ヨーロッパ紀行スペイン編 最後の目的地、プリオラート

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ヨーロッパ紀行スペイン編 ー 最後の目的地、プリオラート

皆さんは今年どんなワインとの出会いがあっただろう——? 僕は今、読者の皆さんのことを考えながらこのコラムを書いている。住む場所もさまざまで、ワーキング・ホリデーに来ている人や、駐在員の奥さん、そして自営業の人もいたりと、きっと広い読者層なんだろうなと想像する。中には、在豪歴20年以上で、オーストラリア人よりもオージーらしい人もいるかもしれないし、自分の時間をサーフィンに捧げつつレストランやバーで働いている人もいるのかもしれない。そんな皆さんが、この国やオーストラリア・ワインのどんな所に魅力を感じているのか、とても関心がある。また最近では、オーストラリアでもヨーロッパのさまざまなワインが手に入りやすくなったので、本コラムの中でも、フランスのシャンパンや、スペインのワインを取り上げ、旅するように書いてみた。楽しんでもらえただろうか。

スペイン・ワインの紹介を終える前に、バルセロナの少し南にあるワインの産地「プリオラート」について話したい。ここのワインは果実味が凝縮されていて、ミネラルが豊富なことで世界的に注目されている。私は、大学時代には地質物理学を専攻していたこともあって、岩や土壌についてとても興味があるのだが、「プリオラート」は、クナワラの「テラ・ロッサ」(赤い土)と同様に、リコレリャ(リコリス)と呼ばれる珪岩がまばらに混じった、色の濃いスレート土壌になっている。モン・サント山脈の陰に位置し、降水量が少ないことから、本来ここでのブドウの栽培は難しいが、比較的土壌が柔らかいため、ブドウの根が水を求め、より深く地下へ伸びていくことで良質なブドウが育つ。

「プリオラート」は美しく小さな産地で、急な斜面に抱きかかえられるようにブドウが植えられている。カリニャンとガルナッチャはリコレリャの上で育つブドウの品種として最もよく知られ、シラーズ種とも相性が良い。多くのワイン評論家が、「プリオラート」はスペイン・ワインの最高峰と言い、有名な「レルミタ」というワインとともにアルバオ・パラシオス氏がこれを牽引している。「レルミタ」は、中世の時代からずっと、スカラ・デイ修道会(廃墟になっていたが、今では一部が修復されている)でひっそりと造られていたのだが、それが生まれ変わり世に知られるようになったのは、ここ10〜20年のことだ。

新しいワインの産地を発展させる一方で、古いワインを見直して再びスポットを当てる。こうした素晴らしいクリエイションは、今日のスペイン文化に通じるところがある。また、こうして皆さんのワイン・グラスに新旧の良質の飲み物が注がれているという事実に、ワクワクせずにはいられない。

ワインについての皆さんの質問を受け付けています。日豪プレスのフェイスブック、メール(viceditor@nichigo.com. au)までお送りください。

ベン・ホルト
◎ヒルトン・ワールドワイド・マーケティング統括本部長(日本・韓国・ミクロネシア地区担当)。QLD大学で文学修士(日本語と韓国語)ならびに科学修士を取得後、在豪日系企業などで食品輸出、商品取引、マーケティングに従事。2002年~07年にオーストラリア・ワイン事務局日本代表、12年5月までオーストラリア政府観光局日本地区マーケティング本部長を務めた後、現職。

Web: www.holt-blog.com
Twitter: Mr_Riesling
www.facebook.com/Ben.Holt.69
 

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