【完全保存版】タックス・リターン特集2016

タックス・リターン特集2015/16

オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年の6月30日です。7月を迎え、会計年度が変わるとタックス・リターンの申告スタート。今回は2015/16年度のタックス・リターンに加えてスーパーアニュエーションの情報、国税局(ATO)の動向について解説していきます。 取材協力・文=甘利知子(登録税理士・公認会計士、甘利鳥居会計事務所)

「タックス・リターンについて」 ▶▶▶

タックス・リターンとは

日本でいう年末調整や確定申告に当たります。オーストラリアでは収入のある人はほとんどの場合タックス・リターンをしなければいけません。以下に1つでも当てはまる場合にはタックス・リターンの義務が生じます(全ては挙げられないので主なものです)。

・ 居住者で収入から(金額に関わらず)源泉徴収されているものがあった
・ インストールメントという税金の前払いをしていた
・ 年間の収入が1万8,200ドルを超えた(年金受給者の場合は別額)
・ 18歳未満で、416ドル以上の不労働収入があった(親が子ども名義で持っている投資)
・ 年度の途中でオーストラリアの居住者になった、または居住者でなくなった
・ 事業を行っている 
・ 株、投資ファンドを持っている(大抵の場合)
・ 非居住者で$1以上の収入があった

タックス・リターンのしくみ

リターンという言葉は「戻る」という意味として捉えられがちですが、これは戻るという意味ではなく、申告をするという意味です。まず、会計年度中の課税対象となる収入(一部の例外もありますがほとんどの収入です)を全て合計します。そこから計上できる経費を引いたものが課税所得になります。

総収入- 経費= 課税所得(Taxable Income)

課税所得から割り出した税額が、既に源泉徴収などで納めてある税金の額より少なければ差額を戻してもらうことになります。一方、既に払っている金額よりも割り出した税額が高くなると、請求書が来て足りない分を納税することになります。

課税所得から割り出した税金 源泉徴収された税金 差額戻り(Refund)
課税所得から割り出した税金 源泉徴収された税金 差額支払い

では、税金の計算はどうするのでしょうか。まず、収入です。雇用収入や、個人・パートナーシップ事業収入、銀行口座についた利子、株の配当、投資収入、その他の収入を合わせたものが総収入となります。

<メモ1>
銀行利息‐その1(Interest)

銀行口座の開設時に、出し入れする口座に加えて利息のつく口座を開設してそこにお金を少しでも入れてあれば利息を受け取っていると思ってください。1年間の受取利息はネットで合計金額が見られますが、分からない場合は銀行に問い合わせてください。また、銀行にタックス・ファイル・ナンバーを届け出ていないと、1回の受取利息が10ドル以上の場合には、税金が源泉徴収(Withholding Tax)されているかもしれません。その税金はタックス・リターンの時に戻してもらえますので、銀行の記録にTax(またはGovernment Charge)という文字があったら年間(7月~6月)でいくら引かれていたかも調べましょう。

経費として認められるのは、まず収入を得るための一般必要経費(仕事関連の書籍、文房具、道具など)があります。車に関わる費用、交通費、ユニフォーム関係、教育費なども経費となる場合がありますが、これらはルールがありますので、気をつけてください。

その他、ATOから認可をもらっている慈善団体への寄付、税金申告のための税理士費用などが経費として認められます。スーツや通勤費など、仕事のためでも経費として認められないものもありますので注意が必要です。

一般必要経費の合計額が300ドルを超える場合、またはそれ以外の経費については全てのレシートを取っておく必要があります。レシートは申告時に提出する必要はありませんが、後日監査が入った時に証拠として提出することになります。時間が経つと文字が消えてしまうレシートもありますので、コピーやスキャンをしておきましょう。また、1年以上使用でき、値段が300ドルを超えるコンピューターなどは、一度で経費として落とさずに、何年かにわたって減価償却させることになります。

ビジネスの場合は、減価償却の扱いが違います。ATOの指定する中小ビジネスに該当する場合、2万ドルまで一度に経費として落とせる特別措置が、17年6月30日まで有効となっています。

課税所得が割り出されたら、タックスの計算です。

総収入-経費=課税所得(A)

2016年度のタックス計算(12カ月居住者の場合)

表(1)

課税所得(A) 税率 税計算
$1~$18,200 0% $0
$18,201~$37,000 19% (A-$18,200)×0.19
$37,001~$80,000 32.5% (A-$37,000)×0.325+$3,572
$80,001~$180,000 37% (A-$80,000)×0.37+$17,547
$180,001~ 47% (A-$180,000)×0.47+$54,547

表(2)

上記には特別控除やMedicare Levyは入っていません。
上記には特別控除やMedicare Levyは入っていません。

低所得者控除を計算に入れると、会計年度中12カ月居住者の場合、1万8,200ドルより下限が上がって2万542ドルまでは税金はゼロになります(今ここで12カ月と言ったのは、年度途中で居住者扱いが変わっている場合は0%枠の1万8,200ドルが調整されるためです)。

