オーストラリアにおける堅固なインフラ計画

税務&会計Review

税務&会計 REVIEW

EY パートナー/ジャパン・ビジネス・サービス
オセアニア/アジア太平洋地域統括 
菊井隆正

プロフィル◎アジア・パシフィックおよびオセアニア地域日系企業担当部門代表。常に監査、会計、税務から投資まで広範囲にわたる最新情報を提供することで、オセアニアで活躍する日系企業に貢献できるよう努めている。

オーストラリアにおける堅固なインフラ計画

オーストラリアは、日本やヨーロッパと比較して若い国であり、国土が広大なわりに人口が海岸部の主要都市に集中しています。それに伴い、オーストラリアの大半の雇用や多くの主要経済インフラが都市部に集中しているため、今後のオーストラリアの経済発展にはスマートシティが不可欠である旨本紙2016年11月号で説明しました。今回はスマートな都市づくりのために必要な堅固なインフラ計画について解説します。

インフラ諮問機関の活躍

活気にあふれた、人間を中心にする都市には、適時適切なプロジェクトと投資が必要です。

オーストラリアにおいてインフラ・プロジェクトがどう展開され、またどう優先順位付けされるかは、ここ10年で大きく進化しています。これは、インフラ需要を長期的に観察し、政府機関に独立したアドバイスを行うインフラ諮問機関が設立されたことも要因の1つです。連邦政府に助言を行うインフラストラクチャー・オーストラリア(Infrastructure Australia)に加え、ニュー・サウス・ウェールズ州、ビクトリア州、クイーンズランド州、タスマニア州などでも同様の組織が導入されており、インフラにまつわる計画および意思決定の基準を厳格化することで、インフラ政策をその場しのぎ的なプロジェクトではなく、あくまで根拠に基づく、長期的かつ戦略的な将来のインフラ需要に対応する政策へとシフトさせています。

納税者から集めた資金が賢明に運用され、かつ有意義なプロジェクトに投資されることでコミュニティーに何らかの還元をもたらすよう保証するためにも、プロジェクトの経済性を確保することは重要です。インフラストラクチャー・オーストラリアが作成した以下のグラフでは、最もコストがかからない小規模なプロジェクトは、しばしば経済的利益が最大になることを示しています。

インフラプロジェクトの費用と経済的利益予測(Forecast BCR)

※表内のプロジェクトには、州政府によって提示された実行可能プロジェクト(予想される戦略的且つ経済的利益がインフラストラクチャー・オーストラリアの基準を満たしている)、並びに基準プロジェクト(十分に計画された綿密な推奨オプションが確立しているプロジェクト)が含まれている。その他の初期段階にあるプロジェクト、並びに州政府に承認された段階のプロジェクトは含まれていない。出典:Infrastructure Australia submission to the Productivity Commission Inquiry into Public Infrastructure, December 2013

※表内のプロジェクトには、州政府によって提示された実行可能プロジェクト(予想される戦略的且つ経済的利益がインフラストラクチャー・オーストラリアの基準を満たしている)、並びに基準プロジェクト(十分に計画された綿密な推奨オプションが確立しているプロジェクト)が含まれている。その他の初期段階にあるプロジェクト、並びに州政府に承認された段階のプロジェクトは含まれていない。出典:Infrastructure Australia submission to the Productivity Commission Inquiry into Public Infrastructure, December 2013

人を中心に据えた良好な都市計画

都市計画およびインフラプロジェクトは、堅固な制度とガバナンスの取り決めにより支えられた良好な都市計画の原則に基づくと共に、投資判断の基となるオープンで透明性の高いデータを基盤としたものでなければなりません。

良質なプロジェクトと良好な計画は相伴います。都市計画はますます人を中心に据えたものとなっており、どこに住み、どこで働き、どこで娯楽を楽しみ、また街をどう移動し、どう他者と関わり、そして公共の場でどう過ごすかといった、生活のさまざまな面を包み込むものになっています。

「場所」に重点を置いた戦略的大都市計画や、土地利用とインフラ計画の統合が、ますます重要性を増してきています。こうした計画は、インフラ投資と土地利用計画のつながりを把握し、活用することで最適化されていくことが望まれています。

良好な都市計画を行えば、主な雇用中心地や輸送ゲートウェイが直面する投資や経済成長への障壁を取り除くことができます。つまり、公共の場所や文化インフラの利用率向上を含めた、健全でつながりのある、活気あるコミュニティーを形成します。また、住宅の供給や選択肢を拡充するための指針策定にもつながります。

オーストラリアにおけるプロジェクト

オーストラリアの各都市では年々、更地の開発よりも、改装プロジェクトや大規模都市変革を重視する方向にシフトしてきています。

人口密度を高める都市変革プロジェクトは、オーストラリアの主要都市で高まる雇用中心地周辺での新たな住宅需要を満たし、また完成された都市部をより良い輸送手段とインフラによって再活性化する上で不可欠なものです。

再開発が進むシドニーのバランガルー地区 ©Hamilton Lund
再開発が進むシドニーのバランガルー地区 ©Hamilton Lund

ニュー・サウス・ウェールズ州では、シドニー・ハーバーベイ区域、バランガルー、セントラルからエヴァリー、パラマタ、ニューカッスルなどの地域が、大規模な都市再生プロジェクトによって再活性化しています。ビクトリア州では、ドックランズ、フィッシャーマンズ・ベンド、アーデン・マコーレー、ダンデノンなどを再開発するプロジェクトが予定されています。パースでは、エリザベス・キーやパース・シティリンクなどのプロジェクトが、パースの印象を変えようとしています。

各種政府機関は一丸となり、インフラとサービスにおける一貫した意思決定を推進し、また各都市の主要経済分野への投資をさらに促進することで、民間企業が継続的に手応えを実感できるよう将来の都市計画を明確に描いていかねばなりません。

まとめ

オーストラリアの経済発展にはスマートシティが不可欠であること、またスマートシティを構築するために、オーストラリアではどのようにインフラ計画が推し進められているのかを説明しました。今後は、オーストラリアが得意とする官民が協力してインフラ事業を展開していくPPP市場に関する最新情報をお届けする予定です。

※この記事は出版時の時点で適用される一般的な情報を掲載しており、アドバイスを目的としたものではありません。この情報を基に行動をされる際には、専門家のアドバイスを受けることをお勧めいたします。

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