編集部イチ押し! 6月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル
Hunt for the Wilderpeople
ドラマ/PG 5月26日公開予定 満足度★★★

隊長が観た!

オーストラリアのお隣の国、ニュージーランド。いくらお隣の国といってもやはり違う国、似ているように見えて実はけっこう違っていて、旅行すると驚くことが多い。そのニュージーでハイキングをしたことがあるけれど、オーストラリアのブッシュ・ウォーキングのような乾燥した森ではなく、かなりウェット。植物も水々しく、地面もぬかるんでいて靴が泥だらけになってしまった。この湿り気具合が日本と似ていて、さらに、同じく小さな島国ということもあって、ドライで砂煙が舞う広大な大地のオーストラリアより親近感を抱くことが多かった。それに大好きな温泉もあるし。

そこで今回は、その水々しい大自然をバックしにしたニュージーランド映画を紹介。

いろいろな問題を起こしている少年のリッキー。彼は児童福祉サービスによって、新たな里親とニュージーランドの田舎で新しい生活のスタートを切る。ベラおばさんと気難しいおじさんのヘック、そして一匹の犬。なんとか田舎の生活にも慣れ始めたころ、突然ベラおばさんが亡くなってしまう。そのことにより、また施設に戻されると知ったリッキーは、森の中へと逃げ込む。そしてヘックはリッキーを探し、ようやくリッキーを見つけるが……。主演は、『ピアノ・レッスン』『ジュラシック・パーク』『月のひつじ/The Dish』など、ニュージーランド出身でハリウッドやオーストラリアでも活躍するサム・ニール。ちょっと、というか“かなり”ポッチャリしたジュリアン・デニソン演じるリッキーとの相性もバッチリで、もう70歳近い年齢だけど、頑固だが根は優しいヘックを余裕で演じている。『ジュラシック・パーク』でもそうだけど、やはりこの人、お父さん的なキャラクターが一番似合っていると思う。映画は、いわゆるハート・ウォーミング系で、ニュージーの大自然に、オフビートな笑い、最後にはカー・チェイスもあり誰もが満足できる愛らしいコメディー映画に仕上がっている。また、俳句も出てくるし、自分だったら山小屋で「出前一丁」見つけたら真っ先にカバンに入れるのに、なんて思ったりする「日本人ウケ」するシーンも有り。


ただ、年老いたヘックと孫のようなリッキーとの交流がメインとは分かっているが、猫の顔を描いたセーターを着て、オープニングからぎゅっと心をつかまれたベラおばさんを、もう少し見ていたかった。というか、ヘックが亡くなって、ベラおばさんがリッキーとともに大自然の中でサバイブするのを見たかったような……。彼女なら十分サバイブできそうだし。さらに、ベラおばさんが亡くなってから、やや中だるみしている感じがあり、中途半端に追跡劇を入れるより、ヘックとリッキーの2人の心の変化をもっと丹念に描いた方が良かったかも?ちなみに、そのベラおばさんの葬式で司祭を演じているのが監督のタイカ・ワイティティ。ライアン・レイノルズ主演のスーパー・ヒーロー映画『グリーン・ランタン』にも俳優として出演し、来年公開のディズニー映画『モアナ』には脚本家の1人として参加しているマルチなクリエイターだ。前作の、バンパイアの生活をドキュメンタリー・タッチで描いた『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア/What We Do in the Shadows』は日本でも公開され、3月下旬にニュージーランドで公開された今作は、興行成績で第1位になり、さらに第1週目の興行成績で最高記録を達成。そして、次作は『マイティ・ソー』シリーズ第3弾『Thor: Ragnarok』の監督に抜擢と、今大注目の監督の1人だ。ハリウッドの超大作で、この監督の持つ脱力系の緩い笑いがどこまで生かされるのか、今から楽しみだ。


アングリーバード
THE ANGRY BIRDS MOVIE (3D)
アニメーョン・アドベンチャー・コメディ/PG 公開中 満足度★★★

3Dアニメになったコメディー映画『アングリーバード』。ついに、彼らがなんでそんなに“アングリー”なのかが判明する! 舞台は、飛ばないけれども幸せに包まれた鳥たちが生活する平和な島。でもこの楽園で、かんしゃく持ちのレッド、動きの速さが自慢のチャック、その名の通り爆発が得意技のボムの3羽は、いつもアウトサイダーだった。ところがある日、正体不明の緑色の豚たちがこの島に上陸。この訪問者たちの目的は何かを探るために、思いもよらず3羽が活躍することになる。原作は、世界的に大ヒットしたといわれるフィンランド生まれのモバイル・ゲーム『Angry Birds』。レッド、チャック、ボムはゲーム中のキャラクター。日本ではキャラクター・ビジネスも展開されている。


