【日本の不動産】「エアビー民泊」が変える日本の賃貸市場

そこが知りたい!日本の不動産

第13回 「エアビー民泊」が変える日本の賃貸市場

今、日本の都市部に物件を持つ大家さんの間で、外国人旅行客を短期宿泊させて高収益を得る「エアビー民泊」がブームになっています。「エアビー」とはアメリカ発祥の民泊予約サイト「AirBnB(エアー・ビー・アンド・ビー)の略称で、日本では圧倒的なシェアを持ちます。

その背景には、外国人旅行客の急増と、それに伴うホテル不足の問題があります。円安、訪日ビザ要件緩和、近隣アジア諸国の所得向上を背景に、中国人や韓国人、タイ人などの間で日本旅行熱が高まり、2014~15年の訪日客数は1,341万人から1,973万人へと47%の大幅増。東京や京都、大阪など主要都市のホテルは軒並みフル稼働が続き、「泊まりたくても予約できない」状況が常態化しています。

そこで、「ホテルより若干安く泊まれる民泊」をエアビーのサイトで予約するスタイルが流行っているのです。大家さん向けにエアビー・サイト掲載、顧客対応、ルーム・クリーニングやベッド・シーツ交換などを代行する管理会社も数多く出現しています。

東京の場合、場所にもよりますがエアビーで短期貸しした際に取れる1日あたりの宿泊料は、通常賃貸した際の月額賃料の8~12%と言われています。エアビー管理会社に支払うサービス料は宿泊料の20~25%が相場で、単純計算すると、月あたり15日(稼働率50%)以上の宿泊があれば、大家さんは通常賃貸するよりも多くの収入を手にする計算になります。

訪日旅行客に特に人気の高い浅草や新宿、山手線の駅圏内の物件をエアビー運用した場合、現状では稼働率80~90%が当たり前なので、通常賃貸の2倍近い収益性が期待できます。その恩恵にあずかっている者のうち、約20%が大家さん、残りの80%が転貸者(大家さんから通常賃貸で部屋を借りて、そこをエアビー運用して外国人旅行者に貸している者)という話。従って、大家さんの転貸承諾のある都内物件の賃料は上昇傾向にあります。京都、大阪でも似た状況のようです。

これだけ書くと「良いことづくめ」に見えるエアビー民泊ですが、いろいろ問題もあります。ホテル・旅館業界からの猛反対、騒音など近隣住民とのトラブル、安全・衛生上の問題などなど……。「旅館業法」を厳密に解釈するとエアビー民泊自体が違法営業だ、と主張する人もいます。良く言っても「法律的にはグレー」な状態。

とはいえ、都市部のホテル不足の問題は一朝一夕には解決しないため、条件付きで民泊を認めるのが現政権の方針ですし、羽田空港のある東京都大田区では一定の要件を満たした民泊を合法化する条例が出されました。今後もエアビー民泊の動向から目が離せません。



鈴木学◎グローバルに展開する不動産投資家。日豪を中心に世界7カ国で不動産に投資。投資案件開拓やセミナー講演で毎月のように世界各国へ出張。2000~05年シドニーに在住。現在は豪州国藉の妻、2人の子どもと東京在住 
Web: asia-pacific.tv

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