「ジャクソン・ポロックの傑作を売れとはバカげた意見だ」

オーストラリア国立美術館館長が自由党政治家に反論

 1950年代前半まで活動したアメリカの抽象画家、ジャクソン・ポロックの大作、「Blue Poles」を売って財政赤字の穴埋めに宛てろという発言が自由党右派のジェームズ・パターソン連邦議会上院議員から飛び出し、議論を呼んでいたが、騒ぎが落ち着いた時期、オーストラリア国立美術館(NGA)館長のジェラード・ボーン博士が、「Blue Polesを売れというのはバカげた意見だ」と反論している。

 ABC放送(電子版)が伝えている。

 パターソン上院議員はVIC州選出連邦議員になる前は右派のネオリベラル系シンクタンク、Institute of Public Affairs (IPA)の出版物の編集長を務めており、保守派とは毛色を異にする。

 「Blue Poles」はゴフ・ウィトラム労働党政権期の1973年に連邦政府が130万ドルで購入した作品であり、当時のオーストラリアの保守的な芸術意識ではヨーロッパの古典から近代までの美術が高く評価されるのに対して、近代末期から現代に至る美術に対する評価は低かった。そのため、この作品の購入は「無駄づかい」などとしてかなりの論議を呼んだ。その「Blue Poles」も現在では価値を3億5,000万ドルと評価されており、「Blue Polesがいい投資だったということは分かったが、連邦政府が世界一高価な作品を保有するのは適当ではない」というパターソン議員のような発言も現れる。

 10月初め、ABCFMのマーガレット・スロスビーのMidday Interviewに出演したボーン館長は、「パターソン発言があまりにもバカげているので論議になった当時は発言することを好まなかった。Blue Polesは世界の美術作品の最高傑作の一つだ。オーストラリア国民を代表してオーストラリア美術館がこの作品を持っているということは素晴らしいことなのに、それを売れというのはまったくバカげている」と語った。

 「Blue Poles」は、現在ロンドンの英国美術館に貸し出され、「抽象表現主義」展覧会の代表作になっている。ボーン博士は、「この作品は展覧会でも中心になる作品の一つで、カタログのカバーや展覧会ポスターとしてロンドン中に貼られている。メディア公開日に立ち会ったが、この作品の前に人だかりができていた。オーストラリアがこの作品を所有していることを誇りに思うべきだ」と語っている。

 マシアス・コーマン金融相は、「パターソン議員が財政に関心を持つことは歓迎するが、その作品は国宝級であり、売却することは考えられない」と語っている。
■ソース
Blue Poles: National Gallery of Australia director Gerard Vaughan labels call to sell Jackson Pollock masterpiece ‘ludicrous’

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