幸せワイン・ガイド「フィアーノ」

ワインの産地、ブドウ品種名などの表記は、オーストラリア連邦政府のワイン振興団体であるワインオーストラリアの基準に合わせています。

今月の品種:フィアーノ

シドニーではデイライト・セービング(夏時間)が10月2日から始まり、日が長く過ごしやすい季節がやってきましたね。仕事帰りにキリリと冷えた白ワインがおいしい時期になりました。今回ご紹介したい品種はこの時期にぴったりの、スタイリッシュなイタリア品種「フィアーノ(Fiano)」です。


フィアーノ。短くて簡単な品種の名前をひとつ、ぜひこの機会に覚えてみましょう。フィアーノは、南イタリアのカンパーニャ州で伝統的に栽培されている白ブドウです。イタリアの形をブーツに見立てた時、足首からすねの部分に当たる地域がカンパーニャです。

オーストラリアでは南オーストラリア州のマクラーレン・ヴェイルで栽培が始まり、現在では同州のリヴァーランド、クレア・ヴァレー、アデレード・ヒルズなどでも栽培されています。温暖な地中海沿岸を原産とするフィアーノは、暑さと乾燥に強く、オーストラリアの自然環境にもよく順応できる品種であったことは、容易に想像できます。

ジャンシス・ロビンソンの「Wine Grapes」(2013)によると、イタリア以外でフィアーノを生産している国は、少なくとも正式に登録されている分には世界中でオーストラリアだけのようです。

香りや味わいの特徴

フィアーノには、青リンゴをグッと噛みしめた時のような清涼感、白桃やハニーデュー・メロンのような肉厚な果実の香り、ほんのりとナツメグのようなスパイスの香りがするものや、蜜ろうのような深みのある香りがするものもあります。ひと口ごとに噛みしめたくなるような味わいとテクスチャーがあり、口当たりも優しいフィアーノは、女性やワイン初心者にもお薦めの白ワインです。

フィアーノと合わせたい料理

フィアーノと相性が良いのは、シーフード・グリルやカルパッチョの他、桃やトマトの冷たいパスタ(カッペリーニ)、モッツァレラ・チーズとトマト、バジルを合わせたカプレーゼ・サラダなど、トマトやフルーツ、フレッシュなハーブを使った料理との相性が抜群です。

伝統と革新の間で“新しい”オーストラリア・ワイン

フィアーノは、オーストラリアで広く生産されてきたシラーズやシャルドネなどの伝統品種に比べると、まだ生産者が限られています。マクラーレン・ヴェイルのコリオール(Coriole)はオーストラリアで最初にフィアーノの樹を植えたワイン・メーカーの1つ。他に近隣のフォックス・ゴードン(Fox Gordon)、オリヴァーズ・タランガ(Oliver’s Taranga)なども、早々にフィアーノを栽培し始めた生産者たちです。

そして近年オーストラリアでは、フィアーノのような“新しい”品種に果敢にチャレンジする、若く革新的な生産者たちが急激に台頭してきています。今、イタリア品種の人気が急上昇中のオーストラリア。彼らはそんな国内のワイン業界の、トレンドを作る仕掛け人でもあるのです。この連載の初回でもお話しましたが、オーストラリアにはヨーロッパ諸国と異なり、どの地域に何を植えなくてはいけない、という法律がありません。伝統にも法律にも縛られることなく、それぞれの生産者のインスピレーションだけがルールブック。ワイン作りにおいても、オーストラリアはまさに「自由の国」なのです。

アデレード・ヒルズの新鋭ワイン・メーカー、ブレンダン・カーター ©Unico Zelo
アデレード・ヒルズの新鋭ワイン・メーカー、ブレンダン・カーター ©Unico Zelo

今月のお薦めにセレクトしたブランド、ウニコ・ゼロ(Unico Zelo)も、そんな革新的な生産者です。今オーストラリアで最も注目されているブランドの1つで、イタリア品種に情熱を注ぐ若いカップル、ローラ&ブレンダン・カーター夫妻によって設立されました。スタイリッシュなラベルが印象的で、毎年リリースされてはあっという間に売り切れる彼らのワインは、オーストラリア・ワインの概念をポジティブに打ち砕いてくれます。そしてフィアーノは、そんな彼らの得意とする品種の1つです。今、急激な革新を続けるオーストラリア・ワインを象徴するフィアーノ、ぜひ一度お試しください。

今回はさわやかなフィアーノからセレクト

1:パーティの差し入れに

Oliver’s Tarranga Fiano McLaren Vale 2016/25ドル
蜂蜜とリコッタ・チーズのトースト、梨とルッコラのサラダと
Web: www.oliverstaranga.com

2:ワイン会へのお持たせに

Unico Zelo Jade & Jasper Fiano Riverland 2016/22.99ドル
トマトの冷製パスタ、カプレーゼと
Web: www.unicozelo.com.au

3:イタリアン・ディナーのBYOに

Jericho Fiano Adelaide Hills 2016 /25ドル
バジル・ソースのパスタ、シーフード・グリルと
Web: jerichowines.com.au


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spiritsを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でアカウント・マネージャーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかく美味しそうに書く」がモットー。Web: auswines.blog.jp

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