シネマへ急げ!ホリデー映画紹介

クリスマスも近づき、続々と公開されているホリデー映画。たくさん笑って楽しめるコメディ作品から、最先端コンピューター・グラフィックスを駆使したアニメーション、そしてアカデミー賞ノミネートも囁かれる話題作まで、今年もバラエティ豊かな作品が目白押し。中でも注目すべきタイトルを、辛口解説でお馴染みの本紙映画隊長と編集部員が厳選してご紹介する。

■レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。

12月25日
公開予定

ベイマックス Big Hero 6

ファミリー/PG ★3.5

隊長が観た!

昨年、日本でも大ヒットした『アナと雪の女王』。♬ありの〜ままの〜と、映画で歌っている松たか子に対して、エンド・ソングを歌うMay J.がバッシングを受けたり、2014年新語・流行語大賞の候補に「ありのままで」「レリゴー」がノミネートされたり、1年を通じて話題が途切れることがなかった。日本ではスタジオ・ジブリの作品などで、大人も気軽にアニメを見に行く習慣もあったし、楽曲の良さも加わって興行収入が200億円を突破し、歴代3位という社会現象とも呼べるメガ・ヒットとなったが、個人的には邦題にもヒットの一因があったように思う。原題は『フローズン』、この何のヒネリもイメージも湧かないタイトルを、『アナと雪の女王』と、内容も盛り込んだ分かりやすい邦題にすることによって、多くの人にアピールしたと思う。ここ最近の邦題ではベストだと思う。

そして、その『アナと雪の女王』に続きディズニー・アニメーション・スタジオの製作する新作が『ベイマックス』。架空都市サンフランソウキョウに住む14歳のヒロ・ハマダが主人公。幼いころに両親を亡くし、叔母のキャスと兄のタダシと暮らす彼は、アンダーグラウンドのロボット格闘技に夢中になっている。そんな彼を、兄のタダシは大学に連れていき、研究仲間や教授と会わせ、ヒロに大学で学ぶことを勧める。しかし、そんな矢先、不慮の事故でタダシが亡くなる。深い悲しみに沈むヒロの前に現れたのが、タダシが生前開発した人間の心と体の健康をケアするロボットのベイマックスだった…。

『アナと雪の女王』は、姉妹が主人公だったのに対し、今作は兄弟、さらにロボットが登場と、まさに“男の子”映画になっている。また、『アナと雪の女王』では雪や氷の世界がコンピューター・グラフィックス(CG)によって美しく表現されていたが、今作では、東京とサンフランシスコを合体させた都市、サンフランソウキョウの街並みを見事にCG化している。これは、もっとじっくり見たいと思わせるほど巧妙な景色で、特に東京とサンフランシスコ両方の都市を知っている人には、かなり興味深い背景になっている。日本語の看板もいっぱい出てくるが、地理的にはサンフランシスコで、ゴールデン・ゲート・ブリッジやアルカトラズ島の日本バージョンが登場する。

原作はマーベル・コミックスのアメコミ「Big Hero 6」だが、原作と呼ぶよりインスピレーションと言った方がいいぐらい設定などが違っている。これも、『アナと雪の女王』が、アンデルセンの童話『雪の女王』をベースにしているが、ストーリーはオリジナルだったように、エッセンスだけを抽出しているようだ。日本のゆるキャラに通じるような、ベイマックスは、日本の鈴からインスピレーションを受け、これまた原作とはまったく違ったものとなっており、日本の影響を強く受けたディズニー映画になっている。ちょっと前までは、ディズニー・アニメーション・スタジオはかなり低迷していたけど、このところ続編製作が多いピクサーを追い越して、完全復活した感じだ。

今作は“男の子”映画だけど、どちらかと言うと「マジンガーZ」世代のかつて“男の子”だった層にも十分アピールできる内容で、子供を連れて見に来たお父さんが大泣き!なんてことも十分ありえる。『アナと雪の女王』もそうだったけど、今作も、年齢も関係なく誰にでもお薦めの、まさにホリデー・シーズンにぴったりのアニメ。個人的には、同時上映される短編アニメ「愛犬とごちそう」もお薦め!エンド・ロールの最後にはおまけもあるので、最後まで席を立たないように。

