We are islandersで環境共同体へ フィジー首脳は招かれず

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We are islandersで環境共同体へ

フィジー首脳は招かれず
文=青木公
 第5回太平洋・島サミットが2009年5月22・23日に北海道のリゾート地、占冠(シムカップ)で開かれた。外交好きの麻生首相が全会議に出席して、これまでになく注目された。We are islandersと、環境共同体構想で14カ国・地域をつなぎとめた。しかし、クーデター軍事政権のフィジー首脳は招かず、大らかなパシフィック・ウェーとはいかなかった。


 太平洋の島国の政治・経済的グループ、太平洋諸島フォーラム(PIF)の本部は、1987年、2000年、06年と3回クーデターが起きた中部太平洋フィジーの首都スバにある。もともとは英国統治下のミニ島国を支援するため、英連邦メンバーの先進国オーストラリアやニュージーランドが、ビッグブラザー(先輩格)として、まとめ役となり、米国統治下のパラオなどミクロネシア系の新興島国も加わって、16カ国の国際組織となった。
 日本は、個々の新興島国に対して経済・技術支援(ODA)はしているが、PIFのメンバー国ではない。97年から、PIF諸国首脳を招いて、島サミットを日本で開くようになった。
 日本はアジア・太平洋国家と称しながら、人口1万人に満たない超ミニ島国もある同地域への関心は薄かった。カツオ、マグロなど漁業面で利害関係はあったが、国連での支持票田としても浮上。97年の第1回島サミットには、当時の橋本首相が出席しないで、島国首脳は「招いたのに礼儀に欠ける」ともらしたものだ。
森元首相は太平洋の友

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 それが軌道に乗ったのは、森喜朗首相時代から。森首相の父は、日本統治下のミクロネシア・トラック島の守備隊長だった。米軍の北上で苦境にあった時、日系2世の島のリーダーが食糧補給などで日本兵を陰で支えてくれた。父から南の島びとの温情を聞いていた森首相が、新興島国のサポーターとなり、G8沖縄サミット会場を島サミットの開催場として以来、島サミットは、小規模ながら、注目されるようになった。
 5回目の今年は、サミット寸前の21日から東京都心で太平洋諸島地域研究所によるシンポジウム。日本貿易振興機構(ジェトロ)とPIFがジェトロ展示場で太平洋物産展や、小口輸入とインターネット販売のビジネス・シンポ。アジア経済研究所のシンポジウムと、それなりに盛り上がった。
 その背景には、おみやげ(ODA)付き仲良し会合の島サミットを、太平洋仲間のイコール・パートナーとして長期的な戦略を立てようとする官民の支援検討委員会の提言があった。太平洋諸島の研究30余年の地域専門家で、座長の小林泉・大阪学院大学教授に聞いた。
「環境サミットといえば、沈みゆくツバルをどうする、となる。地球温暖化による海面上昇は否定しないが、長年ツバルを見てきて者としては、9環礁の1つ、首都フォンガファレがある3平方キロのサンゴ島の乱開発と人口集中が冠水の原因ではないか」という。大潮や満潮時に海水浸しになるフォンガファレの町の様子はTVでなじみのシーンだ。

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ツバルの首都があるフナフチ島の学校



ツバルが沈む本当の理由は
 真珠のネックレスのようなフナフチ環礁で最大のサンゴ州島フォンガファレに太平洋戦争中の43年、米軍が対日攻撃のため飛行場を造った。サンゴ礁を削り、埋め立てた。船舶より旅客機の時代となり、70年代に数百人だったフォンガファレの人口は、今5,000人近い。ツバル国民の半分が、便利なフォンガファレ州島で暮らすようになった。コンクリート舗装の道路や官公庁、民家が広がって、湿地は減り、サンゴ礁の破壊で真水も採れなくなりつつある。毎年、2~3月の満潮には死んだサンゴ礁から海水が噴き出すようになった。「沈む島国」というツバル政府のアピールで、先進国の支援が増えるのはよいが、人口集中を防ぐとか、ゴミ処理場の建設の方が、ツバルのようなミニ島国の課題ではないか、というのが小林さんの指摘だ。
先進国は軍事政権嫌い
「06年末のクーデターによるバイニマラマ将軍のフィジー政府を、島サミットに招かなかった日本政府は、軍事政権嫌いのオーストラリア、ニュージーランドに同調したのではないか。インド系を抑えようとした前2回のフィジー系のクーデターの方が人種差別的ではなかったのか」
 と小林さんは分析する。島サミットでPIFメンバー国首脳を招待しなかったのは初めてのことだった。
 バイニマラマ氏は汚職追放や伝統的な長老と対立したフィジー系内の角遂から政府を奪取した。先進国とメディアには評判が良くなかったので、PIF内で仲間はずしに遭った。PIF創設期のフィジー首相カミセセ・マラ氏は、大らかなパシフィック・ウェーを唱えて、角を立てない緩和なアジア流と共通点があった。
 フィジーはずし、とはいっても、政府官僚や経済関係の民間人は、サミットのイベントには参加した。日本がイコール・パートナーの共同体を呼びかけても、経済自立ができない島国の先進国依存は、そう簡単には消えないだろう。


筆者紹介・青木公(あおき・ひろし)朝日新聞社友。日豪プレス創刊時に朝日新聞シドニー支局長。定年後、東南アジア、中南米、アフリカ大陸などの途上国を毎年、訪問・取材。現在、国際協力機構(JICA)サポーター。著書に『ODA最前線』『中高年、はつらつと海を渡る』『ブラジル大豆攻防史』ほか。海外日系紙に寄稿


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