番外編 HSBCセブンズ・ワールド・シリーズ 東京ラウンド

Go! ワラビーズ in Japan

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番外編

HSBCセブンズ・ワールド・シリーズ 東京ラウンド


 日本ラグビー界では現在、オーストラリア、ニュージーランドなど世界の強豪チームでの代表経験を持つ選手が多数プレーしており、日本のレベル・アップにひと役買っている。そこで、かつて豪州で活躍し、現在は日本に舞台を移した元ワラビーズの選手たちについて日本からリポートする。文=山田美千子/写真=山田武

 1999年に創設され、世界各地を廻る方式で実施されている国際ラグビー・ボード(IRB)主催の7人制ラグビー「セブンズ」の国際大会がオーストラリアではゴールドコースト、日本では東京で開催されている。今年、東京開催となった「HSBCセブンズ・ワールド・シリーズ」では世界中から強豪が集まり熱戦を繰り広げた。オーストラリアのプレート優勝の軌跡と日本代表の戦いぶりをリポートする。

15人制でも活躍する若きトライゲッター、藤田慶和選手


日本代表ジェイミー・ヘンリー選手

一昨年は嵐のような強風、昨年は3月末とは思えぬ寒さ。3度目の開催にして初めて初日から好天に恵まれたHSBCセブンズ・ワールド・シリーズ東京セブンズ。7人制ラグビーの世界大会が今年も東京で開催された。初戦を終えたオーストラリア代表選手グレッグ・ジェロウテヴ選手の「寒くもなく、風も強くなく、ラグビーをするのにパーフェクトな天気だったね」というコメントに、思わず頷いてしまった。

 

オーストラリア 究極の目標

オーストラリアは、イングランド、スコットランド、スペインと同組のプールD。予選プールから気の抜けない戦いが続いた。

初戦の相手はスペイン。2年ぶりに日本でその雄姿を見せてくれたカリスマ的なキャプテン、エド・ジェンキンス選手が前半2分過ぎにトライし、28−7で初戦を飾った。2戦目はスコットランド。開始直後に先制トライを許してしまったがグレッグ・ジェロウテヴ選手の3連続トライもあり26−19で勝利。そして、1日目最後はイングランド。ここでも豪州は積極的に攻め14−7で前半を折り返すも、後半に入るとイングランドが反撃。ボールを支配される時間が長くなり、焦りを見せた豪州は痛恨の反則。ジェンキンス選手がシンビン(一時退場)の隙に得点を許し、21−24と逆転負けとなった。

「自分たちで厳しいゲームにしてしまった」とジェンキンス選手が語った通り、反則で自らの首を絞めてしまった豪州。フィールド上に7人のプレーヤーしかいないセブンズだが、広さはユニオン(15人制)と同じ。それだけに1人欠けた時の影響はとても大きくなる。しかし、そこは国技ラグビーを掲げる豪州、2勝1敗のプール2位でカップ準々決勝へと駒を進めた。

 

宿敵ニュージーランド


ゴール裏で陣取る日本代表応援団

セブンズの試合では、もはや名物となった仮装客も増えた2日目。思い思いのコスチュームに身を包み、応援を楽しんでいる光景が見られた。

この日の対戦は、宿敵ニュージーランド(以下NZ)。先制したのはNZ。その後しばらく膠着状態が続いたが、危険なプレーでジェンキンス選手がシンビンになると、その隙にNZが得点し14−0。必死に追いすがるが壁を崩すことはできず、21−12でカップ戦からは敗退。プレート戦へとまわることになった。


ハンド・オフするジェイミー・ヘンリー選手


ボールを持って走るトム・ルーカス選手

プレート準決勝はケニアと対戦。3試合出場停止のジェンキンス選手に代わり、コン・フォーリー選手がキャプテンに。この試合は完全に豪州がペースを取り戻し、36−0の完勝となった。

そしてプレート決勝、対戦相手はアメリカ。先制トライを決めたのは豪州だったが、前半は米リードで折り返した。後半に豪州が意地の連続得点で逆転。17−12で逃げ切り、プレート優勝を決めた。

フォーリー選手は「やはりカップを取れなければ意味がないんだ。プレート優勝じゃだめなんだ。来週の香港ではカップ優勝を狙うよ」と力強く語ってくれた。

セブンズではカップ、プレート、ボウル、シールドと4つの優勝があるのだが、考えてみればプレート優勝というのは、この大会での5位を意味する。優勝と名はついてもカップ優勝でなければ優勝とは言えない、というのが彼の思いなのだろう。


プレートを手にするコン・フォーリー選手

今大会、一番気になったカム・クラーク選手。グランド上で見せる厳しい表情とはまったく違う笑顔にすっかり魅了されるファンも多いようだ。

「いつも同じポジションでプレーするわけではないので、トライできるとは限らないけど、トライを取れるのはやっぱり嬉しい。でもトライの数にこだわらず、勝ち続けることが大切だと思う。キックは(蹴り方が)ユニオンとは違うから、2011年にセブンズを始めてから(セブンズの蹴り方を)練習したんだ。ユニオンとセブンズはスケジュール的に両立は難しい。今はセブンズが楽しいんだ」

今後が楽しみなイケメンの選手が多い豪州。彼らも将来、オーストラリアのラグビー・ナショナル・チーム「ワラビーズ」としてプレーする日が来るかもしれない。

 

日本勢の戦い

一方、開催地となった日本の戦いはというと、アルゼンチンとの初戦は14−14で引き分け。2戦目の相手は昨年のセブンズ東京の覇者、南アフリカ。立ち上がりは互角以上の戦いを見せたが、ミスから連続トライを許し33−5で敗れ、3戦目のケニア戦は12−7で惜敗。しかし、日本の戦いぶりは着実に進化していた。2日目のボウル準々決勝の相手は過去に優勝経験もあるサモア。日本は立ち上がりからサモアを圧倒し42−12という大差で勝利。東京開催3年目にしての初勝利で、ボウル準決勝に進出を決めた。

準決勝のウエールズ戦では、土壇場で追いつき19−19。シンビンで退場者を出していたウエールズに数的有利だったはずの延長戦で先にトライを決められ敗退。勝利は手のひらからこぼれていった。

しかし、勝利の味を知った日本は翌週、コア・チーム昇格をかけた香港での試合で全勝優勝し、来シーズンのコア・チーム入りを決めた。今後、日本がどんな戦いを見せてくれるのかとても興味深い。

 

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