オーストラリア国内で初めて非高熱滅菌牛乳の販売を認可

高圧水で滅菌、「自然に近いままの成分」の謳い文句で販売

 牛乳は牛の乳房から搾るため、細菌などの微生物に汚染されやすく、搾乳から時間が経つほど汚染微生物の数が増えていき、飲用に適しないようになる。そのため、現在、市販の牛乳は摂氏63度前後で30分加熱する低温殺菌(パスチャライズ)など加熱による殺菌方法を取っている。しかし、加熱することで牛乳のタンパク質や脂肪が変性し、風味や栄養価値を損ねるという説もあり、長年にわたって、「加熱殺菌しない牛乳を買いたい」という声が一部の消費者の間にあった。

 比較的新しい殺菌技術として、高圧をかけて細菌の細胞を破壊してしまう方法が様々の問題を解決して一般化してきた。この技術を牛乳に応用し、パスチャライゼーションの代わりに水を使った高圧殺菌牛乳の市販がこのほど認められた。

 NSW州の高圧殺菌牛乳メーカー、「Made by Cow」のサクソン・ジョイさんは、「これは生乳ではないがもっとも生乳に近いものだ。高圧処理(HPP)法を市販牛乳に応用したのはこれが初めてだと思う」と語っている。このHPPは、冷間搾汁(コールド・プレス)などの名前で果汁に応用されている。ジョイさんは、「この方法なら、牛乳に熱をかけて殺菌や均質化をすることなく、自然でおいしい栄養価の高い生乳の良さをそのまま味わってもらえる」と語っている。

 オーストラリアでは、牛乳生産者が自分で生乳を飲むことは禁じていないが、生乳を殺菌処理しないまま人間の引用として販売することは禁じられている。ジョイさんの会社がNSW食品管理局の認可を得るまでには2年にわたって厳しい基準に適合させるための作業があった。

 食品管理局の声明は、「牛乳中の有害細菌殺菌のために、低温殺菌法に代わる方法としてHPPを認可したが、製品の質を保証するものではない」と述べている。製品は、NSW州内の特定店で販売されることになっており、750ml製品に$5の価格がつけられている。

 連邦科学産業研究機構(CSIRO)の食品微生物学者のナレル・フェガン氏は、「高圧殺菌牛乳はより自然な牛乳として消費者にアピールするだろうが、通常の低温殺菌牛乳よりも健康に益があるという証拠はない」と語っている。しかし、「Dairy Food Safety Victoria」のディレクターでもあり、「Made by Cow」の外部技術顧問を務める食品科学者のジョー・デイビー氏は、「研究により、HPPは従来の低温殺菌法に比べてビタミンや風味、色に関わる微小分子を損ねないことが明らかになっている」と反論している。
■ソース
‘Closest thing to raw milk’ to be sold legally for the first time in Australia, start-up says

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