さて、自分はタックスが戻ってくるのだろうかということですが、この計算でご自分の税金を割り出します。また、メディケアの資格のある人は2%のLevyを加えて計算してください。既に源泉徴収などで納めてある額を比べた時に、既に納めてある額が自分の税金より多ければ差額が戻ってくることになり、少なければ支払うことになります。

よく聞かれる質問として、タックス・レートが変わる直前の収入に留めた方が良いのか、タックスを低くするために銀行利息はない方が良いのか、というものがあります。

ケース1

例えば3万7,000ドルから32.5%になりますが、32.5%の対象になるのは3万7,000ドルを超えた分だけです。つまり3万8,000ドルの収入の場合、3万7,000ドルまでの分についてのタックスは3,572ドル、超えた分の1,000ドルについてのみ32.5%=325ドルとなり、税金計は3,897ドルです。

・収入$37,000-税金$3,572=手取り$33,428
・収入$38,000-税金$3,897=手取り$34,103

収入が上がった結果、タックス・レートが上がるために手取りが少なくなることはありません。

ケース2

4万ドルの収入に加えて2,000ドルの銀行利息があった場合。

・利息あり
$42,000-税金$5,197=手取り$36,803
源泉徴収$5,200 戻り$3

・利息なし
$40,000-税金$4,547=手取り$35,453
源泉徴収$5,200 戻り$653

最終的に手元のお金は増えます。タックスの戻りが減るために一瞬損したような気がするかもしれませんが、戻りの数は手取りの中に含まれていますので追加ではありません。

※上記の計算は便宜上低所得者控除を入れていませんので実際の税額とは少し異なります

<メモ2>
銀行利息‐その2

夫婦で共同名義の口座がある場合、利息は半々で申告します。まとまった預金がある場合は、収入の低い方の単独名義にして利息を受け取るようにすると、税金を減らすことができます。

居住者か非居住者か 話題のバックパッカー税とは?

初めに、ワーキング・ホリデーの人に大切な「居住者/非居住者」の説明をしましょう。まず、タックス・ファイル・ナンバーを取得する時、長期ビジネス・ビザや6カ月以上の学生ビザで入国していれば自動的に居住者として、ワーキング・ホリデーの場合は自動的に非居住者として税務署に登録されます。非居住者の場合の税率は以下の通りです。

非居住者のタックス計算

課税所得 税率 税計算
$1~$80,000 32.5% (B)×0.325
$80,001~$180,000 37% (B-$80,000)×0.37+$26,000
$180,001~ 47% (B-$180,000)×0.47+$63,000

かなり高いですね。例えば1万8,000ドルの収入に対して、居住者ならば税金は0ドル、非居住者なら5,850ドルと全く違う数になります。では、ワーキング・ホリデーの人はどうしたら良いのでしょう。まず、ビザ上の扱いと別に税目的の扱い方として居住者か非居住者かの基準があります。

基本的な考え方は、住んでいる場合は居住者、各地を旅行して転々としている場合は非居住者というものです。居住者と認められるためには以下のうち1つはクリアしている必要があります。

・ オーストラリアに続けて6カ月(183日)以上滞在しており、その間の大部分は同じ仕事に従事し、同じところに住んでいた。

・ 会計年度内の半分以上オーストラリアに住んでおり、オーストラリア国外に自分の住む家を持っていない。

また、地元のクラブに所属するなどもその地に定着しているとみなされ、居住者として認められるのに役に立ちます。居住者として低いタックス・レートが適応されるためには、1つのところに続けて住んで働くのが良いようです。旅行をしてはいけないのかというと、ここはオーストラリアです。ホリデーを取るのが文化になっている国ですので、住む拠点を持ちながら旅行するのは問題ありません。また、セカンド・ワーキング・ホリデーを取るためにファームに行くという理由で途中で引っ越す場合は、長期滞在するための手立てですので、その前後に、ある程度1つの場所に居住していれば問題ないと思われます。

ここで、最近巷を騒がせたバックパッカー税について、ご説明しましょう。1年前の2015年の国会予算案の中で、16年7月1日よりワーキング・ホリデー・ビザの人は、非居住者として扱うとされました。上記のように滞在の仕方によっては居住者として扱うことができたルールを廃止し、「ワーホリ=高い税金」となるわけです。しかし、これによってワーキング・ホリデーで来豪する人が減り、ファームで働いてくれる人が減ってしまうという懸念が農家から上がっていました。16年の予算ではこのことには触れず、このまま法律化するのかと思っていたら、その1週間後、“バックパッカー税導入は17年1月1日に延期”と発表されました。まだ法律化はされていないので、1月1日に施行されるかどうかはまだ今の段階では分かりませんが、とりあえずはほっとしましたね。

しかし、ここで気をつけていただきたいのは、「ワーキング・ホリデーは非居住者が原則」というところは変わっていないことです。条件をクリアしなければ居住者として申請できませんので、ご注意ください。

<TIP>

バックパッカー税が導入された場合ですが、もしワーホリ・ビザの後に6カ月以上の学生ビザを取得する予定のある場合は、会計年度中に学生ビザを取れば、その会計年度は居住者申告ができるかもしれません。ワーホリ中にたくさん稼いだ場合は考えどころかもしれないですね。


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