幸せワイン・ガイド@オーストラリア「オレンジ・ワイン」

ワインの産地、ブドウ品種名などの表記は、オーストラリア連邦政府のワイン振興団体であるワインオーストラリアの基準に合わせています。

今月のワイン:オレンジ・ワイン

今月は少し変わったワインをご紹介します。数年前から流行に敏感なソムリエやワイン愛好家たちの間で注目され始めた「オレンジ・ワイン」をご存知でしょうか。オレンジ・ワインとは、その名の通り、果物のオレンジから作ったワイン……ではありません。これも白ブドウから作られたワインなのですが、白ワインよりもずっと深いその色合いからオレンジ・ワインと呼ばれています。

なぜ、オレンジ色なの?

白ワインに比べ深い色合いが特徴のオレンジ・ワイン
白ワインに比べ深い色合いが特徴のオレンジ・ワイン

オレンジ・ワインは白ブドウから作られます。通常の白ワインは、ブドウを圧搾した果汁のみを発酵させて作られますが、オレンジ・ワインの場合はどちらかというと赤ワインの作り方に似ていて、果肉、果皮、種などを果汁に漬け込んだ状態で発酵させます。スキン・コンタクトと呼ばれるこの過程により濃い色やタンニン(渋味成分)が抽出されます。スキン・コンタクトの期間は、数日から中には1年以上に及ぶ場合もあります。また、オレンジ・ワインの多くは、醸造過程は極力自然に任せて作られます。酵母を加えず温度調整も行わず、酸化防止剤である亜硫酸の添加も少なめ、あるいは完全無添加という場合もあります。その結果、一般的に知られている透明でクリーンな白ワインとは全く違う、独特の風味を持つワインになります。

どこで作られている?

最近はやり始めたと最初に書きましたが、オレンジ・ワインは、実は8,000年も前から、黒海沿岸の国ジョージアで作られているワインです。ジョージアでは今でも、伝統的なクヴェヴリと呼ばれる卵型の土器にブドウを圧搾して入れ、セラーの床下に埋めて発酵するという原始的な製造方法で作られています。2013年にはこの製造方法がユネスコの無形文化遺産として登録されました。この手法が近年イタリア、アルメニア、スロヴェニア、クロアチア、アメリカなどに広まり、自然派ワインへの関心の高まりに伴い徐々に注目され始めました。

オーストラリアでは、ルーシー・マルゴー(Lucy Margaux)、BKワインズ、ラガベラス(Ruggabe llus)、ウニコ・ゼロ(Unico Zelo)、トム・ショブルック(Tom Schobrook)といった小規模生産者たちがオレンジ・ワインの生産に取り組んでいます。

どんな味がする?

オレンジ・ワインも白ワインや赤ワインと同様、生産者や原料に使われる品種によってそのスタイルはさまざまです。色合いは濃い目のレモネードのようものから濃い琥珀(こはく)色で濁ったものまで。香りにはライチ、マンゴスチン、熟したリンゴ、アプリコットなど果肉の柔らかなフルーツ、ラベンダーなどの花の香り、蜜ろうやナッツなどの香ばしい香りもします。

そして辛口のシェリーや日本のだしに似た「うまみ」を感じられるものもあります。とろりとしたテクスチャーがあり複雑な味わいで、第一印象は「癖がある!」と思われる方も多いでしょう。それでもひと口飲んでみると、折り重なるたくさんの香りと味わいが徐々にジワジワと広がり、もうひと口、更にもうひと口と飲んでみたくなる「癖になる」ワインでもあります。

オレンジ・ワインはどこで買える?

小規模生産者がほとんどであるため、その数量はごく限られています。大手チェーンの酒屋で見かけることはまれで、これが今後劇的に変わることもないと思われます。

入手するにはワイナリーから直接購入する、もしくは個人経営のワイン専門店を訪ねてみてください。飲食店ではワイン・バーや、ワインのトレンドに敏感なレストランで飲むことができます。

オレンジ・ワインと合わせたい料理

オレンジ・ワインは食べ物と合わせることで、よりその味わいが深まるワインでもあります。生ハムやオリーブ、生春巻きなどのスターターや、スイート・チリ・ソースやみそを使った料理とも相性が良いです。また、ツルッとしたテクスチャーでとろみや粘りのある料理との相性も良く、あんかけ料理やウナギやサバなどの脂の乗った魚、そしてキムチもお薦めです。

一風変わったオレンジ・ワイン、機会があればぜひ試してみてくださいね。

最近話題のオレンジ・ワインを飲んでみよう

1:ワイン会の持ち寄りに

Kalleske Plenarius Viognier 2015 Barossa Valley/$26
Web: www.kalleske.com
サバのグリル、タジンなどのモロッコ料理

2:デートや女子会に

Ruggabellus Sallio 2014 Eden Valley/$27
Web: www.ruggabellus.com.au
ベトナム風生春巻き、西京焼き、韓国料理など

3:暑い夜のリフレッシュメントに

Tom Schobbrook Didi Wine Giallo 2016/$38
Web: wwww.shobbrookwines.com.au
ハーブを使ったサラダ、レモングラス・チキンなど


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でカテゴリー・スーパーバイザーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかくおいしそうに書く」がモットー。Web: auswines.blog.jp

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