頚の痛み・凝り

 

第21回 頚の痛み・凝り

日本では突如として発生したかのようなデング熱ですが、元々人類発祥の地は、熱帯病の多いアフリカ中央部でした。そこから約20万年前、ホモ・サピエンスがシナイ半島を通り抜け世界に拡がって行きました。

現生人類の祖先は、オーストラリア・アボリジニのように骨格のがっちりした体形をもっていました。それが世界中に広まっていくうちに、地域の環境に適応する形で骨格も変化していき、華奢で細長い首を持つ種族も出現するようになったのです。ちなみに最近の研究では、日本人の遺伝子は20〜30%が縄文系、70〜80%が弥生系由来となるそうです。この辺りが、個人によって頚の長さが大きく変わる要因の1つなのでしょう。

人の頸椎は、他の哺乳類と同じく、通常7個で構成されています。体を支える役目の腰椎と異なり、外敵がいないかどうか周りを注意深く観察するため、左右上下に頭を回旋できる機能を持つことになりました。そのため、頚骨は軽く華奢な構造です。そして筋肉は、骨を支えながら微妙な動きもしなければならないという矛盾した役目を負うことになります。また、上からは常に数キログラムの頭が載り、この状態で首を直立させ続けるというのは、血流障害や過度の筋緊張によるストレス性の障害を起こしやすくなっています。脳に近い位置での痛みや不快感は、それが少しの歪みでも大きな不調に感じやすいのです。

東洋医学的観点からすれば、頚部は陰と陽双方の経脈のほとんどが集まっている極めて重要な部分となります。足の経脈も到達しているので、足のツボでも治療は可能ですが、今回は取穴しやすいものを選びました。まず曲池(きょくち)、肩井(けんせい)、肩外兪(けんがいゆ)、斜角で頸部の下側を緩めていきます。ここを念入りに押圧することにより、上部の凝り、痛みもかなり緩和されていきます。次に上部頸椎と頭骨の境目付近をねらい天柱、風池(ふうち)、完骨、翳風(えいふう)と順番に押していきます。ここは必ずしも強く押す必要はありませんが、目の疲れを伴う場合は時間をかけて押圧してみてください。

曲池:肘を深く曲げ、出来た皺(肘窩横紋)の端を探ると骨に触れ、押すと響く所。
肩井:鎖骨中央部の凹み(欠盆)から直上し、肩上部を押して固く響く所。
肩外兪:肩甲骨の内側角の骨際。
斜角:肩井と欠盆の中間位置で、頚根を押すと響く所。
天柱:後頭部の筋肉(僧帽筋)と頭骨の接合部外側。
風池:天柱穴と完骨穴の中間。後頭骨下際の凹み。
完骨:耳介の後方、丸い骨(頭骨乳様突起)後方の下縁の凹み。
翳風:耳垂の後方下部の凹み。

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

 

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る