タミル人家族強制送還、離陸後に裁判所の「待った」

3年間暮らしたQLD州の町民は永住支持署名陳情

 難民船でオーストラリアに渡り、難民認定申請していたタミル人家族がピーター・ダットン大臣の内務省に認定を却下され、さらに却下を不服として控訴していたが、これも敗訴、スリランカへの強制送還が決まり、搭乗した飛行機が離陸した後に連邦裁が強制送還差し止め請求を認めたため、一旦離陸した飛行機が空港に引き返すという事態になった。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 家族は3年間QLD州のビロエラに住んでおり、オーストラリアで生まれた末娘のサルニカアちゃんのみが連邦裁のモルデカイ・ブロンバーグ判事により9月4日までの滞在延長が認められた。しかし、家族の弁護士は、「家族を引き裂くのは非人道的」としてサルニカアちゃんの家族全員のオーストラリア在住を認めるよう求めている。

 8月29日夜、家族は入管収容所からメルボルンの空港に移され、搭乗した飛行機が離陸したが、連邦巡回法廷のヘザー・ライリー判事が緊急差し止め請求を認めたため、夜中過ぎにダーウィン空港に着陸を命じられた。

 弁護士によると、内務省移民局の係官は家族の難民認定審査を行ったが、2歳のサルニカアちゃん単独の保護要請の審査を行っていなかったため、サルニカアちゃんのみの差し止め請求を行ったもの。

 両親のナデスさんとプリヤさんは、2012年と2013年にそれぞれ別の難民船でオーストラリアに渡ってきた。2人はオーストラリアで結婚し、コピカちゃん(4)、サルニカアちゃん(2)はオーストラリアで生まれている。

 家族は、「タミル・タイガーとの関係のため、スリランカに戻れば迫害を受ける」として、在留許可を申請していた。弁護士のカリナ・フォード氏は、「9月4日の審理までにサルニカアちゃんを家族から引き離すかどうかは政府の考え次第だが、2歳の子供を家族から引き離すのは非人道的だ」として、ダットン内務相の大臣職権による介入を求めている。

 しかし、8月30日には、ダットン大臣は、「家族は難民船でオーストラリアに渡ってきており、従ってオーストラリアに永住することはできない。スリランカは平和になっており、タミル人が迫害を受けることはない」として、すでに考えを決めている。

 家族はビロエラに3年ほど住んでおり、ブリヤさんのブリッジ・ビザが切れた2018年3月にメルボルンの収容所に移された。そのため、ビロエラの住民が連邦政府に対して、家族の在住を認めるよう陳情してきた。

 労働党のリチャード・マールズ副党首は、「ダットン大臣は大臣職権で家族の永住を認めることができる。ビロエラの人々がそれを望んでいる。2人の娘はオーストラリアで生まれており、オーストラリア以外の社会をまったく知らない」と語っている。

 ダットン大臣は、これまでにもスポーツ有力者や元QLD州警察の同僚が雇い入れたフランス人とイタリア人のオ・ペアが空港で「違法労働に従事する予定」として強制送還されそうになった時に大臣職権でビザを与えている。
■ソース
Deportation delayed for youngest daughter of Tamil asylum seeker family from Biloela

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