『An Officer and a Gentleman/愛と青春の旅だち』

Musical

海軍士官養成学校生の友情と恋を描いたミュージカル

『An Officer and a Gentleman/愛と青春の旅だち』

ニュース/コミュニティー

© Brian Geach

1982年にリチャード・ギア主演で大ヒットしたテイラー・ハックフォード監督の映画『愛と青春の旅だち』。この有名な映画作品をオーストラリアのクリエーターたちが、世界で初めてミュージカル化した。

脚本は米国人のダグラス・デイ・スチュアートとシャーリーン・クーパー・コーエンの共作。物語は原作にほぼ忠実で、主人公ザック・メイヨがさまざまな出来事を通じて成長していく姿を軸に描いている。音楽は同じく、米国人のケン・ハーシュとロビン・ラーナー。ジョー・コッカーとジェニファー・ウォーンズが歌ってアカデミー歌曲賞を受賞した映画版の主題歌「愛と青春の旅だち(Up Where We Belong、ジャック・ニーチェ作詞作曲)」が、ミュージカルでもラスト・ナンバーを飾る。今回の世界に先がけたシドニー公演の演出は、サイモン・フィリップスが担当。演劇やミュージカル、オペラの演出にかけては有数の演出家だ。

注目のキャストには世界で活躍するオーストラリア人タレントが集結した。デール・ファーガソンが設計したシンプルで機能的なデザインの舞台を、歌・踊り・演技の3拍子がそろった粒選りのタレントたちが駆け回る。主役のザックを演じるベン・ミンゲイは、メルボルンとシドニーで大好評を博したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』のトミー役で知られる俳優。『オペラ座の怪人』『マンマ・ミーア』『ビリー・エリオット』など、ミュージカル作品には名作映画を元に作られたヒット作が数多くあるが、すべてが成功を収めたわけではない。その1つに挙げられるのが、昨年オーストラリアで初めて制作・公演された『ドクトル・ジバゴ』だろう。果たしてミュージカル『愛と青春の旅たち』は、映画に負けない魅力を発揮するのか?

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© Brian Geach

ミュージカル・ファンにとっては期待の開幕だ。 映画同様、舞台はマニラのカラフルな売春街で始まる。13歳のザック(Ben Mingay)は海軍兵曹の父に失望した母が自殺した後、父を探し求めてマニラに到着。酒浸りの父と売春婦と生活することになる。退廃的な環境で悲惨な少年期を過ごすザックだったが、白い制服をまとった海軍士官と交わした会話に刺激され、将来パイロットになる気持ちを固める。成人した彼は父の反対を押し切り、海軍航空仕官養成学校の飛行士過程に入学。そこにはザックのように未来を夢見る仕官候補生の仲間が多くいた。しかし、彼らを待っていたのは、鬼教官の黒人軍曹フォーリー。脱落すればそれで終わりという過酷な訓練の日々が始まる。

 

一方、町工場で働く女性たちは町での暮らしを脱出して士官夫人になることを夢見ている。ポーラ( A m a n d aHarrison)は看護師になる勉強をしているが、友人のリネット(Kate kendall)は仕官夫人になることしか眼中にない。そんなある日、ダンス・ホールでザックはポーラと、友人シド(Alex Rathgeber)はリネットと知り合い、恋愛関係となる。

シドは厳格な海軍将校を父に持つ純朴な青年。リネットから妊娠したと知らされると軍に残るより結婚を望み、除隊する。しかし、妊娠は嘘で士官としか結婚しないというリネットの拒絶反応にショックを受けたシドは、自殺してしまう。大事な友人を母と同じ自殺で失ったザックは、恋人のポーラもリネットと同じタイプだと思い、付き合いをやめる。

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そして、13週間にわたる壮絶な訓練を乗り越え、迎えた卒業の日。フォーリー軍曹の特別な配慮で晴れてパイロット生に選ばれたザックは、一時は恨んだ鬼軍曹に感謝する。そして、ポーラへの気持ちに気付いたザックは、彼女が働く町工場の作業場へ。工場で働くポーラの母や友人から祝福されながら2人は去って行く。

ミュージカルの決め手は、やはり音楽だ。本作の音楽は全体的にロック調バラードの曲が多く、残念ながら記憶に残る印象深い曲や、軽く口ずさめるような曲は少ない。強いて言えば、フォーリー軍曹が歌う「I’ll Be Dammed」は聞き応えがあるだろうか。また、第2幕開幕のラテン音楽とサルサ・ダンス・シーンはリズム感にあふれるミュージカルらしい一場面。ラスト・ナンバーの「愛と青春の旅たち」も名曲だが、ミュージカル用に作られていないため、盛り上がりに欠けるかも。全体として音楽的な物足りなさが否めないが、若手キャストの熱演でカバーした意欲作だ。

information

会場:Lyric Theatre, The Star

公演日時:水〜土8PM、

マチネ火・水1PM、土2PM、日3PM

料金:$70.90〜135.90予約:1300-795-267/Ticketmaster.com.au

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