第56回 非戦の誓いを・「集団的自衛権」を考える

JFPピースフル通信

 

オーストラリア国内の平和への動き、
メンバーの平和への思いをお伝えするコラム
 

第56回 非戦の誓いを・「集団的自衛権」を考える 
中村ひで子(JfPメンバー)

 

昨年末の第2次安倍政権誕生で9条改憲、国防軍、集団的自衛権といった物騒な言葉が飛び交うようになった。第1次政権当時(2006-07年)に安倍首相は、狭義の強制はなかったとする「慰安婦問題」発言で、同盟国の米国からも厳しい批判を浴びた。

当時、首相の諮問機関として発足した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が、今回も再招集された。

同懇談会がまとめた報告書は、第1次安倍政権を継いだ福田首相に08年に提出されたが、集団的自衛権を認めるそれは、これまでの政府見解においても憲法9条の交戦権否定に触れ、違憲であるとして問題にすらされなかった。ところが今期、安倍首相は宿願でもあった集団的自衛権行使に向けて大きく動き出した。

集団的自衛権とは、自国が攻撃されなくても同盟関係にある他国が起こす戦争に参加し、武力行使を正当化、合理化するものである。これを認めてしまえば、自衛隊は米国の戦争に武力攻撃を前提に参加することになる。米軍基地が「敵国」から狙われる可能性もあり、日本が再び戦争に巻き込まれる危険が予測される。警察予備隊(後の自衛隊)が1950年に創設されて以来、まさに9条に守られ、隊員は1人も「殺さず、殺されず」に今に至っている。

いったいなぜ21世紀の今日まで戦争を紛争解決の道具にするのだろうか。卑近な例では、米国は、9.11を理由に2001年アフガニスタンに、2003年イラクに武力攻撃を行ったことは私たちの記憶に新しい。その結果何が起こったか。多数の一般市民、子どもたちが犠牲になった。そして、難民の大量流出。現在の豪政府はボート・ピープルを発見した場合、そのまま本国へ追い返すという。

イラク参戦にいち早く手を挙げたのは、ハワード元豪首相だった。結果的に大量破壊兵器はなく、豪も難民を生み出す原因を作った当事国の1つになったのだ。その責任を問う気持ちが現政権にはないのだろうか。

米、豪などを巻き込んで集団的自衛権はこのように使われてきた。国際法で戦争は違法化されているのに(国連憲章第2条3項)、果たして集団的自衛権が国民1人ひとりの命を守れるのだろうか。これを問う時、非戦を誓う憲法9条こそむしろ世界に広めたいと、私は考える。


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Japanese for Peaceプロフィル
2005年3月に設立した日本人を中心とする平和活動グループ。毎年8月に広島・長崎平和コンサートを開催。そのほか多数のイベントを企画すると同時に、地元のグループや活動家、他民族のグループとも交流を持ち、平和活動のネットワークを広げている。
Web: www.jfp.org.au
Email: info@jfp.org.au

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