給与税(Payroll Tax)の調和計画

税務会計最前線

KPMG会計事務所
税務コンサルタント 山田友美


給与税(Payroll Tax)の調和計画


  オーストラリア全州および特別地域では、2008年7月1日以降給与税の重要な規定が導入された。これら新しい規定の大部分は07年3月に全州および特別地域の財務長官が同意した給与税調和計画の一環であり、(給与税調和計画に沿った)そのほかの給与税規定は各州および特別地域の予算案に含まれている。


 はじめに、給与税とは雇用者から従業員に対して支払われたまたは支払われる給与(Wages)に課される税であり、各州および特別地域がそれぞれ異なる税法を有している。そのため、給与の定義、税率、非課税給与限度額や損金算入可能な給与税などは各州および特別地域ごとに異なる。
 しかし、各州および特別地域ごとの税率および非課税給与限度額は維持しながらも、全州および特別地域では08年7月1日より給与税に関する8つの重要な範囲において調和規定が適用された(NSW州とVIC州では07年7月1日より当該範囲に関する給与税法の調和が導入された)。下記はその8つの調和規定の概要である。
1. 提出期日
 給与税は7/6月が納税年度であり、6月末の申告書および年次調整申の提出期日は7月21日となり、ほかの月次申告書の提出期日は月末から数えて7日後となる。
2. 宿泊手当て
 宿泊手当てに関する免税限度額は、所得税法下(Income Tax Assessment Act 1997)で定められている「最低給与帯最低首都(Lowest salary band/lowest capital city)」 免税限度額が適用され、当該限度額は毎年更新される。現在1泊あたりの宿泊手当て免税限度額は201.25ドルであり、この免税限度額には宿泊費、食費および雑費が含まれる。
3. 自動車手当て
 自動車手当ての免税限度額は、国税当局が損金算入目的で毎年設定する大型車に対するレートが適用され、現在は1キロメーターにつき70セントである。
4. フリンジ・ベネフィット・タックス(FBT)
●FBTとは、雇用者から、または雇用者とのアレンジに基づき第三者から、従業員またはその家族に供与される現物供与/経済的利益を指し、フリンジ・ベネフィットに対して課税される税(FBT)の納税義務は雇用者にある。
●現在のFBT税率は46.5%であるが、この税率を直接FBT課税評価額に乗じるのではなく、FBT課税評価額をグロスアップした金額に乗じる。
●このグロスアップ・レートにはタイプ1とタイプ2があり、雇用者が仕入税額控除を請求できる場合はタイプ1(09年度のレートは2.0647)を、雇用者が仕入税額控除を請求できない場合はタイプ2(09年度のレートは1.8629)を使用する。
●給与税の算出目的でフリンジ・ベネフィットの課税評価額を決定する場合、適用されるのはタイプ2のグロスアップ・レートであり、当該レートを使用して算出されたフリンジ・ベネフィットの課税評価額が給与として含まれる。
※フリンジ・ベネフィット課税評価額×1.8629(タイプ2のグロスアップ・レート)=給与税を算出する際、給与として含まれる額。
●遠隔地勤務手当(Living-away-from-Home Allowance)とは、「通常の居住地 (Usual Place of Residence)」から離れて生活することを職務上要求されている従業員について発生する追加的な費用を雇用者が補償するために支払う手当のことであり、遠隔地勤務手当として支給されたものについては、FBT法で取り扱われ雇用者のFBT負担となる。しかし、遠隔地勤務手当のうち住居および食費手当の一部がFBT非課税とされている。給与税を算出する際に含まれるのは、FBTが課税される遠隔地勤務手当のみである。
●給与税調和規定は雇用者が「Otherwise Deductible」規定を適用し、フリンジ・ベネフィットの課税価値を従業員によって損金算入されたであろう分だけ減らすことを可能にしている。
5.  従業員株式取得スキーム
●従業員、役員または元役員への株式またはオプションの供与は給与として取扱われる。
●雇用者は、給与税の申告に含める時期を、株式またはオプションが従業員に供与された時点、または従業員が当該株式またはオプションに対し権利が確定した時点のどちらかから選択することができる。
