シドニー大司教、ワクチン開発に「倫理的問題あり」

連邦主席医務官代理は「宗教界の反対は誤解」

 カソリック教会のシドニー地域大司教らが、連邦首相に宛てて、「オクスフォード大学で開発中のワクチンは中絶胎児の細胞を使っており、信者にとっては倫理的な問題を含んでいる」との書簡を送った。

 しかし、連邦のニック・コーツワース副主席医務官は、「大司教らの反対は誤解だ」と語っている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 連邦政府は、オクスフォード大学、アストラゼネカ社と、「開発中のワクチンが成功すれば、オーストラリアは2,500万人分のワクチンを購入するという契約を交わしている。

 これに対して、シドニー都市圏の3人のカソリック大司教らが、「ワクチン開発のために胎児の組織を取ることは非常に非道徳な行為であり、そのようなワクチンを国民に接種することは信者にとっては倫理的な問題に発展する」としている。

 オクスフォード大学のコロナウイルス・ワクチン開発にはHEK-293という不死化された培養細胞を用いているが、この細胞は1970年代初めにオランダで中絶胎児から採取した腎臓細胞株を長年培養し続けてきたもので、医学研究では何種類もの胎児の臓器細胞が長年用いられてきている。

 ニック・コーツワース副主席医務官は、「オクスフォード大学のワクチン開発は、国際的に最高の倫理基準に沿って行われていると信じていいと思う」と語っている。

 また、連邦議会野党労働党のジム・チャーマーズ財務スポークスマンは、「人々はワクチンがまだ試験段階のうちから批判を挙げている。私の個人的意見を言うなら、ワクチンが量産化された暁には誰でもできるだけ大勢の人が接種を受けるべきだと思う。私がカソリック教徒として言うなら、オーストラリア社会がこのコロナウイルスから脱出するためにはワクチンの助けは重要だ」と語っている。

 また、ノーベル賞受賞者の免疫学者、ピーター・ドハティ氏は、「ワクチン開発は全く倫理的に進められている。この培養組織は確立した細胞株として様々な研究で用いられている。フィッシャー大司教がHEK-293を用いたワクチン開発に反対だというのならそう表明する完全な権利があるが、私達にも彼の考えを全く無視する完全な権利がある」と発言している。

 オーストラリアでもWI-38、MRC-5といった、1970年代前後に採取された中絶胎児の肺細胞を不死化した二倍体細胞株が用いられており、風疹、A型肝炎、恐水病その他のワクチン開発にあてられてきた。
■ソース
Oxford University coronavirus vaccine has ‘ethical concerns’, Sydney Archbishops warn followers

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