「枕崎」のかつおと「かつおラーメン」

出倉秀男の日本料理と歩んだ豪州滞在記

出倉秀男の日本料理と歩んだ豪州滞在記
~オーストラリアでの日本食の変遷を辿る~

其の四拾八
「枕崎」のかつおと「かつおラーメン」

 日本最南端の駅、枕崎。その街には日本の食文化がたくさん詰まっていました。前回、お話したかつお、鰹節などの海の幸。温暖な気候と自然の中で育つ農作物、「薩摩」の名が定着して知られるきっかけにもなっているサツマ(薩摩)イモ、そして薩摩で育ったイモと水で使られた「薩摩焼酎(2005年、鹿児島県収穫の米、麹の原料ないし、鹿児島産のサツマイモのみを穀類原材料と鹿児島の水を原料とする。地理的表示を意識したブランド名として登録された)。そしてその焼酎に使われるイモの搾りかすなどを餌として、温暖な気候の下、大事に育てられた黒豚/鹿籠豚など食材の魅力が詰まった街が「枕崎」でした。

 枕崎での滞在中、街の中心地にある「薩摩酒造(株)」の明治蔵を訪れました。明治末期の風情が残り、薩摩焼酎の歴史が学べる施設として一般公開されており、館内では、原料となる「あかね芋」の話から、昔ながらの焼酎づくりの仕込みの様子などが学べます。また、薩摩酒造の主な商品と、ご当地限定焼酎などを試飲しながら購入することも可能です。焼酎の魅力を体感できることに加え、芋ビールなど新しい商品にも出合える場所となっています。「花渡川ビアハウス」というレストランも営業されています。

 旅の楽しみに、地元の居酒屋巡りがあります。枕崎では、前もって「酒処まんぼう」という居酒屋の予約をお願いしておきました。地元の魅力を知り尽くしたオーナー・シェフの料理は、鮮魚の刺し身や焼き物、鹿籠豚(かごぶた)の煮ものなどバラエティに富んでおり、地酒とのマッチングも素晴らしく、中でも新鮮なかつおの刺し身は、他ではなかなか味わえないおいしさでした。

 また、オーナーシェフの友人の料理人も顔を出してくれ、枕崎の食文化について熱く語って頂けました。そのシェフに紹介されたのが「かつおラーメン」。枕崎の名物メニューとなっているらしく、鰹節をふんだんに使い、しっかりと取ったダシがベースの細麺でいただくラーメン。トッピングにはチャーシューの代わりにカツオの刺し身や、たたきが使われていました。その面白さに感動させられました。

 若い世代も含めて枕崎で出会った人々からは、産業の活性化、街起こしを兼ねた観光産業、商品開発、地場産業の継承に対する情熱や意気込みが充分伝わってきました。「かごしま/さつま」というブランド名を、海外でも目にしたり、聞かれるようになる日は既にすぐそこまで来ていると思われます。

 鹿児島県には各地に「薩摩焼酎」の酒造所があります。南九州に訪れる際は、焼酎ツアーと温泉、そしてご当地のおいしい食べ物巡りなどいかがでしょう。2022年には、日本への往来も可能になることを願いながら、枕崎で出会った人たち、また頂いた料理を懐かしく思い出しています。

このコラムの著者

出倉秀男(憲秀)

出倉秀男(憲秀)

料理研究家。英文による日本料理の著者、Fine Arts of Japanese Cooking、Encyclopaedia of Japanese cuisine、Japanese cooking at home, Essentially Japanese他著書多数 。Japanese Functions of Sydney代表。Culinary Studio Dekura代表。外務省大臣賞、農林水産大臣賞受賞。シドニー四条真流師範、四條司家師範、全国技能士連盟師範、日本食普及親善大使。2021年春の叙勲で日本国より旭日双光章を受章。

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