
目指せバイリンガル! 子どもの日本語教育には
読み聞かせが効果的

米川聡子◎2008年5月に「おーすとらりあ こどもとしょかん」を開設。日本語の絵本と教科書を活用した独自の方法で2人の子どもをバイリンガルに育てる。赤ちゃんから小学校高学年まで多くのバイリンガルの成長を見てきた経験から、バイリンガル育児法の成功例をニュースレターなどで紹介。また、妊娠中の人への情報発信も行っている。
学力の高い子どもは読書好きが多いという話を聞いたことがある人は多いだろう。読書には語彙・言語能力の発達や集中力のアップ、想像力や感受性が豊かになる、他人の気持ちが分かるようになるなど、さまざまな効果がある。そして本好きな子どもには幼少期に親が読み聞かせを繰り返し行っていたケースが多いという。
これに加え、親が日本人であってもオーストラリアで育つ子どもは英語が中心となり、日本語を忘れてしまうのではないかと不安になる人も多いだろう。
そこで実践したいのが日本語の優れた絵本の読み聞かせを幼少期に行うことだ。
赤ちゃんでも言葉は分かる
赤ちゃんに読み聞かせをしても分からないのではと思うかもしれないが、親の声を聞くことで、赤ちゃんは安心し、親子の絆がより深まるという効果がある。更にアメリカの研究で、言葉が分からない時期も含めて、幼児期に投げ掛けられた言葉の数と、成長してからの読解力の試験結果には強い相関関係があるという研究結果が発表されている。

赤ちゃんは言葉を話すずっと前から、大人の言葉による大きな影響を受けている。更にオーストラリアで暮らす子どもは日本語と英語の両方を聞くことになり、言語に関する感覚がより大きく育まれる。近年の研究では、バイリンガルの人は自由な発想力・問題解決能力・共感力が高く、複数の作業を同時にこなす能力に優れ、記憶力も良いと言われている。しかし、成長するにしたがって片一方の言語が伸び悩んでいくことも考えられるため、以前にも増して読み聞かせの重要性に注目が集まっている。
日本語の絵本が読める「こどもとしょかん」
日本の絵本の読み聞かせが子どもにとって良いのは確かだが、問題は日本語の絵本を入手するのが難しいこと。そこで利用したいのが「おーすとらりあ こどもとしょかん」(以下こどもとしょかん)だ。
主催している米川聡子さんは日本人のご主人と2人の子どもをバイリンガルで育てた経験を持ち、読み聞かせや読書の大切さを説く。オーストラリアで暮らしていても、日本語がきちんとできる子どもを育てたいと願う人へ、何か力になれないかと考え日本語の絵本を貸し出すサービスを2008年から始めた。
長年親しまれてきたロング・セラーや、人気の絵本を直接届け、貸し出すサービスをブリスベンで行っている。入会すると月額制で約4,500冊の蔵書の中から好きな本が借りられる。また、4週間ごとに厳選された本をセットにして借りることができるプランもある。地域はブリスベンを中心にゴールドコーストも対象になる。他の地域については問い合わせて欲しいとのことだ。

現在「厳選えほんセット」を利用するプランと、ゴールドコースト地域の方の入会にはウェイティングが必要になっているが、気軽に問い合わせてみよう。「お子さんが小さなころから幅広いジャンルの優れた本をたくさん読み聞かせできるようにしています。日本の本を入手するには手間もコストも掛かりますし、年齢と共に読む本も変わりますし、その都度購入するのも大変です。家に読まなくなった本がたくさん……なんてことにもなってしまいます。しかし当館を利用すればそんな悩みも解決できます。本を選ぶ時も偏ることがなく、バランス良く、さまざまな本を読み聞かせできます」と米川さんは話す。
読み聞かせは親子の絆を深め、美しい日本語に触れられる絶好の機会。子どももきっと本が好きになるだろう。ぜひこの機会に初めてみては。
11月末日までに「日豪プレス10月号を見た」と伝えると、月20冊以上の利用者は、月額利用料が10%割引になるキャンペーンを実施中だ(※ウェイティング申し込みを含む新規会員申し込みの方に限る。諸条件があるので要問い合わせ)。
おーすとらりあ こどもとしょかん
■Web: www.au-kodomotoshokan.com
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