ペル枢機卿、調査委員会で証言

「児童性虐待補償問題は知らない」 

 3月24日、オーストラリアのカソリック教会最高幹部ジョージ・ペル枢機卿が、児童性虐待組織対応問題特別調査委員会の証言席に座った。ペル枢機卿は児童性虐待の加害者として名指されたことはないが、教会組織の責任者として児童性虐待問題処理の責任を問われ続けており、それに対して自分の責任も、教会の責任も拒み続けてきたため、被害者から厳しく批判を受けている。この日の証言も、他の証人の証言と矛盾があるとの指摘が出ている。

 この日、ペル枢機卿は、「聖職者に性的虐待を受けた男性証人の賠償問題に関わったことはない」と証言した。この特別調査委員会は、児童性虐待行為そのものではなく、児童性虐待行為があった宗教団体、スポーツ団体、その他の青少年団体、学校、児童福祉施設などの組織がその行為の被害者、加害者に対してどのような措置を取ったかという組織の責任を問うことを目的としている。

 調査委員会は、1970年代にエイダン・デュガン神父に性的虐待を受けたジョン・エリス氏とカソリック教会との裁判を調べており、ペル大司教(当時)がこの裁判でどのような役割を担ったかが質問された。エリス氏は2007年に、NSW州控訴審が「カソリック教会は訴訟の被告になる法的要件を満たしていない」と、控訴を棄却された。

 ペル枢機卿は、聖職者の性虐待を謝罪し、エリス氏に対する教会側の態度には数々の過ちがあったと認めた。しかし、決定的な最終責任問題については一切発言しなかった。エリス氏は、教会の侍者を務めていた時に神父に性虐待を受けたが、教会との交渉で教会側が3万ドルの賠償金を提示した時に教会を相手取って告訴することを決心し、10万ドルの賠償金を要求した。元シドニー司教区尚書係が先に「ペル大司教がエリス氏への賠償問題の協議に加わっていた」と証言しているが、ペル枢機卿はこれを否定し、「男性が年3,000ドルの職を失った時に、私が賠償金として5,000ドルを提示したなどとはグロテスク過ぎる」と証言した。

 また、「裁判ではどこまでも防御することを明言したが、日々の具体的な訴訟についてはタッチしていない」としている。しかし、委員会付きのゲール・ファーネス弁護士は、「大司教が賠償問題について何も知らなかったというのは信じがたい」と示唆したが、ペル枢機卿は、「信じがたいとかありえるとかの問題ではなく、事実知らなかったのだ」と反論した。これに対して、調査委員長のピーター・マクレラン判事は、「なぜ、とことん裁判で争うことを決めたのか? 裁判費用がエリス氏の要求する賠償額10万ドルをはるかに超えることは容易に予測できたはずだが」と質問した。これに対してペル枢機卿は、「当時、もっと用心深く、慎重に考え、事件を監督すべきだった」と語ったが、傍聴席からは、「恥を知れ」とのヤジが飛んだ。先週の委員会で、ペル大司教の個人秘書だったマイケル・ケーシー博士が、「ペル枢機卿は、当時弁護士チームに対して、『反対尋問では徹底的に攻めろ』と叱咤した」と証言している。また、ファーネス弁護士が、「あなたは、かなりの数の性虐待問題の訴えがあったと証言しているが、いずれも事実調査が行われていなかったのはなぜか」と問い詰めると傍聴席から拍手がわいた。(NP)

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