フィジオセラピストに聞こう!/すねの内側の痛み―シン・スプリント

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第68回 すねの内側の痛み―シン・スプリント

前回に引き続き、オーバーユースに由来する下半身のけがをご紹介します。今回はランニングやジャンプをたくさん行うスポーツ(サッカー、バスケットボール、バレエなど)により発症しやすいすねの内側の痛み、通称「シン・スプリント」についてです。

運動を始めた時が要注意

発症のきっかけは、上記のような運動を始めたばかりの時や、距離や頻度を増やした時などが挙げられます。痛みの部位としてよく見られるのは、すねの内側のくるぶし上10センチから、すねの中央の間です。

発症当初は、スポーツ開始時や終了時のみ症状が現れるため、運動を継続しがちです。しかし症状が悪化してくると、ランニング中や直後、夜中、または翌朝起きた時にズキンズキンとした鈍痛が出ます。痛む箇所を触るととても敏感で熱を持っていたり、ゴリゴリと小さなこぶがすねの内側に沿って出来ているように感じたりもします。これはすねの骨と筋肉をつないでいる骨膜がスポーツによる負荷で、炎症を起こしているためです。

ふくらはぎの3つの筋肉

ふくらはぎには着地時のショックを吸収するヒラメ筋、腓腹(ひふく)筋(内側・外側)、足底筋の3つの筋肉があります。これらの筋力が運動量に耐えられなかった場合、筋肉が硬直し、柔軟性が損なわれ、ショック吸収力が低下します。結果、正しいフォームを維持出来ず、シン・スプリントの原因になります。また、急激な運動量の増加や、足に合わない古くなったシューズの使用、強度の扁平足(へんぺいそく)なども原因に挙げられます。

初期の痛みを我慢しない

初期の痛みを我慢して無理をしてしまうと、すねの疲労骨折につながるケースもあります。痛みを我慢した分、回復に更に時間がかかってしまうケースがほとんどです。無理をせず、早めに受診し、早期治療を目指しましょう。

フィジオセラピーでは、シン・スプリントの原因を診察で見つけ、ふくらはぎの筋肉硬直をマッサージや鍼でほぐします。自宅ではふくらはぎや、ももに働きかける筋トレや、柔軟性を上げるためのストレッチを行うことで完治を早めます。また、治療期間中はそのスポーツの頻度や強度を調整して悪化を防ぎつつ、スイミングや水中ランニング、エアロ・バイクでコンディショニングを続けて、再開後に再発しにくい体作り(アクティブ・レスト)を目指します。

ただし、疲労骨折の疑いがある場合や、強度の偏平足が見られる時はその症状に応じた処置が必要となります。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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