石造りのキッチン・ベンチトップで珪肺症急増の警告

劣悪な職場の安全衛生管理が原因

 岩石の主成分の一つ、酸化ケイ素の粉塵を吸い込むことによって起きる肺の疾患、珪肺症はかつては石工や鉱山労働者の職業病とされていたが、先進国では職場の安全衛生管理が厳しくなるに従って減り、代わって1970年代以降は石綿による中皮腫が問題にされてきた。

 オーストラリア国内では台所のベンチトップの材料として模造の大理石や御影石の人気が高まっているが、材料の切削研磨に水などを流さず、もうもうと粉塵が立ちこめる中で労働者が作業する事業所があり、珪肺症患者が急増しているとの警告が出されている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 9月にはQLD州で22人が珪肺症としてWorkCoverに補償請求しており、うち6人は末期症状と診断されている。そのため、州政府が緊急警告を発したが、10月に入って請求も35人にのぼっており、医療専門家は、「今後検査が進めば今年中に患者は100人を超えるのではないか」と見ている。

 ABC放送の時事番組「7.30」の調べで珪肺症はNSW、VIC両州とACTでも石材加工所労働者に発症者がいることをつきとめている。

 患者の一人、コン・レさんは、16年間「砂嵐のような」作業所で石工の仕事をしてきて現在45歳だが肺は30%しか機能しておらず、自力で歩くのは50mがやっとだという。レさんは、「当時、石の粉が珪肺症の原因になるとは知らなかった。友人に紹介されて適切な訓練も受けないまま自分で仕事をするようになった」と語っている。

 現在、「Royal Australasian College of Physicians」と「Thoracic Society of Australia and New Zealand」の2つの医療専門家団体が石材加工労働者の健康を守る措置を執るよう各政府に訴えている。

 また、NSW州労働党のウォルト・セコード影の保健相は、模造石のドライカッティングの禁止を訴え、マスク着用義務化や労働者の健康診断などの措置を執るよう求めている。

 NSW州内には模造石供給業者が4社、切削研磨事業所が350か所あり、2017年には73事業所の立ち入り検査で63か所に改善命令、2か所に作業停止命令が出されている。しかし、セコード議員は、全国的な統一した制度で石材加工で働く若い労働者を守らなければならないと訴えている。
■ソース
Calls for greater silicosis screening as workers die making kitchen benchtops

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