製作裏話

サンフランソウキョウができるまで

今回好評を博したサンフランソウキョウの街並み。ゴールデン・ゲート・ブリッジが鳥居風にアレンジされていたり、ビクトリア様式の建物は屋根だけ瓦だったりと、不思議な融合が至るところに見られるのになぜか全体の雰囲気は非常に良くまとまっていた。
 それもそのはず、プロデューサーのロイ・コンリ氏のこだわりは並はずれていて、この世界観を作り上げるにあたってディズニーのスタッフを事前リサーチ目的で日本に滞在させたのはもちろんのこと、その後もアメリカの製作現場へ8人の日本人スタッフを呼び寄せて、ひたすら入念に上がりをチェックをしていた。
 さらに、仮想の街とはいえ人の息づかいが感じられるリアルなものに仕上げたいと考えた製作チームは、サンフランシスコの実際の地図を元に、8万3,000戸の建物と2万6,000本の木、21万5,000の街灯、10万台の車、そして1,000人の人間(しかも、人間のデザイン・パターンは500種類以上)を配置して、街の3D造形を作り上げたそうだ。各建築物はシーンの切り替えなくズームにしても問題のないよう、建物の中身のディテールにまでこだわって作りこんだという凝りっぷり。これには思わず脱帽だ。

12月26日
公開予定

ザ・ウォーター・ディバイナー The Water Diviner

ドラマ、アクション/M ★★★★

舞台は第1次世界大戦中のトルコ。本作で長編監督デビューを果たしたラッセル・クロウだが、スクリーンの中では戦闘中に行方不明になった息子たちの消息を追う父親、コナーを演じる。コナーは息子たちは戦死したものと思い、その遺体を必ず祖国へ連れて帰ろうと胸に誓うが…。“大きなミッションを背負った父親”というテーマが、ストーリー展開を何倍もドラマティックなものにしている。また、オスカー賞も受賞したシネマトグラファー、アンドリュー・レスニーによって、各シーンはまるで絵画のように美しくフレームに収められ、観る人の心を奪う。

公開中

間奏曲はパリで Folies Bergere

ドラマ/M ★★★★

隊長が観た!

ノルマンディーで牛の畜産を営んでいる夫婦、ブリジットとグザヴィエ。ある日、隣の家でパーティーがあり、そこで若いパリジャン、スタンに出会う。そして彼に会うために、夫に嘘をついてパリへと出かけるブリジットだが…。夫、息子ほど歳の離れたイケメン、夫とは違う知的でダンディーな魅力にあふれた男性、この3人の中でゆらめくブリジット。まあ、一歩間違うと“あんた何様?”という展開になりそうなのだが、主演のイザベル・ユペールの魅力で大人向けのロマ・コメとして成功している。笑って泣いて…心が温かくなる作品。お薦め!

12月26日
公開予定

ホビット:ザ・バトル・オブ・ザ・ファイブ・アーミーズ 
HOBBIT: THE BATTLE OF THE FIVE ARMIES

アドベンチャー、ファンタジー/MA15+ ★★★

世界中で大ヒットを記録したエピック・ファンタジー・アドベンチャー3部作の最終章がついに公開される。前作で完結の予定が、製作途中で突然引き延ばすことが決まったりと、製作サイドの混乱がうかがい知れるエピソードもあったが、その割にはすっきりと良くまとまったエンディングと言える。綿密な構成の元撮影されたアクション・シーンは、一挙一動に監督の意図が込められているほどで、それを最先端のカメラと音響技術を駆使したクリエイティブ・チームが、見事な3D映像に収めている。45分間も続くクライマックスの戦闘シーンは見物。

公開中

キープ・オン・キープ・オン KEEP ON KEEPING ON

ドキュメンタリー/G ★★★★

ジャズ界の巨匠、クラーク・テリーを4年以上にわたって追い続けたドキュメンタリー映画。彼がメンターとして育てた、盲目の若き奇才ピアニスト、ジャスティン・カフリンとの熱い師弟関係が描かれる。コンテストに勝ち続けることが宿命の天才音楽家にのしかかる重いプレッシャー。技術のみならず、それを乗り越えるための精神力も伝授するうちに、いつしか2人は深い絆でつながってゆく。しかしジャスティンがその類まれな才能を花開かせる一方で、89歳の年老いたクラークの健康状態は悪化していき…。感動のラストには、誰もがインスパイアされるはず。

1月1日
公開予定

ジ・イミテーション・ゲーム The Imitation Game

バイオグラフィー/M ★★★★

隊長が観た!

