第2回 個人事業主としてビジネスを始めるには

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豪州でビジネスを始めるには?

第2回 個人事業主としてビジネスを始めるには

豪州での日本企業の縮小化に伴い、自身でビジネスを始めようと考える人が増加中だ。しかし、一体何から手をつければいいのか分からないという人も多い。そこで、税金対策から経営アドバイスまでを手がける公認会計士が、豪州でビジネスを始めるための基本ノウハウを解説。

皆さんの中には、資金面や家庭の事情などにより、現在の仕事を続けながらまずはパートタイムで起業したいという人もいらっしゃるのではないでしょうか。豪州ではそのような場合、“個人事業主”として最初の第一歩を踏み出すのも1つの手段です。

個人事業主は、税金や資産保全の面で必ずしも有効的な事業体ではないかもしれません。しかし、会社法人やトラストなどのほかの事業体と比べると運営が容易で費用も安価なため、“まずはパートで起業しお小遣い稼ぎを”と考えている人には最適な方法です。

さて、個人事業主としてビジネスを始めるには、まずはABN(Australian Business Number)と呼ばれる11桁のナンバーを取得する必要があります。この番号は国税局をはじめとする公的機関が、ビジネスの統括管理を容易にするために導入された番号制度です。取得は義務付けられているわけではありませんが、ABNの公示をせずに取引先に対価を請求する場合、支払い側に46.5%の源泉徴収が課せられます。そのため、豪州ではほとんどのビジネスがABNの登録をしているのが現状です。

ABNはビジネスの数に関係なく、事業体あたり1回のみ取得が可能です。例えば個人でグラフィック・デザイナーと別荘管理のビジネスを兼業する場合でも、ABNの申請は1回のみとなります。取得方法としては、Australian Business Registerのウェブサイト(www.abr.gov.au)からオンラインで行う方法が一般的です。

ABN取得後は、いよいよ個人事業主として独立するわけですが、会社法人やトラストと同様に従業員を雇うことも可能です。この場合は必然的に、源泉徴収や雇用年金などの雇用義務が生じてきます。また、個人事業主で得た収入利益は、個人の確定申告として申告し、課税所得に対して所得税を支払う義務があります。

上記のように簡単に始められる個人事業主ですが、一方で、“個人=ビジネス”が基本的概念であるため、資産保全の観点からハイリスクのビジネスを考える人にはあまりお薦めではありません。また将来、会社法人などのほかの事業体にビジネスを移行する際は、状況によっては州の印紙税(Stamp Duty)や譲渡所得課税(Capital Gains Tax)の対象になることもあります。後になって問題が生じないように、事前に専門家に相談し、長期的なビジネス・プランを立ててから行動することをお薦めします。


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【プロフィル】
渡辺哲(わたなべてつ)

●豪州CPA、税理士。不動産管理業、個人会計事務所経営、大手監査法人勤務などを経て、2010年5月よりヴィンセンツ公認会計事務所にて日系企業の会計、税務、経営の総合的アドバイスを提供するジャパニーズ・ビジネス・ソリュルーションズを設立。

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