ヨーロッパ紀行スペイン編 名門家の確執が極上の泡を生む

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ヨーロッパ紀行スペイン編
名門家の確執が極上の泡を生む

僕のお気に入りの街はバルセロナだ。2度しか訪れていないので、成就していない恋愛関係のように、永遠にロマンティックな想像の産物として残っている。街を斜めに裁断するディアゴナル通りと有機的建築の街を中心に、夜のタパス・バーの飲み歩きを思い出す。カヴァは主役であり、話を弾ませてくれる潤滑油のようなものだ。カヴァのふるさとはバルセロナからそう遠くない所にあり、ペネデス地方の高原にあるサン・サドゥルニ・ダノヤの周りにある。

カヴァは2つの偉大な名門家の物語で、シェークスピアのロミオとジュリエットに出てくる、キャピュレット家とモンタギュー家の抗争を思い出させる。「格式も同じ、2つの名家・・・」と言ったところだろう。名門「コドルニウ家とフレシネ家」がカヴァの世界では主導権を握っている。そして、彼らの起源はその時代の伝統であった名門家同士の結婚によって刻まれている。

1872年に最初に作られたカヴァは、ジョセップ・ラベントス(アナ・コドルニウとミゲール・ラベントスが結婚した家系にまでさかのぼる)によるものだとされている。一方、フレシネはフェラー家の古い家がある場所「ラ・フレシネダ」(トネリコの木が育つところという意味)に由来し、コドルニウ家より少し遅れた1911年に、ドロレス・サラ・ビべとペドロ・フェラー・ボッシュ夫妻が始めた。現在、フレシネ社はスパークリング・ワインの企業では世界のトップ5社に入っている。

両家が成し遂げた、ワイン醸造の革新(発酵の冷却制裁技術や酵母培養の研究など)と優れたマーケティングは(黒いすりガラスのフレシネのワインボトル、最先端を行くテレビCMなどを思い出してほしい)両家共々が誇らしげに話す偉業であろう。

しかし、もっと重要なのは、カヴァはシャンパンに代わる手ごろな商品を、優れたコストパフォーマンスで消費者の手に届けているという点だ。スペインの発明品、ジャイロパレットが、ここで果たした役割も大きい(この機械でのオートメーション化により、熟成中に行う動瓶という作業の時間と手間を劇的に減らした)。

カヴァの意味は洞窟、または、昔からある熟成のための石の貯蔵庫という意味から来ている。一般的にカヴァは3つのスペインのブドウ品種から造られている。マカベオ(グレープフルーツのような特徴がある)、パレリャーダ(青リンゴのような風味があり、酸味がある)、チャレロ(もっと若い味の特徴)。使われている量にもよるが、ドライ(ブリュ)、セミ・ドライ(セコ)、スイート(ドゥルセ)からきっと好みの味が見つかると思う。カヴァの泡でサルー!

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ベン・ホルト
◎ヒルトン・ワールドワイド・マーケティング統括本部長(日本・韓国・ミクロネシア地区担当)。QLD大学で文学修士(日本語と韓国語)ならびに科学修士を取得後、在豪日系企業などで食品輸出、商品取引、マーケティングに従事。2002年~07年にオーストラリア・ワイン事務局日本代表、12年5月までオーストラリア政府観光局日本地区マーケティング本部長を務めた後、現職。

Web: www.holt-blog.com
Twitter: Mr_Riesling
www.facebook.com/Ben.Holt.69
 

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