流行の逆を行くオレンジ・ワイン

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

流行の逆を行くオレンジ・ワイン

ワインというのは絶えず僕を驚かせてくれる。終わりなき挑戦を続ける農家の努力の賜物だ。ワインにもさまざまなトレンドがあり、ワイン・メーカーが発酵時間や温度、オーク樽の選択、澱を攪拌する行程など、直接ワインの仕上がりに影響を及ぼす「介入」もその1つだ。最近のトレンドは自然回帰で、ワインを自然経過に任せて発酵させ、ろ過はせず、硫黄も添加しない、いわゆる「自然ワイン」がブームになっている。

そもそも、オレンジ色のワインとの出合いは栃木県のココ・ファームで、数年前に僕のコラムにも書いたワイン「甲州F.O.S」と一緒に飲んだのが最初だった。最近では、マーガレット・リバーにあるカレンでオレンジ・ワインに再会し、興味がまた湧いた。

このオレンジ色をしたワインは、赤ワインと同じようにマセレーション(浸漬方)の期間が長い。ブドウの皮からは色だけでなくタンニンも出るため、それによって白ワインのさわやかな酸味と赤ワインの豊な風味をもたらす。

世界的な動きであるこういったワイン造りのスタイルは、イタリアの北東部でスロヴェニアに隣接するフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の小さな町オスラヴィアで、ジョスコ・グラヴェナーという好奇心旺盛なワイン造りの名手が始めた。フリウリ州は白ワインが世界的に有名で、アルプス山脈の冷たい風が白ワインにさわやかな酸味をもたらす。ここでグラヴェナーは自らのワイン造りに「時計の針を戻す」手法を使った。ブドウの皮を残したままで白ワインを醸造したり、アンフォラ(古代ギリシャの出口が細く、2つの取っ手がある容器)を使った古代の醸造技術なども試みている。同じく現代ワインの造り手サタニスラオ・ラディコンらとともに、彼は流行にとらわれないワイン造りの代表格だ。

さて、オレンジ・ワインの味は?「食事との相性が抜群」とソムリエたちは絶賛する。私の兄はカレンのオレンジ・ワインを「最初は辛くて、アルコール度数が高いため粘性がありベタッとしている。その後はミネラル要素が出てきて、オレンジ・マーマレード風味のわりとドライな味になる」と評した。アルコール度数が高いので「次の日の重機械の取り扱いには注意!」と冗談交じりに話していた。最近では、ヤラ・バレーのフレンズ・オブ・パンチのサフラン・シャルドネを飲んだ。ろ過されていなく少し濁ったオレンジ色をしていて、懐かしくなるような甘いオレンジの皮の香りがする。軽口でフルーティーさは長く引かず、甘くないのでフィニッシュには少し塩気も感じる。度数は11.5パーセントだったが、とても美味しかった。オレンジ色の世界で皆さんはどんなワインを見つけるかな?

ワインについての皆さんの質問を受け付けています。日豪プレスのフェイスブック、メール(viceditor@nichigo.com. au)までお送りください。

ベン・ホルト
◎ヒルトン・ワールドワイド・マーケティング統括本部長(日本・韓国・ミクロネシア地区担当)。QLD大学で文学修士(日本語と韓国語)ならびに科学修士を取得後、在豪日系企業などで食品輸出、商品取引、マーケティングに従事。2002年~07年にオーストラリア・ワイン事務局日本代表、12年5月までオーストラリア政府観光局日本地区マーケティング本部長を務めた後、現職。

Web: www.holt-blog.com
Twitter: Mr_Riesling
www.facebook.com/Ben.Holt.69
 

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