ヨーロッパ紀行スペイン編 牛の血も騒ぐ、トーレスのワイン

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ヨーロッパ旅行スペイン編
牛の血も騒ぐ、トーレスのワイン

ヘミングウェイは「闘牛という言葉はスペイン語にはない」と言っている。スペイン語の闘牛にあたる言葉「Corrida de toros」は直訳すると「牛の走り」だからだ。ヘミングウェイのスペインを舞台にした小説「陽はまた昇る」でジェイクとブレッドがパリから訪れていた1920年代に比べると、この「牛の見世物」は現在それほど広く行われてはいない。しかし、牛は生き続けている。牛は現在でもスペインの代名詞であり、スペインで最も有名なワイナリーの1つのトーレスなどは、ワイン・ボトルに牛のチャームをぶら下げて、これが彼らのシンボルになっている。以前に書いたカヴァの大家族と同様に、トーレス家も家族経営で成功した有名な物語があり、話はバルセロナの郊外ビラフランカという町があるカタルーニャ地方へ再び戻る。

ハイメとミゲール・トーレスは1870年ブランデーの製造を始め、1907年にはテンプラニーリョ種を主として少しカベルネ・ソーヴィニヨンが入った赤ワイン、「コロナス」のブランドを立ち上げた。その後1954年には、ガルナッチャとカリニャンのブレンドで、牛のマークを付けた「サングレ・デ・トロ」も発売。しかし、トーレスのブランドはこの2つだけではない。トーレスのワインを理解するには、オーストラリアの名門ジェイコブス・クリークを知っていると分かりやすいかもしれない。

両ブランドは、毎日飲めるワイン(トーレスの例では「ヴィナ・ソル」の白ブレンド)、地方限定ワイン(リオハのテンプラニーリョを使った「イベリコ」)、そしてひとつのぶどう畑から造る最高級ワイン(「リゼルバ・リアル」はカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンド)までと、幅広いワインを展開している。ジェイコブス・クリークで例えると、「クラッシック・レンジ」や、アデレード・ヒルズの「リザーヴ・シャルドネ」、スーパー・プレミアム・コレクションの中のシラーズとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンド「ヨハン」などを思い浮かべるだろう。

トーレス家はかなり早い時期から独自のブランドを世界に広げ、カルフォルニアとチリでもワイン造りをしている。1995年にトーレスは中国市場にも参入し、自らのビジネスをワイン造り(地元の有名な製造者のグレースと共に)だけでなく、ヨーロッパからの一流ワインの輸入に着手したり、ロスチャイルド・バロン・フィリップと共同で流通網を作るなど、その姿を変えているのだが、その話はまたの機会に!素晴らしいワインを造るダイナミックな家族企業と、変わり続けるスペイン・ワインの世界をぜひ探検してもらいたい。サルー!

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ベン・ホルト
◎ヒルトン・ワールドワイド・マーケティング統括本部長(日本・韓国・ミクロネシア地区担当)。QLD大学で文学修士(日本語と韓国語)ならびに科学修士を取得後、在豪日系企業などで食品輸出、商品取引、マーケティングに従事。2002年~07年にオーストラリア・ワイン事務局日本代表、12年5月までオーストラリア政府観光局日本地区マーケティング本部長を務めた後、現職。

Web: www.holt-blog.com
Twitter: Mr_Riesling
www.facebook.com/Ben.Holt.69
 

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