編集部イチ押し! 6月の新作映画をチェック

 辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。
 

ワイルド・テイルズ
WILD TALES
     サスペンス・コメディー/MA 15+

今月のムービー・レビュー

5月21日公開予定 満足度★★★★

隊長が観た!

今回紹介する映画は、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、さらにアカデミー賞の外国語映画にもノミネートされたアルゼンチン映画。なんだかこれだけを聞くと、同じくカンヌ国際映画祭でもアカデミー賞でもノミネートされたロシア映画の『Leviathan』のような深刻な映画(それはそれで十分に楽しめたお薦め映画の1つだけど)を想像してしまうけど、これがなんともハチャメチャなコメディー。それも思いっ切りブラックな内容となっている。

オムニバスで6つのショート・フィルムからなる一風変わった作品で、普通の日常でひょんなことからキレてしまった人たちが、悪い方、悪い方へと坂を転がるように流されていく様を、全編を通じてこれでもかというくらいに見せつけてくれる。もうラテン系。まさにラテン系。やっぱラテン系!といった感じで、意外なヒートアップぶりにはビックリ。

最初の話は飛行機上での出来事で、先日起こったドイツ旅客機がフランス南東部に墜落した事件を連想させられてしまった。“コレ、笑っていいのか”と困ってしまったけど、まあ、順番ではこの映画の方が先に製作されているので、問題ないとは思う。ただ、タイミング的にはちょっとマズいかな?

個人的に6つのストーリーで一番面白かったのは、田舎のハイウェイでのお話。アウディの新車に乗った白シャツの男がさっそうと飛ばしていたところ、彼の前方にノロノロ運転しているオンボロ・カーが出現。しかも行く先を遮ってくる。イライラしながらようやく追い抜かすことができ、抜かす前にその運転手に思いっきり悪態をついたけど、しばらく運転しているとタイヤがパンクしてしまう。車を止め、タイヤを交換してる間に、例のオンボロ・カーがやって来て——。その後は、予想の斜め上をいく展開に口があんぐり。スピルバーグのデビュー作「激突」を彷彿とさせる。

車をレッカー車に移動させられてしまった男の話も強烈だった。この話もそうだけど、日常の生活でほんと「それ、あるある!」と言いたくなるシチュエーションで、観ている人の心情を映画の主人公に上手く合わせることに成功している。実際の生活では、心の中で悪態をついてもそれを言うことはない。しかし、映画の中では、その思ったことを主人公がしてくれるし、言ってくれる。ここがポイントで、いつもしたくてもできなかったことを映画の主人公がしてくれるために、まさにスカッと気分爽快。ストレス発散にも効く映画である。


唯一残念だったのは、ハイウェイの話とレッカー車の話が特に良かったために、それ以外の話がかすんで見えてしまったこと。特にこの2話に続く交通事故の話は、単独でこれだけを見れば十分面白いはずなものの、それらの後ではパンチが足りないような気がする。また、映画の最後をハッピーエンドで終わらせようとするのは理解できるけど、6つの話の順番をもう少し考えてほしかった。真ん中の2作品が強烈だったから、ちょと尻すぼみっぽく感じられるかも…。しかしまあ、そんな些細なことは置いておいて、まずは劇場でこのブッ飛びダーク・コメディーを楽しんでもらえたらと思う。お薦めの1本!


ア・ロイヤル・ナイト・アウト
A ROYAL NIGHT OUT
     ドラマ/M

今月のムービー・レビュー

5月14日公開予定 満足度★★★★

編集部員が観た!

第2次世界大戦終戦日の晩、若き日のエリザベス女王(当時はプリンセス)が、勝利に沸くロンドンの街へ繰り出していたという実話にヒントを得た作品。実際にはプリンセスは門限の深夜0時にきちんと帰宅したらしいが、本作では門限を守らなかった朝までバージョンのフィクションで話が展開。随所にウィットに富んだ笑いが散りばめられ、リズミカルに楽しめる。ガールズ・ムービーも王族が主役となると別格で、『ローマの休日』を彷彿とさせるような高貴なトキメキ要素が光る。


スパイ
SPY
     コメディー/MA 15+

今月のムービー・レビュー

5月21日公開予定 満足度★★★

編集部員が観た!

今やコメディの女王との呼び声も高いメリッサ・マッカーシーが、今度はスパイ映画に挑戦! CIAエージェントの職務に憧れを抱くスーザン・クーパーは、アナリストとして地道に内勤の日々を送る。しかし、ひょんなことから武器商人の敵地に乗り込むこととなって——。剥げても男前と依然女子からの支持率は高いジェイソン・ステイサムや、可憐な顔立ちで人気沸騰中のシドニー出身女優ローズ・バーンなど豪華俳優陣が脇を固め、ブラックだけど予想以上に面白いと巷で評判!


パルチザン
Partisan
     ドラマ/CTC

今月のムービー・レビュー

5月28日公開予定 満足度★★★

編集部員が観た!

今年頭に行われたサンダンス映画祭で話題をさらったオーストラリア映画。ヴァンサン・カッセル演じるカルト集団のリーダー・グレゴリーは、そのカリスマ性で社会から完全に孤立した閉鎖集団を作り上げ、子どもたちを洗脳して奇怪な事件を繰り返している。次第にその暮らしに疑問を抱き、立ち上がるアレキサンダー(ジェレミー・シャブリエ)だったが——。ユニークな脚本と完成度の高い映像美でたちまち独自の世界観へと引き込まれてしまう、力強い1作。鑑賞後は何とも言えない不安な気持ちに…。


ミスター・ホームズ
MR. HOLMES
     ドキュメンタリー/CTC

今月のムービー・レビュー

7月23日公開予定 満足度★★

編集部員が観た!

『ホビット』でお馴染のイアン・マッケランが、93歳のシャーロック・ホームズ役に挑戦。この役はこれまで70人をも超える俳優たちによって演じられてきたが、今作に限っては、隠居生活中の年老いたシャーロック・バージョンということで少し異色の仕上がりに。探偵業を引退はしたものの、50年前の未解決事件が忘れられない彼が今回向かった先は、なんと日本。そこで出会う、梅崎という男性を真田広之が好演する。情緒あふれる奥深い1作だが、展開が単調過ぎて好き嫌いが分かれるかも。

 

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