イスラム国家難民に難民枠の狭い門

豪政府、4,000人分のみ提供

 シリアの反アサド大統領政権武装派は10を超える団体の寄り合い所帯だったが、その中のアルカイーダ系とされる暴力的なグループISISは、アルカイーダも持てあますほどの粗暴さでシリア内戦でも、政府軍だけでなく、同じ反アサド政権武装グループとも抗争を繰り返していたといわれる。そのISISがISILと改称、さらにシリア北部からイラク北部にかけての地域を制圧、イスラム国家を名乗った。イラクはサダム・フセイン政権時代には暴虐なフセイン政権が全国を制圧していたが、米英豪主導のイラン侵略が始まると、フセイン政権のイラク国軍を解体してしまった。これが最初の間違いとされている。さらに、占領軍が擁立したイラク政権はシーア、スンニ、クルドという3大グループの合議を採らず、シーア派で固めてしまったため、東部のスンニ、北東部のクルド自治地区などと対立の種をまく結果になった。

 イスラム国家は、スンニ派地域を制圧、スンニ派住民もイラク政権に対する反発からイスラム国家を歓迎したが、あまりにも粗暴なイスラム国家に住民も耐えられなくなっていると報道されている。また、キリスト教イラク人や古い宗教を信じるヤジド人、クルド人などに対してもスンニへの改宗を迫り、拒まれると村の男性全員を銃殺するなど凶暴性を発揮している。また、シリア国内でもイスラム国家と戦える戦力はアサド大統領の掌握する国軍しかなく、複雑な状況になっている。

 このイスラム国家から逃れている難民はすでに10万単位にのぼっており、国連物資に頼る生活を続けている。そのため、オーストラリア国内に定住しているイラク少数派移民はできる限り大勢の難民をオーストラリアに迎えるよう望んでいる。

 これに対して、トニー・アボット保守連合政権が、「イラク地域の難民受け入れ枠として4,000人分を確保した」としており、ヤジド系移民グループは、「余りにも少なすぎる」と語っている。ヤジド系オーストラリア人の男性は20年以上もオーストラリアに居住しているが、妻と義理の娘は2週間前に前進するISILに追われるようにイラクを逃れ、トルコ領の難民キャンプに収容された。しかし、日常的な生活にもこと欠く有様で、妻や義理の娘と携帯電話で連絡を取り合う男性は、「2つの部屋に32人が暮らしている。まるでネコかネズミのような生活だ」と語っている。

 政府は、「4,000人分の特別人道ビザ枠を確保した」と発表しているが、この数字は昨年まで2万人を受け入れていたのに対して、アボット保守連合が人道ビザ枠を13,750人に引き下げ、しかも、4,000人はその上に上積みされるのではなく、13,750人の中から都合されるだけである。(NP)

http://www.abc.net.au/news/2014-08-24/refugees-fleeing-islamic-state-for-australia-may-miss-out/5690788

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