マーガレット・リバー

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

マーガレット・リバー

西オーストラリアのマーガレット・リバーに行ったことはあるかな。そこは陸の孤島で、インド洋の強い波のおかげでサーフィンのメッカでもあり、ワイン通には、カベルネ・ソーヴィニヨンの地として知られる。

昨年12月に行った南西オーストラリアの旅は、夏なのに予想以上に涼しかった。最初のワイナリーで「あなた、バレエ・ダンサーでしょ?」と女性にスタッフに聞かれた。テイスティング中で舌の上でワインは踊っていたが、そんな質問は初めてだった!

人生は驚きの連続だ。これもその1つ。マーガレット・リバーが、ぶどう栽培のための必須条件(土、場所、気候と温度差)をすべて満たしている地として認められたのは意外と最近で、1960年後半になってからだ。そのころ5つのワイナリー、ヴァス・フェリックス、カレン、ケープ・メンテル、ルーイン・エステート、モス・ウッドが当時続々と作られた。それぞれのワイナリーの陰に意志の強い人物がいる。場所を決め、土地を整備してぶどうを植えるが、最初の収穫までの3〜4年は大変だ。その後にやっとワイン造りを始めるが、言うまでもなく、融資をしてくれる辛坊強い銀行も必要だ。そうした経営面を見ると、それぞれが独自の道を歩んでいる。ケープ・メンテルは、巨大グループのモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン社(LVMH)の傘下に入り、創設者だったデイビット・ホーネンはのちに、マックヘンリー・ホーネンというまた別のワイナリーを始めた。ルーインはデニス、パトリシア・ホーガンが所有し、カレンやモス・ウッドと同じように、今日も同じ家族が経営している。

この地域のすべてのワイナリーが、赤ではカベルネ・ソーヴィニヨン、白ではセミヨンとソーヴィニヨン・ブランのブレンド(略してSSB)に大きく貢献しているという共通点を持つ。カベルネは最高の状態だと、チェリーやブラック・カラントを思わせる少しスパイシーな香りで、強いアルコールのニュアンスはない。中でもマーガレット・リバーのものは特に、果実味があり、タンニンが細かくて舌触りが柔らかく、優雅に熟成していく。少なくとも7年熟成を飲んで欲しい。一方、SSBは瓶詰後にすぐにでも楽しめる。ほのかなハーブとクリーミーな香り、ライムよりレモンを思わせる。リースリングほど軽くはないが、SSBはフレッシュな味でどんどん飲みたくなるワインだ。

カレンで美しいぶどう畑を絵にランチを楽しみながら、ぶどう栽培とワイン造りにオーガニックやバイオ・ダイナミック農法を取り入れている、ヴァンヤ・カレンのワインを思い出した。彼女の最近の試みは、話題の製法で造られた「アンバー」で、なんとオレンジがかった色をしている。僕が次回その味に挑戦してみよう!

ワインについての皆さんの質問を受け付けています。日豪プレスのフェイスブック、メール(viceditor@nichigo.com. au)までお送りください。

ベン・ホルト
◎ヒルトン・ワールドワイド・マーケティング統括本部長(日本・韓国・ミクロネシア地区担当)。QLD大学で文学修士(日本語と韓国語)ならびに科学修士を取得後、在豪日系企業などで食品輸出、商品取引、マーケティングに従事。2002年~07年にオーストラリア・ワイン事務局日本代表、12年5月までオーストラリア政府観光局日本地区マーケティング本部長を務めた後、現職。

Web: www.holt-blog.com
Twitter: Mr_Riesling
www.facebook.com/Ben.Holt.69
 

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