早めに良い場所を陣取ること。メイン・ゲートから陸橋を渡らずに、左に歩いて行ったところにも芝生の丘が広がる。MSACスポーツ・センター前の第3コーナーから第6コーナーは、カーブが多く加速減速を繰り返す低速での走行が楽しめる。観客席との距離も近く、F1マシンとの一体感も楽しめる。写真を撮るならばこの辺りがお薦め。スピンや事故が起こりやすいのもこの辺り。特にスタート直後は、目が離せない。

第9、第10コーナーは、1番スピンしやすい場所で劇的なシャッター・チャンスが望める。第10コーナーから13コーナーにかけては、F1マシンの高速が楽しめるバック・ストレッチ。この辺りは観客が少なく、グッズの販売店、イベント広場、キッズ・コーナーがあり家族連れがのんびり楽しむならば、この辺りが良い。アルバート・パークの湖の中に、仮設浮橋がかけてあり、反対側に歩いて湖を渡ることができるので、湖の両岸を行き来して楽しむのもいい。レース前になると往来する人が増えて入場制限されるので注意。

 

メルボルンGPのアトラクション

4日間の大会期間の中でF1マシンの走行は、練習セッションを入れても多くない。待ち時間はアトラクションを楽しもう。レース・コース内では、V8スーパー・カー・レース、クラシック・カー・レース、有名人レース、学生模擬レースなどの各種レース、コース外では、V8スーパー・カー・ゾーン、アクション・ゾーン、生バンドによるステージ・ショー、F1カーの歴史展示、モト・クロス、F1レース体験コーナー、GPガール写真会、キッズ・コーナー、豪州空軍による航空ショーなど多種多様のアトラクションが会場のあちこちで実施される。

見逃せないのは、F1ドライバーによるサイン会。12日木曜日には、レッドブル、フェラーリ、メルセデスAMGなどのレース・ドライバーが参加予定。チームごとに終日やっている。V8ビレッジの中にあるサイン会場で行われる。

 

決勝当日のスケジュール

・10:30AM…ゲートがオープン。
・11AM…ビンテージ・カー、欧州名車のパレード、人気のV8スーパー・カー・レース、子どもGPレース
・2:30PM…F1ドライバーのパレード
・2:40PM…空軍機によるアクロバット飛行
・3:50PM…国家斉唱
・3:52PM…カンタス航空大型機のデモ飛行。旅客便ではありえない急旋回が見どころ
・4PM…F1GPレーススタート
・5:30PMごろ…レース終了予定

日焼け対策は十分にしておくこと。サングラスや帽子は必需品。日焼け止めは2時間ごとに塗布し、水も定期的に補給すること。耳栓はあちこちで販売されているが、必ずしも必要ではない。酒類の持ち込みは禁止されており、ゲートで没収されるから注意。

F1 Rolex Australian Grand Prix 2015
会場:Albert Park VIC
日程:3月12日(木)~15日(日)
入場料:決勝$79、4日券$149など
Web: www.grandprix.com.au

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