●もし、州または特別地域の特定が難しい場合は、株式またはオプションを供与する会社が設立または登録された州または特別地域で給与を支払われたとみなされる。
●株式およびオプションの価値の評価方法は所得税法(Income Tax Assessment Act 1936)に従った方法(市場価値)となる。
6.  従業員の勤務が完全にまたは部分的にほかの州、特別地域または他国で行われた場合
●一般的に、給与税は給与が支給された州または特別地域で課税される。この規定には例外があり下記が当てはまる場合は勤務が行われた州または特別地域で給与税が課税される。
−勤務が行われた場所はすべて1つの州または特別地域であるが、給与の支給はほかの州または特別地域の場合。
−給与の支給はオーストラリア国外であるが、50%を超える勤務がオーストラリアの1つの州または特別地域で行われた場合。
●勤務が行われたのはオーストラリア国外だが、その勤務に対する給与の支給がオーストラリア国内の場合、もし従業員が他国で6カ月を超える連続期間働いた場合は給与税が免税となる(最初の6カ月を含む全体の任務が免税対象となる)。
●6カ月の連続期間は1税務年度期間中でなくてもよいが、6カ月の連続期間である必要がある。
●もし他国で働いている従業員が休暇または1カ月未満の当該任務のためにオーストラリアに一時帰国する場合は、当該他国での連続期間に支障をきたさない。
7. 年金拠出金と退職支払金
●年金拠出金は雇用者から従業員に支払われる報酬の一部とされ、雇用者の課税対象給与に含まれる。非常勤役員に対する年金拠出金や非貨幣拠出も給与税の対象に含まれる。
●政府は2007年7月1日に年金に関する税法を改正し、雇用終了時に所得税法上優遇される支払の範囲を再定義した。新たに定義された支払は雇用退職金(Employment Termination Payments)と呼ばれる。給与税は以前、適格退職金(Eligible Termination Payments)と呼ばれていたさまざまな退職金に適用されていたため、上記改正は給与税法にも影響を与えた。
●役員に支払われる退職金を含む適格退職金は給与税の対象となる。
8. 給与税グループ
●NSW州とVIC州で適用されている給与税グループ規定が他州・特別地域でも適用となるため、08年7月1日以降、グループ会社の中で1つのメンバー会社だけが非課税限度額を適用することができる。当該メンバー会社は「グループ指定雇用者」(Designated Group Employer, DGE)と呼ばれ、グループ会社の中でDGEを任命しなければならない。DGEでない雇用者は非課税限度額の適用はなく、該当する税率で給与税を支払わなければならない。さらに(特定の条件を満たした場合)GEは、DGEを含む特定のグループ・メンバーの申告を共同で行うことができるが、認可を必要とする。
●ビジネスがグループとなるのは、(1)会社法(Section 50, Corporations Act 2001)が定義する関連会社、(2)2つ以上のビジネスで共通の従業員が存在する場合、または(3)同一人物が2つ以上のビジネスの50%を超える支配持分を有する場合である。
●共通の従業員を使用する場合および支配持分を決定する場合には定型テストが適用される。支配持分とは概して50%を超える持分を指し、中間会社などが存在する場合は追跡規定(Tracing Provisions)が適用される。
●追跡規定とは、会社に支配持分を有する企業(人物または関連性のある人物の集合体)を当該会社とグループ化させる規定である。当該企業が直接持分、間接持分または直接持分と間接持分を有し、その持分価値(直接、間接またはその合計)が当該会社の合計持分価値の50%を超える場合は支配持分が存在するとされる。
●関連会社を除いて、独立してビジネスを行っている場合にはグループからの離脱を認める定型規定が含まれる。
●ビジネスの定義はオーストラリア全州・特別地域で同意義である。
●小規模グループは大規模なグループに包含される。
●会社法の定義とは関係のないグループ規定によりグループを形成したメンバーを税務長官の任意でグループから排除することができる。
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