TVドラマ「SHARLOCK」で大人気となったベネディクト・カンバーバッチ主演映画。第2次大戦時、絶対に解読不可能と言われたドイツ軍の世界最強の暗号「エニグマ」を解明し、連合国を勝利に導いた実在の人物、アラン・チューリングの伝記。コンピュータの概念を創造したコンピュータ・サイエンティストであり、天才数学者でもあり、“人工知能の父”とまで呼ばれた彼の数奇な人生を描く。あまり知られることがなかったアラン・チューリングにスポットを当てただけでも十分意味のある映画。トロント国際映画祭で観客賞を受賞!

12月26日
公開予定

モンスター上司2 Horrible Bosses 2

ドラマ、コメディ/MA ★★

編集部員が観た!

鬼上司への復讐に燃える過激なストーリーで大ヒットした前作『モンスター上司』の続編。今作では主役の3人が起業するところから物語がスタート。しかしその直後、投資家の罠にはまった彼らは不当な借金を背負わされてしまう羽目に。困り果てた結果、投資家の息子と大胆な作戦で解決に挑むが…。主演を務めるジェイソン・ベイトマンとチャーリー・デイとジェイソン・サデイキスの息の合った演技は健在。ケビン・スペイシーやジェニファー・アニストン演じる鬼上司たちも再びスクリーンに登場する。何も考えずに思いきり笑って楽しみたい時に。

12月26日
公開予定

ミスター・ターナー Mr. Turner

バイオグラフィー/M ★★★

『秘密と嘘』でパルムドールを受賞したマイク・リー監督による初の伝記映画。ありきたりのものを繊細に描き出すことで知られるマイク・リーが本作で取り上げたのは、エキセントリックで革命的な絵画の巨匠としてその名を馳せた英国ロマン主義の画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー。大きな名声を獲得する一方で、その放埓な言動ゆえに大衆やアカデミーから揶揄されることもあったという彼。その内に秘められた揺れ動く心情を繊細に捉える。ヴィクトリア王朝時代の様式美や封建的な風潮も見事に再現されていて、ロマン派ファンは必見。

1月8日
公開予定

イントゥ・ザ・ウッズ Into The Woods

バイオグラフィー/PG ★★★

隊長が観た!

ブロードウェイ・ミュージカルからの話題の映画化。魔女の呪いで子どもが授からないパン屋の夫婦。彼らは、その呪いを解くために必要なミルクのように白い牛、赤い頭巾、黄色の髪、金色の靴を探しに森の中へと入っていく…。シンデレラ、赤ずきん、ジャックと豆の木、ラプンツェルなどの童話の人物が登場するが、それらを豪華俳優陣が演じている。アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『シカゴ』のロブ・マーシャル監督だけど、ちょっとストーリーが消化不足。『レ・ミゼラブル』や『アナと雪の女王』に続いて、今年のミュージカルのヒット作となるか?

1月1日
公開予定

ザ・ペンギンズ from マダガスカル Penguins of Madagascar

ファミリー/G ★★★

編集部員が観た!

ドリームワークス・アニメーションの『マダガスカル』シリーズからのスピンオフ。今作では『マダガスカル』で人気を博したエリート・ペンギンたちが、動物愛護や保護に貢献する謎の秘密組織、ノース・ウィンドとタッグを組んで、世界征服を企むオクタヴィア・ブライン博士の邪悪な計画を阻止しようとする。あることをきっかけに復讐に燃えるオクタヴィア・ブライン博士は、愛らしいルックスで世界中の動物園や水族館で人気を集めるペンギンたちを醜いモンスターに変身させようと企むが…。ファミリーで楽しめる、ホリデーにぴったりの1作。

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