2人のB兄弟

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

2人のB兄弟

イタリアの北西部に位置するピエモンテ州には、まずいものがない。バーニャ・カウダ、カリッとした長いグリッシーニ、白トリュフなどを思い浮かべてみてほしい。黄身を40個も使ったタヤリン(タリアテッレとも呼ばれる)にセージ・バターと削ったばかりのパルメザン・チーズをかけたパスタなど、イタリア料理の素朴でシンプルな味は、世界中を虜にする。

このように、グルメの中心地として知られるピエモンテ州。古城や素晴らしい眺め同様、ブドウ品種・ネッビオーロにもいろいろな表情がある。ネッビオーロは海抜250メートル付近の南斜面でよく育つ晩熟のブドウで、ビエモンテ州ではネッビオーロ、ほかの県ではスパンナ、キアヴェンナスカ、ピクトゥネールなどと呼ばれる。ピエモンテの赤ワインといえば一般的にバローロ、バルバレスコ、バルベーラ、ドルチェットなどが知られ、白ワインはモスカート、アルネイスなどがある。ややこしいのが、これらの名称のすべてがブドウ品種に由来しているとは限らないところだ。バローロとバルバレスコはネッビオーロを栽培している村の名前、バルベーラはブドウ品種名だ。さらにバルベーラ・ダスティのようにブドウ品種の後に地名を付けているのもよく見かけるが、これは限定産地(この例ではアスティ)で作られたという特性も表している。

バローロとバルバレスコは、人の注目を集めようとお互い張り合っているような兄弟ワインだ(以下、B兄弟と呼ぶ)。それぞれの村で数種の赤と白ブドウが造られるが、最上級ワインはどちらも(主として)ネッビオーロから造られる。バルバレスコももちろん素晴らしいワインなのだが、バローロがさらに素晴らしいと批評されることが多いのはなぜか---。

この2つのエリアは隣接していて、土壌、微気候、海抜や斜面の向きといった基本はよく似ている。これらの要素が繊細なワインの果実味、酸味や香りを決めるが、当然ながら作り手や手法の影響でも味は変わる。例えば、この地で有名な生産者のアンジェロ・ガヤは伝統的で大きいオークの古樽をより小さいフレンチ・オーク樽に変えることにより、さらにパワフルで味が凝縮されたバルバレスコを造り上げた。B兄弟は両方とも飲みごろになるまで時間が掛かる。最良のワインになるまで数10年は待ちたい。ジャムのような果実味やラズベリーの甘さが凝縮され、そこにスモーキーな香りが重なる。その後は白トリュフやマッシュルームの香りも出て、飲み始めから終わりまでしっかりとした酸味が新鮮に続く素晴らしいワインになる。

B兄弟に会いにピエモンテの丘陵地、ランゲにドライブに行こう。

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ベン・ホルト
◎ヒルトン・ワールドワイド・マーケティング統括本部長(日本・韓国・ミクロネシア地区担当)。QLD大学で文学修士(日本語と韓国語)ならびに科学修士を取得後、在豪日系企業などで食品輸出、商品取引、マーケティングに従事。2002年~07年にオーストラリア・ワイン事務局日本代表、12年5月までオーストラリア政府観光局日本地区マーケティング本部長を務めた後、現職。

Web: www.holt-blog.com
Twitter: Mr_Riesling
www.facebook.com/Ben.Holt.69
 

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