豪再生エネルギー企業が独に注目

アボット政府の嫌環境政策で市場転換

 トニー・アボット保守連合政権は世界的傾向や国連での批判をしり目にあくまでも石炭を世界に売り込む親化石燃料政策を貫く姿勢を示しており、総発電量に占める再生可能エネルギー発電量の目標(RET)も事実上薄めようとしている。労働党政権期に後押しを受けて発展したソーラー・パネル、風力発電などの産業は保守連合政権からの寒風に危機感を抱いている。保守連合政府以前の労働党政権でも再生可能エネルギー普及への熱意は北半球の一部の国に比べると生ぬるかった。再生可能エネルギー発電新技術を擁する豪企業がドイツ政府の再生可能エネルギー促進策に注目し、市場をドイツに移すことで破滅的事態を避けようとしていることが伝えられている。

 メルボルンの連邦科学産業研究機構(CSIRO)の開発した技術を商品化する企業、セラミック・フュエル・セルズ(セラミック燃料電池)社は、同社の製品は一般世帯や小企業の電気料金を50%程度までカットすることができるとしている。しかし、2年前に「オーストラリア国内では事業展開の機会がない」と考え、政府が大規模な奨励策を採っているドイツに事業を移転した。

 同社のフランク・オベルトニッツ代表取締役は、「当社の技術は初期段階であり、製品の商品化を進めなければならないが、ヨーロッパの再生可能エネルギー奨励政策はオーストラリアなど比べものにならない。しかも、ドイツは、原発を閉鎖し、二酸化炭素排出量を減らし、再生可能エネルギーに発電エネルギー比重を移していく「エネルギーヴェンデ」政策を採っている。シンクタンクのアゴラ・エネルギーヴェンデ社のパトリック・グライヒェン博士は、「チェルノブイリや福島の原発災害の後、ドイツ国民は原子力にノーと言い始めている」と語っている。

 ドイツ政府のプログラムは2011年の福島原発爆発事故以降加速している。過去10年内で再生可能エネルギーによる発電量は3倍に増大した。2013年には再生可能エネルギー発電量は総発電量の24%に達している。また、ドイツ政府は再生可能エネルギー発電産業に昨年だけでも160億ユーロを出資している。しかも、ドイツ政府は、「我が国はエネルギー輸入に頼ってきたため、これまでの投資で燃料コストで何十億ドルもの節約が可能になった。また、新産業で40万人の雇用を創出してきた」と発表している。

 電気料金は、一般世帯などは1キロワット時あたり29ユーロ・セントを払っているが、大企業は特別料金を免除されており、1キロワット時3.5ユーロ・セントと優遇されている。再生可能エネルギー源は立ち上げこそコストが大きいが火力や原子力に比べてランニング・コストが低いため、将来、再生可能エネルギー産業が自立できるようになればこの特別電気料金も引き下げ廃止される予定になっている。

 セラミック・フュエル・セルズ社では、「現オーストラリアの状況は当分再生可能エネルギー産業にとって厳しい。オーストラリアでの事業見通しは立たない」と語っている。(NP)

http://www.abc.net.au/news/2014-10-28/australian-green-energy-company-forced-offshore/5849082

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