カキのコロニー広げ、シドニー・ハーバー浄化の支えに

マコーリー大学、海洋科学研究所合同の試み

 ABC放送(電子版)は、シドニーの科学者グループがシドニー・ハーバー各所にロック・オイスターのコロニーを創り、ハーバーの浄化と生物多様性強化を試みていると伝えている。

 マコーリー大学の生態学研究者とシドニー海洋科学研究所の研究者のグループは、バルメインとウェイバートンで防波堤に沿って、複雑な磯の地形をまねたタイルを配置、据え付けている。また、他の場所でもカキ殻のバッグを使って同じような試みを進めている。

 ハーバーの岸の水面下は50%ほどがコンクリートの平らな防波堤で囲われているため、もっとカキが定着しやすいよう、タイルには凹凸がつけられている。このタイルは、「ワールド・ハーバー・プロジェクト」タイルと呼ばれ、リーフ・デザイン・ラボがカキの定着を考えて設計したもの。

 海洋生態学のメラニー・ビショップ准教授は、「この5年間で、カキが海洋生態系に大きな位置を占めており、今はかつてほどカキが棲息しなくなった。シドニー・ハーバーは極度に都市化された自然環境になっており、私達もこのような環境に合わせてまったく新しい解決策を見つけようと努力している」と語っている。

 同じタイルがニュージーランドのオークランド、アメリカのサン・フランシスコ、香港、アイルランドのダブリン、台湾、南アフリカ、チリなど世界14箇所のハーバーで設置が進められており、ビショップ准教授は、「都市に海洋生物を取り戻すためには都市構造の生態学的価値を高めることが重要だ」と語っている。また、「オーストラリア大陸南東部の海岸はヨーロッパ人の渡来以来、カキ個体数が99%減ってしまった」と推定している。

 カキは1時間に半リットルの水を濾過し、海水中の金属分を吸収すると言われている。そのため、カキは海水の金属汚染の生物指標に用いられている。ビショップ准教授は、「カキは水を濾過して植物性プランクトンや有機物粒子を吸収し、水を吐き出している。また、疑似糞便を吐き出し、それが海底にたまって栄養物になる。そうやってカキは海水品質保存に非常に役立っている。ただ、問題は金属がカキの体内に蓄積し、カキを捕食する生物が濃縮された金属を体内に取り入れることになることだ」と語っている。

 科学者グループは、カキを採集することもできるが、そのままハーバーでカキを増やすことの方が生態系にとって利益になると考えている。また、シドニー・ハーバー内のカキは汚染がひどいため、食用には適していないと語っている。
■ソース
Scientists create oyster colonies to help clean up Sydney Harbour

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