オーストラリアで憧れのマイホーム購入計画


オーストラリアで憧れのマイホーム購入計画

オーストラリアで不動産を購入したいけどハードルが高い――。そんな風に思っている人も多いだろう。しかし実際は、永住権があれば誰でも物件が購入でき、また期限付きのビザ保有者でも帰国時に売却の必要はあるものの居住用物件が購入可能なのだ。オーストラリアで不動産購入を検討しているなら、低金利が続く今がチャンスとも言われている。

レントで家賃を支払う代わりにローンを組んで不動産を購入すれば資産として残すことができると誰もが一度は思うことだろう。しかし人生最大の買い物でもある不動産。しかも日本とは法律も習慣もまったく異なるオーストラリアで、果たしてできるのだろうか、と二の足を踏む人もいるのではないだろうか。

そこで今回、不動産を購入する時に必ずお世話になる、不動産会社、弁護士、モーゲージ・ブローカーの3人のプロフェッショナルに、豪州で日本人が不動産を購入する時のアドバイスをうかがった。(取材・文=内藤タカヒコ)


不動産について
アドバイザー:株式会社 ワイドエステート 代表取締役社長 砂川盛作さん

不動産は今が買い時?

不動産の購入を考える時に一番気になるのが、買い時はいつか?という点だろう。豪州で不動産売買に26年間携わっている砂川盛作さんによれば、すばり「今が買い時」なのだそうだ。不動産を購入する際に便利なのが住宅ローンだが、政府は記録的な低金利政策に舵を切っており、このローンを利用する人にとっては絶好のタイミング。またシドニーやメルボルンでは不動産価格は急騰しているが、ブリスベンやゴールドコーストではまだそれほど価格は上昇していない。そのためQLD州で不動産を購入する人が増えてきているという。

不動産を購入するメリットは①自分の資産として持てる、②リスクヘッジになる、③長期の人生設計が立てられる、といった点にある。賃貸物件では家賃を払っても何も残らないが、不動産を購入すれば自分の資産として残すことができる。

また豪州ではオーナーの権限が強く、例えばオーナー・チェンジに伴い引っ越しを余儀なくされるケースもあるが、自分の持ち家だとこのような事態は起こらない。

さらに家賃を支払い続けていくと、将来的に家賃がどの程度上昇するか予測ができず、長期的な人生設計を立てるにあたって不確定な要素が大きくなるが、購入した場合はしっかりした計画を立てることができる。

◆不動産購入の手順

実際に購入する際の手順をみてみよう。まずは目標を設定しよう。はじめに一番重要な予算を決め、銀行で自分がいくらローンを組むことができるのか、その目安としてプレ・アプルーバル(ローンの仮審査)を用意する。そしていつまでに購入するのか、どんな物件を購入するのか、具体的なプランを考えたい。

次に優先順位を決定しよう。物件を探す時に予算や場所、条件など譲れない点、妥協できる点をはっきりと決めておきたい。

続いて情報収集を行おう。不動産の購入にはさまざまな手続きが必要で、関連する諸費用もかかる。しかし、各種補助制度やローンを組む際の問題など、注目すべき点がはっきり分かれば、具体的に何をすればいいのか、何が必要かといった点が見えてくる。

そしてインターネットなどを利用して物件を探し始める。具体的に予算や場所などが決まってくれば、真剣に物件を絞り込んで探せるはずだ。

気に入った物件が見つかれば、不動産会社の担当者に連絡を取り、物件を見学させてもらおう。購入の意思があれば不動産会社に契約の準備を進めてもらう。

契約は弁護士やコンベイアンサーを通して行われ、契約条件を詰めて売り主と買い主が合意したら契約の締結となる。

その後引き渡しの準備として、ビルディング・インスペクションと呼ばれる建物の検査やシロアリ検査などを行い、ローンの正式な審査が下りたら、電気・水道などのライフラインの準備や引っ越しの手配をして正式な引き渡しとなる。

◆知っておきたいバイヤーズ・エージェント

気に入った物件が見つかったら不動産会社に連絡することになるが、言葉の問題や習慣、手続きの違いなどで不安を感じることもあるだろう。そんな時に利用したいのが「バイヤーズ・エージェント」という制度だ。

豪州では売り主が、担当する不動産会社を決めて手数料を負担するため、不動産会社は売り主の立場から交渉を行う。買い主がスムーズに交渉できれば問題はないが、そうでない場合、買い主が手数料を払って買い主側の立場に立った不動産会社に交渉を依頼することになる。日本語ができるエージェントなら、希望を伝えたり、情報やアドバイスをもらえるし、豪州の商習慣を熟知しているので安心で便利だ。

◆不動産購入のポイント

不動産購入は、買える時が買い時。これは豪州でも変わらない。まず自分の将来の夢や目標をしっかり持つこと。そして自分が購入資金をどのくらい準備できるのかを明確にすることが重要だ。

