米、豪にシリアISIL根拠地爆撃を要請

アボット首相、爆撃の法的根拠検討

 8月21日、トニー・アボット保守連合連邦首相は、現在、「イラク政府の要請」に基づいて行っているイラク領内のISIL(イスラム国)根拠地爆撃について、米政府より、爆撃をシリア領内にまで拡大するよう公式要請があったことを明らかにした。アボット首相は、「決断を急がない。この2週間程度の間に決める。爆撃には法的根拠が必要になるが、まったく不可能ということではない」と語った。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 イラクは米豪にとっては友好国であり、その政府の要請は豪軍事行動の法的根拠になり得るが、シリア政府は敵国政府であり、その敵国政府が国内で敵対しているISILとはいえ、敵国である米豪にISIL爆撃を要請することはあり得ない。

 アボット首相は、「イラク・シリア国境の両側での爆撃は法的には違いがあるが、倫理的には違いはない。ISILはイラクとシリアの双方で活動するまったく邪悪な運動体だ。彼らが国境を尊重しないのならなぜわれわれが尊重する必要があるか」と語っている。

 21日朝、アボット首相は、ビル・ショーテン労働党党首に電話し、米政府の公式要請を伝えたが、ショーテン党首は、「空軍軍事行動をシリア領内にまで拡大する法的根拠を知りたい。合法的なのかどうかということだ」と語っている。

 また、クリストファー・パイン教育相らは、シリアISILへの軍事行動拡大には十分な法的根拠があるとしているが、豪国立大学(ANU)のドン・ロズウエル法学教授は、「シリアへの戦線拡大には明確な法的根拠がない。国連安全保障理事会の決議もなく、自衛権行使の言い訳も使えない。米政府の要請では法的根拠にならない。唯一の抜け道は、この問題についてオーストラリアのドクトリンを完全に書き替えることだけだ。自衛権行使の意味を大きく拡張し、テロリストを匿っている国にテロリストを追って入り込んだ場合にも合法的自衛権行使が可能と政府が決定すれば不可能ではない。しかし、一旦、オーストラリアがそのような180度転回ともいうべきドクトリン修正を敢えて行えば、太平洋州の周辺国がオーストラリアに対して疑惑を抱き始めるだろう」と分析している。
■ソース
Islamic State: Tony Abbott hints Australia will join US in carrying out air strikes in Syria

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