旦那はオージー「初めてのクリスマス・プレゼント」

第41回
初めてのクリスマス・プレゼント

【前回までのお話】極寒の北海道から、オーストラリアへ家族4人で移住。

話は新婚当初のクリスマスにさかのぼる。

当時、北海道の高校教師をしていた私は、クリスマスの夜は寮での泊り勤務が入っていた。昼間に勤務があるだけでも「なんでクリスマスに仕事なんだ!」と怒っていた夫は、更にムッとした様子。

「そんなことを言ったって、ここは日本なのだから、クリスマスだって通常通りに勤務なのよ」。駄々っ子のような夫に言い聞かせ、私は寮の仕事へと出掛けた。

夜8時ごろ、食事も終わって皆が自室でくつろいでいた時「先生、お客様ですよ」と生徒から声を掛けられた。なんと夫が寮の玄関に、バラの花束を持って現れたのだ。それだけでも「生徒に見られたら恥ずかしい! でもうれしい!」気持ちだったのに、夫はプレゼントまで持ってきてくれていたのだ。花束はさすがに持って帰ってもらったけれど、プレゼントだけは早く開けたくて、うずうずしていたので置いていってもらった。

さて、点呼の時間になり、生徒の部屋を訪問して人数を確認、1時間くらいはあっという間に過ぎた。そしてやっと自室に戻ってプレゼントを開いてみた。「なんということだろうか!」。その中には革製のハンドバッグが入っていたのだが、どうみても年配の女性向けのパッチワークのハンドバッグだった。

イラスト=たこり
イラスト=たこり (Web: takori.go-jin.com)

「一体、こんなセンスの悪い物をどこで買ったのだろう?」というのが私が抱いた最初の感想だった。次に「幾ら使ったのか?」「私はこんなにダサいハンドバッグを使わなくてはいけないのか」「初めてのプレゼントだから使うべきなのだろうけど、こんなハンドバッグを持って歩く勇気はない……」といろいろなことで悶々としてしまい、その晩はなかなか寝つけなかった。

結局、そのハンドバッグはお蔵入り。しかし3カ月くらいたった時に「あのハンドバッグ使わないの?」と彼に聞かれた。意を決して私の真意を伝えたら、意外なことに彼は全く気にしなかった。「いいよ、気にしないで。でも、これからは君のプレゼントは買わないからね」とひと言。それ以来、毎年自分で好きなものを購入して、自分でラッピングしているのである。


ポップ登美子
北海道札幌市出身。オージーの夫と2人の子どもとともにノーザン・テリトリーに在住中。本紙コラムのほかにも、「地球の歩き方」海外特派員などでのフリーランス・ライターや日本語ガイド、日本語教師としても活躍中。
Web: ameblo.jp/kangaroo777
www.facebook.com/miffy777/
ameblo.jp/darwin-japanese

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