番外編 東京のシドニー・ガール

サマンサのとっておきシドニーライフ

サマンサのとっておきシドニーライフ
番外編 東京のシドニー・ガール
 この数日、すっごくキツかったわ。それは、東京と白馬で過ごした人生最高のホリデーの1つが終わって、仕事に戻らなくちゃいけなかったから。チカチカするコンピュータの画面をボーっと見ながら、ふと突然、渋谷の交差点の思い出の場面が色鮮やかに頭によぎってハっとしたり。ボトルに飲み水を入れてる間、水が流れ落ちるのを見ていると、私の心は浅草のお寺へ飛んで行っちゃう。あぁ〜ランチにお好み焼きが食べたい !
 まるで失恋みたいに東京への想いは募るばかり。また行きたくてたまらない !
 私たち、「Jstyle」や「ロンリー・プラネット」のガイドブックと、まずまずの日本語会話力を武器に、東京の街に繰り出したわ。
 東京は、私が行ったことのあるほかのどんな都市とも違ってた。まず、みんなすごくお洒落のセンスが良くて、細かいところまで気を配ってるように見えたわ。特に渋谷や原宿ではね。

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浅草寺でうがいと手洗いをしてお清めをするジョエルと私

 シドニーっ子の中にも、同じくらい熱心にお洒落してる人もいるけど、たいていメチャクチャ目立っちゃうんじゃないかなぁ…滅多に見ない例外としてね。東京ではほとんどの人が若くてファンキーで、街にふさわしい格好をしてたな。
 私たちが東京に着いたのは冬の真只中。飛行機が着陸した時も雪が降ってたわ。私にとっては寒い季節ほど服を選ぶのが簡単。素敵なコートさえあればいいんだもの。でも、東京っ子(特にレディたち)は、別の手を使って自己表現してるように見えたわね。どこを見渡しても、ファンキーな靴や帽子、バッグが目に映って…。そして、多くの女の子たちが、シャツとスカートに長い靴下を合わせてた。とっても素敵だったけど、彼女たち、どれだけ寒い思いをしてるんだろうって想像せずにはいられなかったな。
 そんな体験の思い出にと、私、原宿で帽子を買ったの。ファンキーな薄手のウール製で、後ろに耳が2つ付いてるやつ。欲しいのを選ぶのに全部被ってみたりして1時間近くもお店にいたわ。それから、白と黒のストライプで、前に蝶ネクタイが付いているワンピースも買っちゃった。新しいお気に入りよ。 
 東京で行ったナイトクラブは、いろんな意味でシドニーのクラブとそっくりだったわ。基本的に音楽、人々、お酒っていう中身は一緒。私たちは、すごく人気があるクラブだって聞いた、渋谷の「アトム」で踊ったわ。

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30分以上かけて皇居東御苑の庭園を発見

 中に入る前、警備員がジョエルをボディ・チェックして、私のバッグの中を調べたのには驚いた。いったい何を調べてたのかしら。武器 ? ドラッグ ? …分からない。シドニーではそんなこと絶対にない。
「アトム」はタバコを吸う人であふれてた。シドニーでは、ほとんどの建物の中での喫煙は禁止されてるのに、東京では今だにほとんどすべての場所でタバコが許されてるよう。レストランでさえもね。だから、おそばをすするように、間接的に煙を吸い込み続けた感じがして、それにはなかなか馴染めなかったわね。
 だけど、やっぱりクラブは良かったな。DJがすっごくカッコ良くて、彼に憧れてるらしい客のみんなに、合わせながらプレーしてた。彼は踊って、歌を口ずさんで、一緒に踊ってる客に合図したりして…。超トレンディーなオーラに包まれてたわね。
 私たち、そこで一夜を明かしたの。近くのレストランで1時間くらいうたた寝して、築地の魚市場に行く始発電車を待ったわ。レストランの中でホントに寝ていいのか分からなかったけど、周りのみんなも同じようなことをしてたから、心配もよそに疲れに身を任せたの。隣のテーブルの男性がとっても面白かった。頭を低く垂らして、数分おきにスープの入ったお椀に顔をくっ付けそうになるから、私、その度ごとに見ちゃった。彼、実際にお椀のふちに鼻が当たったら目を覚ましてたわ(笑) !

