州政府も連邦予算案に抵抗始める

保守州政権も州民の不興に危機感

 「国民全体で負担を」という合い言葉で緊縮予算を発表した保守連合だが、教育、医療、年金、福祉など社会的弱者への配分が大きい部門がばっさりと削られているのに対して、法人、高額所得者に対する優遇税制や有給産児休暇などがほとんど手つかずで、防衛予算は逆に膨張するなど保守連合のイデオロギー的政策の色合いが強い。当然ながら削られる部門からは批判が続出しているが、さらに、保守連合州政権からも連邦予算案に対する不満が噴き出してきている。

 トニー・アボット連邦首相は、SA州とACTを除いて保守連合が州・準州政権を獲得したことについて、「これで連邦と州が対立することなく協調的な政策を進めることができる」と語ったことがあるが、5月14日、QLD、NSW、VIC州など大手保守連合州政権が一斉にアボット保守連合連邦政権の800億ドルに上る医療、教育予算カットに対して不満の声を挙げ、連邦政府と州政府の緊急会合を要求した。

 連邦政府のジョー・ホッキー財相、アボット首相は、病院や学校の運営責任は完全に州政府にあるとして突っぱねる態度であり、2025年度までに学校予算は50億ドル、病院は150億ドルの予算減となるのに対して不足分は各州政府が補填することを主張している。その財源となる消費税については「州政府が消費税引き上げを主張すべき」としており、さらに、「GSTには手をつけないと公約した。その公約を守るつもりだ。税制全体を見直すとも公約した。それも守るつもりだ」と反撃している。

 真っ先に声を挙げたキャンベル・ニューマンQLD州首相は、「連邦予算カットは受け入れられない。2週間前に開かれた政府間協議会の席で明らかにすべきだった。NSW、VIC、SA、NTの州首相や主席大臣と話し合ったが、緊急COAG会合開催を求めることで一致している。今回の連邦政権のやり方は州政府にGST引き上げを請願させるための陰謀のようにも見える。州政府は医療や教育について全面的に責任を負う用意はあるが、州民、準州民が行政サービスを受けられるためには適正な額の収入が確実に入らなければならない」と語っている。コリン・バーネットWA州首相は緊急COAG会合については支持しなかったが、消費税率引き上げや課税品目を広げることには賛意を示している。(NP)

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