Prenuptial Agreement(婚前契約)について - 身近な法律問題

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法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第9回:Prenuptial Agreement(婚前契約)について

Prenuptial Agreementとは、結婚をする前の段階で法的に有効な契約書を作成しておく“婚前契約”のことを指します。口語では略語の「Prenup」が使用されることが多く、日本語では「プリナップ」や「プレナップ」と表される場合もあります。

オーストラリアのPrenuptial Agreementは法律上ではFamily Law Act 1975のSection 90Bに基づくBinding Financial Agreement(BFA)のことを指し、離婚時における夫婦の共有財産に関する取り決めを行うことができます。

日本ではあまり一般的な習慣ではありませんが、夫婦の共有財産の範囲を厳密に決める傾向があるオーストラリアや欧米などの一部の文化圏では広く行われています。ここでいう財産とは、現金や不動産に限定されず、信託財産やファミリー・ビジネスにおける資産、将来的に受け取る可能性のある相続財産、年金やペンションなどの配分なども含めることができます。

具体的にBFAは以下のような人にお薦めです。

・相手方よりも多額の貯金・資産がある人
・実家がお金持ちの人・相続や贈与を受け取る可能性のある人
・国際結婚をした人や専業主婦の人
・子連れで再婚される人
・万が一、離婚した時に財産分与で揉めたくない人

結婚される前ではなく、婚姻関係中にBFAを作成することもできますが、この場合はFamily Law Act 1975のSection 90Cに基づいて書面を作成する形となります。また、オーストラリアの家族法における法的な書式全般に対して言えることですが、BFAの書面が有効と認められるためには、厳しい条件を満たしている必要があり、それぞれが資産開示を行った上で別々の弁護士からアドバイスを受け、その旨を各弁護士が確認するLegal Advice CertificateをBFAに添付する必要があります。

昨今では3組に1組のカップルが離婚すると言われていますが、結婚前に有効な婚前契約を結んでおくことで、婚姻生活の破綻に伴う紛争や家庭裁判所での係争を未然に防ぐことができます。オーストラリアでは離婚歴がなくても、子どもがいなくても婚前契約を結ぶカップルは多いものですが、そのほとんどが結婚後の不必要なトラブルを未然に防ぐことを目的としています。

これから始まる夫婦生活をより快適で幸せなものにするために話し合い、決意すること、それがPrenuptial Agreement(婚前契約)なのです。


弁護士:神林佳吾(神林佳吾法律事務所代表)
1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後10年以上にわたって訴訟を中心に応対

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