物件を探す時は、とにかくたくさん見ることが大切だ。不動産会社に見学を申し込むことは購入が前提になるため、あいまいな気持ちで安易に行わないこと。その代わりオープン・ハウスは気軽に見学できるのでたくさんの物件を見ることをお勧めする。

バイヤーズ・エージェントを利用する場合は、経験が豊富で豪州の商習慣を熟知しているエージェントを探すこと。その時は予算がどのくらい準備できるのか、その予算とは不動産購入額のみか、諸経費込みなのか、予算枠ギリギリまで使えるのか、抑えたいのかなどを明確に伝えておけば、効率よくスムーズに進めることができる。

不動産を購入することは、人生の大きなターニング・ポイントにもなるだけに、慎重に納得できる物件を手に入れたい。

◆資産運用としての不動産購入

低金利政策が続く豪州では、不動産を購入し賃貸物件として貸し出して資産を運用するといったことも考えられる。

銀行に預けても、以前のような高い利息は得られない現在、資産を不動産に投資した方が確実に利益を得られる。また前述したように最近では金利が低いためローンを有利に組めるので不動産を購入するチャンスでもある。資産運用という点から不動産を購入するという考えも現実的だ。

●不動産購入の手順

目標を立てる
予算はどのくらい?いつまでに?どんな物件を?

プレ・アプルーバルを用意

優先順位を決める
妥協できる点は?できない点は?

購入予算の明確化

情報収集
何をすればいい?何が必要?いつまでに準備?

物件を探す
オープンハウスを積極的に利用

バイヤーズエージェントを決める
 

見学
すみずみまで納得できるようチェックしよう

契約
契約条件を確認する。変更や追加など条件を詰める。契約を締結する。

弁護士、コンベアンサー、モーゲージ・ブローカーを決める

引き渡し
ローンの審査が下りる、引っ越し準備、電気・水道などの手配。

法律について
アドバイザー:ハーディング法律事務所 ハーディング裕子弁護士

不動産契約に不可欠の存在

日本と異なり、豪州では不動産購入時に、コンベイアンサーや弁護士に契約手続きを依頼するケースが一般的だ。コンベイアンサーは契約手続きをスムーズに進めるための事務員の役割を果たし、弁護士は法律のプロフェショナルとして、契約内容などに適切なアドバイスをし、契約手続きを進める。不動産購入の注意点を豪州で10年以上の実務経験を持つハーディング裕子弁護士にうかがった。

契約書は非常に重要で、トラブルが発生した場合は、契約書にどう記載されているかによって、誰がどう責任を取るかが大きく変わってくる。また一度契約書にサインしてしまうと、後から契約内容を変更することができない。不動産購入も同様に、しっかりと契約内容を確認しなければならない。そこで契約書にサインする前に、法律の専門家である弁護士に内容を確認し、アドバイスをもらえば安心できる。

◆契約の準備からサインまで

買い主は契約までに頭金を準備したり、物件の名義をどうするのか決めておく。例えば夫婦で購入する場合、単独の名義のほかに共有名義や合有名義とすることができる。共有(Tenants in Common)は事前に比率を決めておく必要があり、自分でビジネスをしている場合、上手くいかなかった時に、個人資産を差し押さえられてしまうこともあり得る。このようなリスクを減らすために共有名義の比率をどの程度にすればいいのか決めなければならない。合有(Joint Tenancy)は2人で1つの名義で、仮にどちらかが亡くなった場合、自動的に残された人へ名義が残ることになる。

またQLD州では、一定の条件を満たせば、購入時に1万5,000ドルの補助金が受けられる場合もある。これは①18歳以上のオーストラリア人か永住権保持者、②購入物件は75万ドル以下の新築、③居住用で投資目的でない、④購入後1年以内に居住し、最低6カ月居住する、⑤初めての物件購入である(パートナーに購入経験があれば不可)、など細かな制限があるが、補助金申請が可能か弁護士に相談してみると良い。

購入したい物件が決まったら、不動産会社へ購入の意思を伝えると、不動産会社から契約書が提示される。この段階で弁護士に内容の確認を依頼し、内容の変更や追加といった契約条件を詰めてもらう。弁護士は売り主側と交渉を行い、双方が契約条件に合意したら、契約書にサインして締結となる。必要に応じてこの時弁護士が立ち会うケースもある。

◆契約締結後

契約の締結後、ローン審査が下りて融資が行われると、買い主が立ち会いインスペクションを行い、レポートが提出される。弁護士はこれらの書類を確認し、売り主側と決済、引き渡しに向けての準備を進める。また資産を購入した場合、万が一に備えて弁護士のアドバイスのもと、遺言書を作成しておく。

