森林火災から1年

オージー・ワイルドライフ診療日記 第84回
森林火災から1年

蘇生したアオジタトカゲの赤ちゃん
蘇生したアオジタトカゲの赤ちゃん

 オーストラリア史上において最大規模となった森林火災から1年が経ちました。火災で死んでしまったとされる動物の数は、少なく見積もっても10億匹といわれています。ビクトリア州の高山地などでは、希少種が絶滅してしまった可能性もありますが、未だ確認はできていません。

 生き残り、野生動物レスキューのボランティアらに保護され、カランビン野生動物病院でやけどの治療を受けた動物たちのほとんどは、回復し次第、保護された場所の付近にそれぞれ返されました。

 火災で焼け野原と化したクイーンズランド州南部のゴールドコーストやニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州北部の山林は、鎮火した後にめまぐるしい速さで再生を始め、今では緑豊かな木々が育っています。

 NSW州北部のリズモアにあるコアラの保護グループ「フレンズ・オブ・ザ・コアラ(Friends of the Koala Inc.)」(Web:www.friendsofthekoala.org)が保護した雌のコアラ、エンバーは、全身に負ったやけどの治療のため、カランビン野生動物病院で4カ月の入院生活を送りました。

 そして包帯が無事に取れ、木の上り下りが不やけどから回復し、野生に返されていったエンバー自由なくできるようになったころ、エンバーは保護グループが所有するユーカリ農園でリハビリのために数週間を過ごし、その後、野生に返されました。

 コアラが野生に返される際には、個体識別のために耳にタグを取り付け、更にマイクロチップを背中の皮膚に埋め込みます。

 このおかげでリリースから半年経った後、エンバーが野生の中でも元気に暮らしている姿を見つけることができました。そして、お腹の袋のう(育児嚢)は膨らみ、新しい命が育まれているようでした。絶えず変化する環境に適応しようとする動物たちから、毎日たくさんのことを学びます。

このコラムの著者

床次史江(とこなみ ふみえ)

床次史江(とこなみ ふみえ)

クイーンズランド大学獣医学部卒業。小動物病院での勤務や数々のボランティア活動を経て、現在はカランビン・ワイルドライフ病院で年間1万以上の野生動物の保護、診察、治療に携わっている。シドニー大学大学院でコアラにおける鎮痛剤の薬理作用を研究し修士号を取得。

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