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長野県松本城では月見やぐらを訪問

 でも、築地の魚市場に1歩足を踏み入れた途端、疲れも吹っ飛んだわ。朝の5時からものすごい賑わいなんだもの。ジョエルと私、見るものすべてに感動しちゃった。見るからにごくありふれたものにでもね。木箱の1つを指差して、「わぁ見て ! クラゲよ !」って叫んじゃった時はちょっと恥ずかしかったな。だってそれ、ただの大きな氷だったの。ジョエルはゲラゲラ大笑い。だけど私、彼がタワシを指差して、「わぁ見て ! ウニだよ !」って言った時、大笑いの仕返しをしてあげたわ(笑)。
 ピアモントのフィッシュ・マーケットと比較できたらって思うんだけど、実は私まだ行ったことがないのよ。ほとんどの地元の人は、平均的な観光客よりもシドニーのアトラクションに行かないの。だけど私は、シドニーのキラキラした表面の影にあるものをたくさん知ってる。で、そんな経験を渋谷でしたかったのよ。「ロンリー・プラネット」のガイド以上のものを探し出したかったの。
 渋谷での最後の夜の、あの偶然が起こるまで、そんなことはできないだろうって思ってた。私たち、渋谷に18カ月住んでるテキサス出身の人に出会ったの。彼は私たちに、雰囲気が良くて客の年齢層が少し高い、秘密でファンキーな隠れ場所を見つけるための黄金律を教えてくれたわ。それは、「上に目を向けなさい」ってこと。ほとんど何でもが道に面してるシドニーと違って、渋谷では、私たちを取り巻く高層ビルで、いろんなことが起きてたのね。そして、ついに私たちは、赤い壁に電気仕掛けのアートや彫刻が飾ってある、ファンキーなバーを見つけたわ。15人も入ればいっぱいになるようなところだけど、それこそ、私が探してたものなのよ ! マット、ありがとう !

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渋谷では友達と合流して大好物のお好み焼きを自分たちで焼いたの

 日本では、ほとんどの人が快く、遠回りしてまで私たちを助けてくれたわ。それは素敵なサプライズだった。白馬のロッジでもてなしてくれた人々、ゲレンデで会った人々、駅で会った人々…みんな。道に迷った時、自分がしてたことを止めて、わざわざ15分も一緒に歩いてガイドしてくれた人もいた。シドニーっ子たちは不親切だとは言わないけど、でも、あんなにやさしくないんじゃないかしら。
 えーっと、こんな風に東京では楽しい体験をしたんだけれど、来年までは、写真や思い出で我慢しなくちゃね。とりあえずは、お好み焼きが食べたくてたまらないのを何とかしなくちゃ。誰か、シドニーのCBDで美味しいお好み焼きが食べられる店、知らない ?

今月の気になるフレーズ
いらっしゃいませ
 日本を旅行してる間、最も戸惑ったフレーズの1つが、「いらっしゃいませ」なの。ほとんどの本や辞書がそれを「welcome」って訳してるけど、「can I help you?」って訳してるものもあるの。だから店員さんがそう言ってくれた時、何て返事していいのかぜんぜん分からなかった。特にブティックではチンプンカンプン。オーストラリアだと店員はたいてい「how can I help you?」とかって言うでしょ。習慣的な挨拶だけど「just looking」とか「I’m fine thanks」って返せばいいのよね。私、誰かが「いらっしゃいませ」って言ってくれたら、たいてい「こんにちは」とか「おはようございます」って返事したわ。これって間違ってる ?


プロフィル
Samantha Holland

シドニー大学ではジャーナリズムとコミュニケーション学を専攻。「シドニー・モーニング・ヘラルド」紙の書評コーナーに記事を寄稿するほか、本紙別冊の英字誌「jstyle(ジェイスタイル)」では編集長という大役も務める23歳。

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