メドラー
THE MEDDLER
コメディ・ドラマ/CTC 公開中 満足度★★★

「メドラー」は「おせっかいな人、余計な世話を焼く人」という意味。この映画の主人公、スーザン・サランドン演じる母親マーニーがそのメドラーだ。最近夫を亡くしたマーニーは、新品のiPhoneと夫が残してくれた心強いキャッシュ・カードを手に、ニュージャージーの田舎から、脚本家として成功しているがまだ独身の娘ローリーが住むロサンゼルスに向かう。しかし、娘は母親のメドラーぶりにへきえき。個人生活への介入を拒否されたマーニーは、自分の飛び抜けた陽気さと大らかさを、いろんな人たちの人生のために活用しようと思い立つ。そして自分自身の人生も。新しい友達を作り、人生の新しい目的を見つけ、そして新しい出会いの可能性を求めて、都会の中で新しい一歩を踏み出す。


マネー・モンスター
MONEY MONSTER
ドラマ・スリラー/CTC 6月2日公開予定 満足度★★★★

金融テレビ番組『マネー・モンスター』の人気キャスターであるリー(ジョージ・クルーニー)。ある日、生放送中に、リーの情報に基づいて投資をして全財産を失ったという男カイル(ジャック・オコンネル)が銃を持って現れ、リーを人質としてスタジオを占拠する。そして、状況を生放送することを要求。ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)はこれに従わざるを得ない。カイルの話を聞いているうちに、リーは、自分が番組で流した情報は何者かに操作されたものだったこと、金融界の裏で何かがなされていることを知らされる。そして短い時間内に真実を暴くことをカイルに要求される。自分たち、そしてスタッフの命を守るため、リーとパティは行動を開始する。監督はジョディ・フォスター。


マイルス・アヘッド
MILES AHEAD
伝記・ドラマ/M 6月16日公開予定 満足度★★★★

20世紀ジャズ界の天才トランペッター、マイルス・デイビスの1つの時期に焦点を当てた作品。主演・監督・共同脚本・制作プロデューサーの全てを、オスカー候補俳優のドン・チードルが務める。危機的状況に陥りながらも常識にとらわれない行動を続ける1人のアーティストの姿を独特のタッチで描く。モダン・ジャズ革命の最前線で素晴らしい作品を発表し世間の注目を浴び続ける中、1970年代後半の5年間、マイルスは人々の前から姿を消した。家にこもり、慢性的な痛みや薬物による体の衰えにさいなまれ、心は過去の亡霊に取りつかれていた。そこに音楽ジャーナリストのデイブ(ユアン・マクレガー)が現れ、2人は、盗まれたマイルスの最新作品のテープを取り戻すという行動を開始する。


★今月の気になるDVD★

Working Girl
ワーキング・ガール
ドラマ 米国、115分、形式:DVD

80年代ニューヨークを舞台にしたビジネス・サクセス・ストーリー。証券会社で働くテス(メラニー・グリフィス)は、勉強熱心ながんばり屋だが、学歴がないために雑務的な仕事しかさせてもらえない。セクハラに仕返しすると逆に問題児扱いされたり。新しく赴任してきた上司のキャサリン(シガニー・ウィーバー)の辣腕ぶりを尊敬の目で見ていたテスは、彼女がけがで長期休暇となり業務を代行していた時、地位を偽って親しくなった企業売買専門家のジャック(ハリソン・フォード)に自分で考え出したビジネス・アイデアを認められ、一緒に企業合併の仕事を進めることに。実業界の大物に食い入り、大ビジネスが成功しそうな時、怪我から回復したキャサリンが戻ってきて、テスが本当は秘書に過ぎないことを関係者に明かし、そしてなんと、アイデアは自分が考えたものだと主張する。

1988年の作品。オープニングでアカデミー賞主題歌賞受賞のテーマ曲とともに大映しになる自由の女神像、通勤フェリーを迎えるマンハッタンのツインタワーの姿が実に印象的。日本公開は1989年。「働く女性」が注目を浴び始めていたこの時期、コメディー・タッチの娯楽作品とはいえ、この映画に励まされた人も多かっただろう。もっとも、男女問わず、仕事と自分の関係をどうとらえるかで、映画への感想も大きく違ってくるかも。昔のファッションに驚きながら、今またそれを再確認してみるのもいいかもしれない。(編集=MK)

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る