不動産購入には物件費用のほか、弁護士、コンベイアンサーに依頼する際の費用、名義変更の登記費用や印紙税も必要だ。印紙税は50万ドル以下の物件の場合、初めての購入で居住目的など一定の条件を満たせば免除になるので弁護士に相談してみよう。

弁護士は、コンタクトが取りやすく、迅速に対応できる人に依頼すると、契約もスムーズだ。不動産購入は専門知識が必要で、言葉の問題など不安も多いが、信頼できる弁護士に依頼すれば安心して手続きを進めることができる。

●契約後の手順の一例

ローンの書類の確認

インスペクション

レポートの確認

引き渡しの準備

決済

引き渡し

住宅ローンについて
アドバイザー:モーゲージ・ブローカー シュウ・ヤマナシさん

モーゲージ・ブローカーの役割

不動産を購入する際、ほとんどの人は住宅ローンを利用するが、各銀行ではさまざまな住宅ローンが用意されていて、どれを利用していいのか迷ってしまうだろう。そんな時に頼りになるのが「モーゲージ・ブローカー」で、複数の銀行のローンを比較し最適なローンを選ぶためのアドバイスや、ローン申請の手続きを代行してくれる。さらにモーゲージ・ブローカーに相談しても、余計な手数料がかからないのもありがたい。

銀行によって金利や割引などのサービスも異なり、適用される条件もまちまちなので、一度ブローカーに相談してみるといいだろう。

◆住宅ローンの考え方

ローンを組む時に悩むのが、固定金利と変動金利のどちらが得なのかという問題だ。そこでモーゲージ・ブローカーのシュウ・ヤマナシさんに話を伺ってみた。

日本では固定金利を利用する人が多いが、オーストラリアでは変動金利を利用する人が多いのが特徴だ。固定金利のメリットには、①金利上昇のリスクを避けたい、②返済額が決まっている、③そのため将来の計画を立てやすい、といった点がある。これに対し変動金利のメリットは、①繰り越し返済に制限がない、②金利や返済状況をチェックして有利な条件に変更できるフレキシブル性、といった点だ。またローンの額が高額なら、ローン口座を2つ開設して、固定金利と変動金利を組み合わせる「スプリット」を利用することもできる。これは固定金利の口座が低金利の恩恵を受けている間に、できるだけ多く変動金利の口座に返済する方法だ。

オーストラリアでは不動産購入は一生に一度の買い物という意識が低い。自分たちのライフスタイルが変われば、当然住み替えを行うという考え方が一般的なため、住宅ローンも30年程度で組み、売却したり、リノベーションしたりと、必要に応じて柔軟に組み替えることができるように考えられている。

不動産を購入した後に別の不動産に変更することはできないが、住宅ローンは変更ができる。そういったことも考慮に入れて、自分にぴったりのローンを探そう。

◆決済までの流れ

不動産を購入するまでの金銭的な手順を見てみよう。まず購入予算を決定したい。ローン申請時に頭金がどの程度準備できるかをしっかり確認する。頭金は最低5%と言われているが、一般的に10~20%準備できると安心だ。そして「プレ・アプルーバル」を銀行やモーゲージ・ブローカーに取ってもらう。これには収入証明と銀行の残高証明が必要で、いくら借りられるかが判断される。

次に物件探しを始め、必要に応じてバイヤーズ・エージェントを利用したりすることになる。気に入った物件が見つかったら、購入の意思を伝え契約書の準備を行う。この段階で弁護士やコンベイアンサーを通して契約条件を詰めていく。同時にモーゲージ・ブローカーへの住宅ローンの相談という流れになるだろう。

買い主と売り主の合意が得られれば、契約の締結となり、通常14日以内に正式なアプルーバルを取ることになる。同時に建物に問題がないか、シロアリの被害がないかを確認するため、買い主が業者に依頼してビルディング/ストラタ・インスペクションやペスト・インスペクションを行おう。

また決済の直前に不動産会社を通じて、自分の目で物件に問題がないかを直接確認する「プレセトルメント・インスペクション」も必ず行いたい。

決済が買い主、売り主、銀行の弁護士間で行われ、引き渡しとなる。自分が用意した頭金をいつでも動かせるように準備しておこう。またオーストラリアでは、ローンを申請した銀行から直接売り主の口座へ残金が振り込まれる。

●決済までの流れの一例

予算を決める
プレ・アプルーバル(収入証明、銀行の残高証明が必要)

物件探し
バイヤーズ・エージェント、弁護士・コンベイアンサー、モーゲージブローカーの手配

契約
インスペクション業者の手配

プレセトルメント・インスペクション
不動産会社を通し、自分の目で最終確認を行う。

決済
銀行から売り主へ入金。頭金をいつでも動かせる準備

ローンの返済が開始
1カ月後から返済がスタート

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